今秋には満を持して代替肉を発売予定
国内の豆腐市場は約600億円。もともとが成熟している市場のため、コロナ禍による健康需要を加味しても、全体が大きく動くほどのインパクトはないそうです。ただ、「BEYOND TOFU」シリーズは年々右肩上がりで、プラントベースドフードの追い風でさらなる伸長が期待できるとのこと。特に昨年ヒットしたのが「BEYOND TOFU シュレッド」。
「最初の緊急事態宣言時は、家庭でピザやパスタなどが売れてシュレッドチーズも品薄状態になったんです。そこで既存の『BEYOND TOFU ブロックタイプ』をシュレッドタイプにして緊急発売したところ、重宝いただけまして。認知のきっかけにもなってよかったです」(鳥越社長)
「BEYOND TOFU BAR」を皮切りに、豆腐でアメリカ進出を構想していた鳥越社長。コロナにより仕切り直しになったとはいえ、「オルタナティブ(代替)」というコーナーがスーパーに確立されている米国のスーパーマーケット市場は魅力的だといいます。
「アメリカの豆腐市場は数百億円規模だとみていますが、まだまだ未開拓です。アジア系やヒスパニックの方々にはなじみがあるのですが、それ以外ではなかなか浸透していません。『健康のためにアジア人が食べているフード』というイメージが根強いからです。でも我々は豆腐のおいしさにも、マーケティングにも自信があります。文字通り、豆腐の概念をビヨンド(=超越)させる勢いで展開したいと考えています!」(鳥越社長)
日本国内市場でも、次なる大型商品を開発中。プラントベースドフードの主役的な立ち位置が「代替肉」ですが、それを豆腐メーカーの知見から生み出そうという試みです。
「がんもの製法で肉のような粗挽きの粒感、ヘテロ感(不均一な重層感)を生み出せないかなと。あとはジューシーな肉汁感を、満足できるレベルに到達できるよう試行錯誤中です。今年の秋冬にはスーパーを中心に販売できるはずですよ。ご期待ください!」(鳥越社長)
社長の大好きなガンダム作品に「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」がありますが、劇中の「地球は人間のエゴ全部を飲み込めやしない!」「人間の知恵はそんなもんだって乗り越えられる!」という会話はまさにSDGs的であり、TMNによる主題歌「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」は文字通りビヨンド。プラントベースドフード礼賛時代の到来で、灯台下暗しだった豆腐が開拓市場に逆襲をかける――そんな構図が筆者の頭をよぎりました。
「SDGsはSpacenoid Development Goals(スペースノイドの発展目標)でもあるんです!」と冗談めく鳥越社長は、やはり豆腐業界のニュータイプ。常に二手三手先を読んで戦う、相模屋食料の今後にも目が離せません!