手早く安く食べられることから、都心を中心にニーズが高い立ち食いそば。GetNavi webでは、これまで選りすぐりの立ち食いそば屋を紹介してきましたが、今週はどんなお店がピックアップされたのでしょう。フレンチテイストを盛り込んだり企業秘密だったり、個性あふれるそばを提供する名店を集めてみました。
【その1】“企業秘密”のそばを求めてお客が殺到! 板橋区役所の人気店「なごみそば」/板橋区役所
そばは機械打ちで、1日に220~300食を自家製麺にする。企業秘密のつなぎを使うなどして作るそばは細身で、もりで食べるとコシとのどごしが見事。温そばでも十分コシがある。
だしはかつお節とさば節、宗田節を使うが、これは100年続く老舗かつお節店がブレンドしたもの。カエシは一週間寝かせて使用。もりつゆはキリッとしていながら芳醇な風味があり、かけつゆはだしのうまみが濃厚だ。
なお、そばだけでなくうどんも魅力的。温かいうどんを注文するときは関東つゆと関西つゆが選べるのだ。カウンターに七味、粗みじんの唐辛子、柚子七味が置かれ、様々な味の変化を楽しめるのもうれしい。
【その2】関東では希少な一杯! 磯の香り漂う「じゃこ天そば」が大人気の「めん処ちどり」/京急鮫洲
そばは手打ち風の食感がある細麺を生麺ゆでたてで出す。だしはかつお混合で、さば節は味がくどくなるとの理由で使わない。甘み控えめにしたつゆは、しょうゆが香るあっさり系だ。
この店の名物は香り豊かな岩のり。ほとんどのそばには岩のりが添えられ、「かき揚げそば」や「じゃこ天そば」にもどっさり岩のりが入っている。
人気は愛媛県宇和島のじゃこ天を使った「じゃこ天そば」。骨まですり潰したすり身の強い甘みとほのかな苦みは、関東ではなかなか味わえない。客の9割以上が常連と、鮫洲の町にしっかり溶け込んでいるが、実は都内でも貴重なこだわりの店なのだ。
【その3】洗練された“そば×フレンチ”に舌鼓! アイデアに富んだ粋なそばが味わえる「à la 麓屋」/三田
麺は北海道産のそば粉を使った細めの六割そば。石臼挽きで甘皮入りのため豊かな香りと甘みがあり、コシも強い。1か月間寝かせたかえしを、かつお節、昆布、しいたけで取っただしと合わせたつゆはとても上品な味だ。
人気のそばは、チャーシューや煮卵がのるラーメン風の「コテリ」や大根おろしや柚子でさっぱりいける「サラリ」。「汁無し担々そば」は濃厚な肉みそとそばの素朴な味が不思議と合う。
本格素材を使って自由な発想のそばを提供する同店は、立ち食いそばの世界で唯一無二の輝きを放っている。
【その4】豪快な肉盛りでそばが見えない! 途中下車して食べる人続出中の椎名町「南天」/椎名町
平打ちの太麺はモチモチの食感。つゆはかつお節や昆布でだしを取ったすっきりまろやかな味わいだ。具の肉は豚肉の薄切り肉を甘辛く味付け。そばと肉を一緒に食べれば、まろやかなつゆに肉のうまみが溶け出しておいしさ倍増。さらに粗めに切ったねぎの辛味が、肉やつゆと素敵に響き合う。
客層は小学生からお年寄りまで幅広く、女性も多い。常連は肉そばにキャベツやとろろなど、思い思いのトッピングを加えている。電車を途中下車して食べにくる人も多いそうだ。
ちなみに店頭にはレゲエが流れる。開店当初に若い人にアピールしようと流し始めたのだが、いまや「レゲエの流れる立ち食い店」が代名詞となった。
【その5】ネットで話題の「暗黒汁」は中毒性激高! つゆの旨みで客を魅了する浅草橋「野むら」/浅草橋
その特徴はつゆにあり、都内でも屈指の黒さ。ネット上では「野むらの暗黒汁」と高評価の逸品だ。さらにしょうゆの香りも強烈で、関西人なら逃げ出しそうな色と香りである。
ところがこのつゆ、実においしいのだ。塩分は強いが甘みもあり、昆布やかつお節、宗田節を使っただしが、しょうゆの味に負けないうまみを主張。この味はひと口飲んだらクセになる。そばは強烈なつゆに負けないモチモチ食感の太麺で、全体のバランスもいい。
またこの店は、バリエーション豊かな天ぷらも魅力。特に人気なのがいか天で、大ぶりないかの横に、羽根つき餃子のように薄い衣が付いている。この「野むら」、立ち食いそば好きの心理をくすぐる魅力満載の店だ。