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2021/6/13 19:15

「麦とホップ」にはクラフトビール的な面白さがある。飲み比べてわかったその理由

俳優の田村正和さんを偲ぶ声が多いなか、筆者の印象に残っているのは2008年に誕生した「サッポロ 麦とホップ」の「私には、ビールです。」というCM。いまでこそ、「まるでビール」とか「ビール好きも納得」といった新ジャンルは多いものの、「サッポロ 麦とホップ」はその先駆けであり、だからこそいまも人気なのだと強く思います。

↑「サッポロ 麦とホップ」。350ml(参考価格141円)と500ml缶(参考価格200円)があり、多彩な商品群も特徴

 

デビューから10年以上が経つ中で進化し続け、現在のコンセプトも「ビール好きのための新ジャンル」「ビール好きに、どストライク!」と一貫。それは味わいに対するリアルさはもちろん、個人的には深い意味があると思っています。本記事では、味わいとブランドの魅力という2つの面で、「サッポロ 麦とホップ」を紹介していきます。

 

新採用の製法でうまさにいっそう磨きがかかった

「サッポロ 麦とホップ」の特徴として挙げられるのは、やはりビールらしい味わいです。これまでも素材や製法などをブラッシュアップし続け、味に磨きをかけてきましたが、最新版はかなり大胆に進化。その主となる要素が、新採用された「うまみ麦汁製法」です。

↑「サッポロ 麦とホップ」。ビール好きのための新ジャンルであることが、パッケージにも書かれています

 

この新製法は、麦汁のアミノ酸をアップする仕込み条件を適用し、通常のビールよりも長時間かけてろ過することで、いっそうビールに近い飲みごたえを実現するというもの。まずは大定番の「サッポロ 麦とホップ」から飲んでみます。

↑泡立ちもよく、貫禄十分

 

ウリとされる麦汁のうまみもさることながら、アルコール度数が5%で苦みやシャープな爽快感もあり、全体のバランスがしっかりしています。そのため、飲みごたえがありながらもゴクゴクいけるスムーズな仕上がりで、料理にも幅広くマッチするでしょう。

↑今回紹介する4種のなかで、最もスタンダードな味わい。具体的には、万人受けする飲み慣れた味、季節を問わない、料理との相性が幅広い、などが挙げられます

 

冒頭で述べた、「個人的には深い意味」「ブランドの魅力」というのは、平たくいえば多様性。「サッポロ 麦とホップ」には<黒>、<赤>という2種の定番フレーバーがあるほか、現在は限定商品の「サッポロ 麦とホップ 夏の香り」も発売中です。

↑「サッポロ 麦とホップ 夏の香り」。5月11日から限定発売されています

 

限定フレーバーは毎年数回、定期的にリリースされていて、筆者が知るビール好きには「麦とホップの限定は毎回楽しみにしている人」が少なくありません。つまり、ビール好きにとっては“選ぶ楽しさ”があるブランドなのです。もちろん筆者も、常に注目しているファンのひとり。そこで改めて、<黒>、<赤>、<夏の香り>、それぞれの特徴を深掘りしていきます。

 

“クラフトビール”的な面白さの正体

「サッポロ 麦とホップ<黒>」は、シリーズの中で初めて定番のエクステンション商品となったフレーバーです。新採用の「うまみ麦汁製法」を採用しつつ、じっくりと時間をかけて熟成し、黒麦芽による深いロースト香と凝縮されたうまみに仕上げています。

↑「サッポロ 麦とホップ<黒>」。これ1本でも十分においしいですが、「サッポロ 麦とホップ」とハーフ&ハーフにして楽しむのもオススメ

 

味はクリーミーなタッチと、大人なロースト香が絶妙です。コクや甘み、そして苦みや爽快感も調和していて好バランス。料理は黒酢酢豚に味噌煮込みなどの発酵調味料を使った料理や、スモークチキンなどの燻製系、チョコレートを使ったスイーツにも合うと思います。

↑泡もシルキーで持ちがよく、ハイクオリティ

 

「サッポロ 麦とホップ<赤>」は、2012年に限定商品として登場し、その後レギュラーに昇格したフレーバー。限定だった時期にドイツの収穫祭で楽しまれるメルツェンスタイルをモチーフにして登場したこともあり、いまでもそのメルツェン的なコク深さと甘みを感じられます。

↑「サッポロ 麦とホップ<赤>」。中身も赤みがかった褐色で、アルコール度数が6%とやや高めなのも特徴

 

飲みやすい王道の味を踏襲しつつも、ボディはどっしりめ。特にモルトの甘やかなトースト香がカラメル的なニュアンスを放ち、贅沢な飲み口です。タレの焼鳥や焼肉といったタレ系の肉料理、あとは餃子や海老チリといった中華や、トマトを使った料理にも合うと思います。

↑まろやかで、余韻も深め。リッチな気分に浸れる一本です

 

初夏限定の「サッポロ 麦とホップ 夏の香り」は、ドイツ産アロマホップを使った華やかな香りと、エール(上面発酵)酵母を使った爽快感が特徴。個人的にはこの初夏の限定フレーバーが好きで、「今年は水色で来たか!」というのが第一印象です。

↑液色は今回のなかで最もブライト。パッケージは「限定製造」のアイコンと、ホップのイラストが目印です

 

というのも、2019年の初夏はニュージーランド産の希少ホップ「パシフィックジェイド」を使った「サッポロ麦とホップ 爽の香」。2020年の初夏はチェコ・ザーツ産の最高級ファインアロマホップと、ホップの投入回数増加に重きを置いた「サッポロ 麦とホップ THE HOP」で、どちらの缶も緑系のパッケージだったのです。新作の特徴はアロマホップにエール酵母ということで、今回も期待が高まります。

↑やわらかなタッチで、上品さを感じる心地いい味わいです

 

飲んでみると、エールらしさを感じさせる甘やかなコクと、アロマホップのフローラルな香りが印象的。また、エール酵母は同社が誇る個性派新ジャンル「ホワイトベルグ」にも使われているのですが、共通したフルーティなニュアンスも感じました。

 

レギュラーのフレーバーとはっきりキャラクターがわかれていて、限定品では毎年季節に合った個性豊かな味を届けてくれます。新ジャンルビール類は数あれど、多様性の面では「サッポロ 麦とホップ」がピカイチです。それはいわば、“クラフトビール的”といえる面白さ。リーズナブルにビールらしい味を満喫したいとき、またはビールの多様性を気軽に楽しみたいときに、「サッポロ 麦とホップ」がオススメです。