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2020/10/9 17:00

【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

東京の大衆酒場の名店を巡る企画の第1回。今回は、立石のもつ焼きの名店「宇ち多゛(うちだ)」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。記念すべき第1回目の舞台は、大衆酒場の聖地・立石を代表するお店「宇ち多゛(うちだ)」です。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

行列の絶えない立石の名店「宇ち多゛」を、常連の「宇ち中」さんとともに訪問

同店は豚のもつ焼きと煮込みが絶品と評価が高く、「東京五大煮込み」の1軒にも数えられ、行列の絶えないお店となっています。また「うめ割り」なる名物ドリンクが「もつに合う」と大評判。さらに「酔っている人は入店NG」など独自ルールがあり、店内には独特の緊張感が漂っているとのウワサも。これはちょっと、いきなり一人で行くのは気が引ける……。というわけで、GetNavi web編集部の小林史於(こばやし・しお)は、同店のマニアとして有名なブロガー「宇ち中(うちちゅう)」さんに同行をお願いし、「宇ち多゛」を訪問。独自のルールや味わうべきメニューを教わりながら、その奥深いカルチャーを堪能していきます。

↑宇ち中さん(左)と小林史於(右)。宇ち中さんの本業はサラリーマン。ブログ「宇ち多゛中毒のページ」の管理人で、「宇ち多゛」を中心に、立石の大衆酒場の飲み歩き日記をつづっています

 

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行列に並ぶときは、周囲のお店や通行の邪魔にならないように

小林 宇ち中さん、今日はありがとうございます! すごく楽しみです!

 

宇ち中 今日はよろしくお願いします!

撮影日:9月12日

 

小林 うわー、すでにめちゃくちゃ並んでいますね。並んでいる間に、いろいろと教えてください! まずは、宇ち中さんがこちらに通い始めたきっかけは何ですか?

 

宇ち中 最初に来たのは2003年。青砥に住んでいる会社の先輩が連れていってくれたんです。もう、最初から衝撃を受けました。「アブラのタレ」と宝焼酎の「うめ割り」をいただいたとき、「このウマさはなんだろう?」と。当時はもつ2本で170円だったんですけど、「こんなにおいしいものがこの値段でいただけるんだ!」と、目からウロコで。翌週には一人で来てました(笑)。以来、週に3回は来ています。

 

小林 さすが師匠! 宇ち多゛中毒、略して「宇ち中」の名はダテではありませんね。さて、立石は大衆酒場の聖地と呼ばれていますが、その立石で「宇ち多゛」さんはどんな位置付けなんですか?

 

宇ち中 「大人のディ〇ニーランド」と呼ばれる立石のなかでも、ここ目当てで立石に来る方が多くて、宇ち多゛が休みだと、お客さんがほかのお店にはしごに来ないっていうくらい。ですから、立石を代表する有名店といって間違いないですね。

 

小林 なるほど、立石は街全体がアミューズメント施設であり、そのランドマーク的な存在が宇ち多゛であると(笑)。ちなみに、いまもすごい行列ですけど、待ち時間が少ないオススメの時間帯ってありますか?

 

宇ち中 口開け(開店)してから、次のお客に入れ替わる「2巡目以降」が狙い目。平日は17時以降が一番すいていると思います。土曜日なら11時ぐらい。土曜日だと、材料がなくなると12時半ごろには閉店してしまうので、注意が必要ですね。

 

小林 土曜日はそんなに早く閉まっちゃうんですか? それなら並ぶのも仕方ないですね。

 

宇ち中 ちなみに、並ぶときは通行の邪魔をしないように、列がふくらまないように気を付けるのが大事。隣や向かいのお店が営業準備しているときには邪魔にならないように並びましょう。状況に応じて、店員さんが「こうやって並んでね」と指示してくれることもあるので、それにならっていればOKです。

 

酔っている人は入店NG。「宇ち入り」ではカバンを前に抱えるべし

小林 おお、そうこうするうちに、入口に近づいてきましたよ。普通の店と違って、何だか緊張しますね。入店するときは、「どうぞ」と言われるまで待っていればいいんですか?

宇ち中 はい、店員さんから声がかかるまでは、勝手に入らない方がいいですね。あとは、カバンをかけている場合は入店の際に前に抱えるようにしてください。後ろにカバンを掛けていると、テーブルのお皿やほかのお客さんにぶつかることもあるので。

 

小林 なるほど、それはもっともなルールですね。そうそう、聞くところによると、「酔っている人は入店NG」というルールもあるとか。

 

宇ち中 そうなんです。つまり、「宇ち多゛」は、必ず「その日の一軒目」になるということですね。名物のうめ割りは「一人3杯まで」というルールもあります。あとは、しゃべってばかりだと「もういいんじゃない」とか、酔っぱらいそうだと、「これで最後にしようね」と店員さんに強めに言われることも。でも、当たりが強い感じはするんですが、実は、お客さんのことをしっかり見てオペレーションされている。その奥深さにハマる方は多いかもしれません。

↑入口ののれんの「お客様へのお願い」には「既にアルコール類を飲まれた方 ご遠慮ください」などの一文が

 

小林 なるほど。あ、いよいよ入店ですね。そういえば、「宇ち多゛」に入店することを「宇ち入り」っていうんですよね!

 

宇ち中 はい、「宇ち入り」の「宇」は「宇ち多゛」の「宇」で(笑)。

 

小林 忠臣蔵みたいでカッコイイ! ついに「宇ち入り」です! こんにちはー。

 

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宝焼酎をシロップで割る「うめ割り」と「ぶどう割り」がある

小林 やっぱり店内は緊張感がありますね……。空気がピンと張りつめている感じがします。

 

宇ち中 ええ。しゃべる声のトーンにも気を付けてくださいね。ほかのお客さんの注文が通らなくなっちゃうので。声が大きすぎると注意されますよ。

↑席に案内され、緊張のあまり表情が硬くなる小林(左)

 

小林 わかりました! まずは飲み物の注文からでいいんですか?

 

宇ち中 飲み物から注文して、飲み物を出してもらっているときに、一皿目のつまみを頼む感じですね。

 

小林 店内に貼られたメニューには「宝焼酎」とありますが、これがウワサに聞く「うめ割り」でしょうか?

 

宇ち中 そうですね。グラスに注いだ宝焼酎に、梅シロップを足してもらうのが「うめ割り」です。

 

小林 それにしても、宝焼酎がソフトドリンクと同じ200円(税込)とは……これは安い!

 

宇ち中 はい。感謝しかありません! 宝焼酎はほかに「ぶどう割り」も選べますよ。梅のシロップのほうがちょっと甘めで、ぶどうのほうはドライな感じです。最近は私はもっぱらうめ割りですね。エキスを多くしてもらいたいときは「甘め」、少なくするときは「辛め」とカスタムできます。

 

小林 宇ち中さんのお好みは?

 

宇ち中 僕は「辛め」。シロップは一滴とか、気休め程度ですね。でも、このシロップが一滴でも入ると、味がガラッと変わるんですよ。あ、内田専務がいらっしゃいましたね。

↑「宇ち多゛」の三代目・内田朋一郎専務

 

内田 飲み物どうする? うめ割りでいいかな?

 

小林 今日はよろしくお願いします! はい、ぜひうめ割りをお願いします……(うわぁ…内田さん、真顔だし目つきが鋭い。ちょっと怖いな……)

 

内田 どうぞ。

小林 ありがとうございます。うわ、グラスにたっぷり注がれるんですね!

 

宇ち中 量は、これで五勺(約90ml)くらい。あふれるのを入れると7勺(約126ml)くらいですね。口から迎えに行くのがよろしいかと。

↑宝焼酎のうめ割り。シロップによって薄く色づいています

 

小林 わかりました! では、いただきます!  ……ああ~ガツンと来るぅ~これはぶっ飛びますね!  焼酎はコクがあってキレも抜群。ふわっと来るシロップの甘酸っぱさがたまりませんね。これはウマイ!

↑うめ割りを迎えに行く小林(左)。ひと口飲んだ宇ち中さん(右)も目を閉じてその味に浸ります

 

もつ焼きのオーダーの基本は、部位+味付け+焼き方

↑壁に貼られたメニュー。おつまみはもつ焼き、煮込み、お新香。ドリンクは宝焼酎のほかにウイスキーやビール、清酒、ウーロン茶なども用意しています

 

小林 では、お酒が入って一息ついたところで、次はおつまみの注文の仕方を教えてください! 壁のメニュー表には「もつ焼き 二本 二○○」としか書いていないので……。

 

宇ち中 もつ焼きの注文の基本は、部位+味付け+焼き方です。もつ焼きの部位は「レバ(肝臓)」「シロ(大腸)」「ガツ(胃)」「アブラ(頬)」「ハツ(心臓)」「カシラ(頭)」「ナンコツ(軟骨)」と多彩です。味付けは「タレ」「塩」「味噌」「素焼き」があって、素焼きだけ「お酢」と言えば酢を入れてもらえます。酢を多くしたいときは「お酢たっぷり」でOK。あとは「よく焼き」とか「若焼き」といった焼き加減の好みがあれば伝えます。何も言わなければ「普通焼き」が出てきますね。若焼きよりレアな、「うんと若焼き」というのもありますよ。

 

小林 なるほど。例を挙げると、「レバ・タレ・よく焼き」「シロ・塩・若焼き」「ガツ・素焼き・うんと若焼き・お酢」といったオーダーですね。

 

宇ち中 ほかに、ボイルしただけの焼かないメニュー「生(なま)」もあります。そちらはもつ焼きにあったカシラがなくて、そのぶん「タン(舌)」「テッポウ(直腸)」「コブクロ(子宮)」があります。味付けは何も言わなければ「醤油」になり、「塩」にも変更できます。お酢はすべてに入れられますよ。オーダーは「タン生お酢」といった具合ですね。基本的にもつ焼きは同じ部位が2本で一皿。ただ、ボイルしただけの焼かないメニューは、「レバとシロで1本ずつ」と注文することもできます。

↑もつ焼きは2本で一皿が基本

 

小林 一度にオーダーするメニュー数はどれくらいがいいんですか?

 

宇ち中 テーブルがそう広くないので、あまり一度に多く注文しないほうがいいですね。焼きたてがおいしいですから、残り2切れぐらいになったときに次のもつ焼きを頼んで、食べ終わるころに次がちょうど出てくるタイミングがベストです。

 

小林 なるほど、勉強になります! ちなみに、宇ち中さんなら必ず頼む部位ってなんですか?

 

宇ち中 カシラがあれば、カシラを素焼きお酢で。あとはナンコツのタレも好きです。ボイルではレバボイルがオススメですよ。

 

「煮込み」は「白いとこ」か「黒いとこ」をオーダーできる

小林 ちなみに、今日はおつまみはお店のおまかせで出していただきます。さっそく看板メニューのひとつ、「煮込み」が来ましたね! 煮込みもオーダーでカスタムできるんですか?

↑人気メニューの煮込み

 

宇ち中 できますよ。「白いとこ」といえば、シロ(大腸)の周りの部位やハツモト(心臓に近い大動脈)など、色が白い部分を中心に出してくれます。「黒いとこ」といえば、フワ(肺)やレバなどの黒い部位が中心。ありがたいことに、僕の場合は「白いとこ」が好きとわかって頂いているので、自然に「白いとこ」を出してもらっています。

 

小林 さすが常連さんですね!

 

宇ち中 品切れが近いときは、カスタムできない場合もありますが。開店直後ならだれでも部位の指定ができますし、開店時に入店すれば「ホネ(アゴ周辺)」という希少部位にありつけることも。このホネを食べるのはかなりハードルが高くて、土曜日は朝8時ぐらい、平日は12時半ぐらいに並んでいないと売り切れてしまうらしいですよ。

 

小林 うわあ、まさに幻のネタですね! ちなみに今日の煮込みは、「白いとこ」と「黒いとこ」のバランスはどうですか?

 

宇ち中 バランスが取れている感じですね。ハツモトもちゃんと入っていて僕好みです。

 

小林 いただきます! ああ、ウマイ……。コリッとしていたり、フワッとしていたり、部位による食感のメリハリが楽しい! もつにはまったく臭みがなくて、豊かな肉の旨みだけを感じます。煮汁も、何だろうこのまろやかさ……すごく奥深いです!

 

宇ち中 野菜やこんにゃくを一切使わず、もつと味噌だけで煮込んでいるからかな。独特なコクがあるんですよ。ここの初代は終戦後の1946(昭和21)年に「宇ち多゛」を始めたらしいんですが、戦争の前には銀座のレストランで働いていて、その調理法がルーツらしいんですよね。

 

小林 なるほど。この雑味のない味わいには、その技術が活きているのかもしれませんね。くぅ~っ、また味付けもちょっと濃いめだから、うめ割りが進む進む!

↑うめ割りを合わせて恍惚の表情を浮かべる小林

 

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もつ焼きはすべてが食感豊かでみずみずしく、臭みがない!

宇ち中 この煮込みが200円ですからね。本当に頭が下がります。あ、もつ焼きも来ましたよ。ガツの塩からどうぞ。

↑ガツ塩

 

小林 おぉ、なんと豊かな食感。身はみずみずしくコリコリとした食感で、噛むほどに旨みが染み出てきます。シャープな塩味がさらに味を引き立てる! こちらも臭みが一切なく、ただただウマいです!

 

内田 お次はタン生が出るよ。お醤油かけるね。お酢は大丈夫? 嫌いじゃない?

↑タン生お酢

 

小林 ぜひお酢はかけちゃってください。うわ、これもまた独特の食感。サクサクとしていて、肉の旨みが広がります! 醤油とお酢のパンチが効いて絶妙! お次はシロのタレですか……香ばしく焼かれていて、グッグッと弾力があって食べ応えがあります。肉自体にも甘味があって、甘めのタレとすごく合いますね。レバのタレは、プルップルで口いっぱいにコクが広がる! これを焼酎で迎え撃つと…うーん、たまらん!!

↑シロタレ

 

↑レバタレ

 

宇ち中 こんな感じで、気が付くとうめ割り3杯ぐらいスゥッといっちゃうんですよ。で、お次は、アブラの塩。

 

小林 これ、とんでもなくウマイですね! 表面はカリッ、サクッとしていて、中はトロッとしています。 噛むごとに脂の甘味がジュワッっと広がって、またこれがうめ割りに合う……幸せ……。

↑アブラ塩

 

↑もつのほかに「お新香」もあります。生姜の有無や増減がカスタム可能。基本の味付けは醤油ですが、醤油なしにしたりお酢を入れたりすることも可能です

 

独自のルールを決めたのは、お客さんに気持ちよく帰ってもらうため

小林 内田専務、全部おいしかったです! どれもこれも身がプリっとして、臭みもまったくなくてビックリしました。どうしてこんなにおいしいんですか?

 

内田 特別なことは何もしていないね。ほかの店は見たことないけど、処理も同じだと思うよ。オレはここの2階で生まれて、ずっとこの味で育ってきたから、ほかはよく知らないんだけど。

 

小林 いやいや、ご謙遜です。同じことをやっていて、この味が出るワケがない。自分もいろんな店でもつを食べるんですけど、全然違いました! …ところで内田専務、この機会におうかがいしたいんですが、なぜお店の独自のルールを作ったんですか?

内田 多くのお客さんに楽しく飲んでもらって、みんなに気持ちよく帰ってもらうにはどうしたらいいかを考えた結果。そのためにルールを決めて、オレもキャラクターを作り込もうと考えた。オレ、ふだんはこんなおっかねえ顔してないから。飲んできた人はダメ、3杯以上はやめてくれというルールも、飲み過ぎて人に迷惑を掛ける人が出ないようにするため。人に迷惑を掛けるのはダメだよ。隣の人に絡んだり、騒いだりするんじゃなくてさ、真摯にもつと焼酎に向かい合う。そういう時間があったっていいんじゃないか、って。

 

小林 なるほど。独自のルールも当たりの強いキャラも、すべてはより多くのお客さんに、気持ちよく過ごしてもらうため。もつと焼酎を純粋に楽しんでもらうためだったんですね!

 

内田 でも、ウチで飲めるようになっていたら、みんなどこへ行っても気持ちよく楽しめると思うんですよ。あと、ここで抑圧されて飲んでるとさ、「ごちそうさま」ってのれんをくぐったときに「この解放感がたまらない」という気持ちになる。そこまでを計算して、エンターテイメントとして成立させようとしているんだよ。

小林 そこまで考えてらっしゃったんですね。あと、店員さんの気配りもすごいです。煮込みのオーダーもそうですけど、常連さんのご希望にもかなり対応していらっしゃるみたいで。

 

内田 「今日もおいしかったね、また来よう」と思ってもらうためにはどうしたらいいか、考えるとそうなるよね。もちろん希望に添えないこともあるけど。座席もそう。彼(宇ち中さん)にも好きな席があるから、空いたらそこに移動してもらうから。

 

宇ち中 ええ、私はそこ(小林が座っている席)が好きでして。

 

小林 あ、そうなんですね! すみません、何だか光栄です。では、最後に内田さん、「宇ち多゛」初心者の方にアドバイスというか、メッセージはありますか?

内田 こういう雰囲気も大事だと思うけど、だからって偉そうな感じにはならないように気を付けているし、お客さんには愛を持って接したいと思っている。ただ、まあ初心者にはある程度、店のことを調べてから来てほしいね。そういうところから思い入れが出てくるから。まあ、これだけ並んでたら、何も知らずに並ぼうと思わないだろうけど。

 

宇ち中 でも内田さん、初めてのお客さんにも優しいんですよ。

 

小林 やっぱり、そこには「愛」があるんですね。そうじゃなければ、あれだけおいしいもつを、あの値段で出すわけがないですから。

 

内田 あと、立石にはコロッケ、餃子、漬物、寿司など、おいしくて安い持ち帰りフードの店がたくさんあるから。はしご酒もいいけど、ぜひお土産にどうぞ。

 

小林 わかりました! 内田専務、今日はとてもいい経験ができました。本当にありがとうございました!

↑お会計の際は、「お会計」と声をかけて、席で待っていればOK。お皿の数をカウントして会計するので、お皿は重ねておくのがベター。焼酎を飲んだ杯数は自己申告します。退店の際は、カバンを前に抱えるのを忘れずに

 

「共同体を一緒に回している」という意識でいると、気持ちよく楽しめる

小林 ごちそうさまでしたー!(のれんを出ながら)いやーおいしかった。宇ち中さん、最高でしたね!

 

宇ち中 やっぱり、ここで飲む焼酎が一番おいしいですね(しみじみ)。昔ながらの雰囲気もいいですし、背筋を伸ばして焼酎をいただくのがたまりません。また、焼酎が身体にスーッと入ってくると、仕事の疲れが抜けていくような気がして。

 

小林 いいですね~。焼酎とこの独特な雰囲気で、疲れがリセットされるわけですね。しかし、思えば不思議な空間でした。大衆酒場の特徴といえば「気を遣わないこと」だと思うんですが、「宇ち多゛」さんは、逆に緊張感があるという。

 

宇ち中 お店と客が対等な関係で、持ちつ持たれつというか、一体感がある。自分も「宇ち多゛」という共同体を一緒になって回している、という意識でいたほうが、気持ちよく楽しめると思うんですよ。客は「もてなしてもらって当たり前」ではなく、「この値段でこの味をいただける」という感謝が大事。僕は感謝しかないですね。

 

小林 おっしゃる通りです。驚くほどおいしいのに驚くほど安くて、これほど独特の空気を持つお店はないですよね。私もまたぜひ行きたいと思いますし、周りにも胸を張って「宇ち多゛」さんをオススメしようと思います! 宇ち中さん、本日はありがとうございました!

↑のれんをくぐり、緊張から解き放たれた瞬間もまた格別!

 

<取材協力>

宇ち多゛

住所:東京都葛飾区 立石仲見世商店街内

営業時間:月~金 14:00ごろ~19:30ごろ(L.O)ただし売切れ次第終了、土 10:30ごろ~13:30ごろ(L.O)ただし売切れ次第終了

定休日:日曜、祝日

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼

・宝焼酎

https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

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↑監修はもちろん内田専務です!

 

パッケージはベースカラーに「宇ち多゛」の暖簾をイメージした黒エンジを用い、裏面で店舗をイメージしたイラストと同店の説明を掲載することで、その世界観を表現しています。「宇ち多゛」を訪れた人もそうでない人も、本品で同店の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

タカラ「焼酎ハイボール」<立石 宇ち多゛のうめ割り風>の紹介はこちら▼

https://www.takarashuzo.co.jp/news/2020/TS20-041.htm

 

撮影/我妻慶一

 

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