ラーメン、餃子、チャーハンをはじめ、中華料理が好きな人は多いはず。昨今は街中華もブームで、中華をつまみながら飲む人も増えています。ただ、そこで飲まれているのはビールやレモンサワーが中心ではないでしょうか。はっきり言いましょう。なんともったいない! ということで、本稿では中華に合わせるべき「紹興酒」の魅力を新商品とともに解説。特徴、味わい、ペアリングなどを紹介します。
食が多様化したいまこそ紹興酒の出番
まずは簡単に、紹興酒がどんなお酒なのかを解説。名称の由来は、上海から南西にクルマで約3時間の位置にある、浙江省(せっこうしょう)紹興市のお酒だから。ここは“東洋のベニス”とも呼ばれる水の都で、市内の「鑒湖(かんこ)水系」の水は良質であることで知られています。
原材料は3つ。まずはもち米で、これはうるち米(日本でも一般的に食べられている米)に比べて低温でも糖化されやすく、甘みを出しやすい特徴があります。次に小麦にカビ類を生やした麦麹(むぎこうじ)。日本酒用の麹は酸をつくらない一方で、麦麹は酸を生成します。この麦麹がつくる酵素で、もち米のデンプンを糖化。そして鑒湖水系の軟水が発酵をゆるやかにし、おいしい紹興酒ができ上がるのです。
なお、紹興酒は穀類原料の醸造酒である「老酒(ラオチュウ)」のうち、紹興市で生産されたものを指しますが、ほかにも「認定工場制」「原材料基準」「品質管理」など、紹興酒を名乗るための厳格なルールが定められています。
そんな紹興酒ですが、なんとなく敬遠されているお酒ではないでしょうか。そして飲まれない理由には、ぼんやりとしたネガティブイメージが関係していると思います。たとえば、「赤いラベルに漢字が並ぶ、イケてないデザインのボトル」「アルコールが強そう」「酸味が強くて飲みにくそう」「ザラメ(砂糖)を入れて温めて、おじさんが飲むお酒」などなど。しかし、時代は変わっています。
もっと言えば、食はどんどん多様化しているのです。昔は敬遠されていたパクチーが市民権を得て、花椒(ホアジャオ)、クミン、八角といったスパイスが珍しくなくなったいま、中華料理を迎え撃つお酒も、より原産種を選んでおいしくペアリングを楽しむ時代に突入しています。
イメージが先行して飲んでいなかった人は、ぜひこの機会に試してみましょう。熟成されているため、カラメルのようなコク深さとまろやかな酸があって、黒酢を使った料理のほか、醤油や味噌で煮込まれた和食などともよく合います。
味わいもパッケージも斬新な新作が登場
なかには、過去のイメージを払しょくするような新商品も登場しています。それが冒頭でも紹介した、9月23日から発売されている「古越龍山澄龍(チェンロン)」。
同商品はパッケージも新鮮。ラベルは英語で表現されていて、紹興酒の英語読み「Shaoxing Rice Wine」と呼ぶにふさわしい、洗練されたデザインとなっています。そして味わいもチェック。紹興酒らしいコク深さはあるものの、渋みや酸味は抑えられていて、軽やかな口当たりと華やかな香りが印象的です。
ペアリングも試してみました。用意したのは、メーカー推奨のフードから3品。まずは定番の「古越龍山金龍」と、いわしの蒲焼き缶詰。
濃いめの味付けや油分が多い料理に合わせると、紹興酒の酸味が口内をリセットする効果も。中華料理は野菜を油通ししたり、様々な香味油を使ったりすることが多いジャンルですが、その面でも紹興酒がよく合うといえるでしょう。
「チェンロン」にはチーズとチョコレートをペアリング。これはまさにワインで多用される組み合わせですが、そのハーモニーはいかに。
香りが華やかで酸味を抑えた「チェンロン」は、さっぱりとした味付けや、素材のうまみを楽しむ料理と好相性。一方、チーズやチョコレートなどの濃厚な料理にも、特有の甘やかな酸味が絶妙にマッチすることがわかりました。
古くささや飲みにくいといった過去のイメージを一変させてくれること間違いなしの「チェンロン」。家での晩酌でも、中華飲みでも、ぜひ中華料理に紹興酒をチョイスして、よりおいしいペアリングを楽しんでください。
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