10月1日、ビール業界にとってXデーが訪れました。酒税の改定によってビールは値下げ、新ジャンル(第三のビール)は値上げとなって価格差が縮まったのです。ちなみに、2023年にはさらに縮まり、2026年には差がなくなるのでお知りおきください。
そんなこともあってビールに注目が集まっていますが、最も話題性の高い新商品といえば日本初の糖質ゼロビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」でしょう。本稿では既存ブランドと飲み比べをふまえ、味の特徴をレポートしたいと思います。
伝統×革新=ウマいゼロ
まずは「キリン一番搾り 糖質ゼロ」の紹介から。開発背景には、長年続いている健康志向の高まりがありました。このトレンドは、昨今の新型コロナウイルス感染拡大によってさらに注目されています。「コロナ太り」が叫ばれていることからも明らかでしょう。事実、キリンの糖質オフ/ゼロ系のビール類の販売数量は、2020年1~7月で前年比約5%増と伸長しているとか。
さらに同社の調べによると、酒類飲用者の約8割が健康を気にしているそうで、ビール愛飲者の糖質オフ/ゼロニーズも高まると考えたことから、今回の発売に至ったそうです。
開発における最大のミッションはやはり、いかにおいしい糖質ゼロビールを生み出すかの一点でした。そこでキリンビールは、伝家の宝刀「一番搾り製法」に、「新・糖質カット製法」という新たな独自技術を投入。麦汁ろ過工程において最初に流れ出る「一番搾り麦汁」を使って澄んだ麦芽のうまみを引き出しつつ、でんぷんを効率よく分解するとともに、通常のビールより元気な酵母を使用。この酵母が糖質の食べ残しを低減することで、糖質ゼロを実現したそうです。
ライトながら麦のうまみやホップの苦味は十分
「じゃあ、味はどうなの?」と思うでしょう。そこでひと足早く飲んでみることに。また、より味の違いをはっきりすべく、本家「キリン一番搾り」と、糖質ゼロの発泡酒「淡麗プラチナダブル」と比べてみました。
個人的に、スペックで意外だと感じたのが「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が最もアルコール度数が低く(4%)、カロリーも一番低い(100mlあたり23kcal)ということ。いわば、様々な面でやさしい造りになっているということです。ということで、まずは今回の主役から飲んでみました。
タッチはライトながら、麦の甘やかなうまみをしたたかに感じます。ホップの苦みもしっかりあって、余韻もきれい。糖質ゼロとなると、すっきり爽快な方向性になりますが、違和感を覚える薄さはなくて完成度の高さを感じます。
次は本家「キリン一番搾り」。アルコール度数は5%でエネルギーは100mlあたり40kcalと、ボリューム的にもひとまわり上です。
当然ながら、やっぱりウマい。味の濃さ、麦のうまみ、飲みごたえなどそれぞれのおいしさが高いレベルで調和していて、思わず笑顔になります。
そして最後は「淡麗プラチナダブル」。アルコール度数は5.5%と今回の中で最も強く、エネルギーは100mlあたり31kcal。また、詳細は長くなるので割愛しますが、麦芽比率や原材料の関係で「淡麗」シリーズは新ジャンルではなく発泡酒扱いとなります。
麦芽比率がビールより少ないぶん、うまみが軽やかでおとなしい方向性。確かに麦に由来するコクの物足りなさは否めませんが、ボディの厚みはなかなかのもので、思った以上に飲みごたえがあります。糖質もプリン体もゼロという商品特性からリピート率が高い商品とのことですが、お得かつヘルシーに楽しみたい人には十分アリな一本ではないでしょうか。
3本を飲み比べて「キリン一番搾り 糖質ゼロ」に抱いた感想は、「糖質ゼロもここまで来たか!」という驚き。また、ビールなので当たり前ではあるのですが、自分的にもこんなにウマい糖質ゼロのビール類は初めてだと思いました。10月6日の発売日にはきっと多くの店頭に並ぶはずなので、ぜひお試しを。
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