グルメ
2021/8/2 6:00

豆腐業界の風雲児「相模屋食料」社長が語った「豆腐屋の代替肉」詳細

食品業界における最新トレンドのひとつがプラントベースドフード(プラントベースフード)。ブームをけん引するのが大豆などを肉に置き換えた「代替肉」。古くはソイミルク(豆乳)などもありましたが、とにかく重要な食材が大豆です。

↑一部のセブン-イレブンで今春発売され話題となっている、相模屋食料の「たんぱく質10gがんもバー」(中央/税抜128円)と、アサヒコの「たんぱく質10gの豆腐バー」(左・右/税抜128円)※参考価格(以下同)

 

となると気になるのが、大豆の加工食として真っ先に浮かび上がる豆腐。そこで「BEYOND TOFU」をはじめ、業界屈指のイノベーティブな企業である相模屋食料に取材を行い、国内外における豆腐の最新トレンドを聞きました。

↑相模屋食料の鳥越淳司社長。2012年に発売し大ヒットした「ザクとうふ」が有名ですが、作り立てのおいしさを閉じ込める「ホットパック」製法を開発し賞味期限も延ばすなど、豆腐自体の味と鮮度の底上げにも尽力

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

スペックを大きく表記したら売り上げ2倍に!

鳥越社長は日本でプラントベースドフードが話題になる以前から、豆腐の代替性に注目していました。たとえば2014年に誕生した「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」。プラントベースドフードは植物性食品が環境面でも優れていることから、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)文脈とともに語られることが多いですが、SDGsの採択は2015年なので、それより前から着目していたことがうかがえます。

↑「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」は進化し、写真の「BEYOND TOFUナチュラル」(税抜178円)へ

 

「当初はF1層(20~34歳の女性層)向けに、豆腐の新たな価値や可能性を訴求できる商品を、という想いから開発しました。マスカルポーネチーズのような口どけ、スタイリッシュなパッケージなどで好評を得て、その後2018年に『BEYOND TOFU』ブランドへ発展しました」(鳥越社長)

↑ドリンクタイプの「BEYOND TOFU latte」も(ともに税抜158円)。豆乳よりもどろみのあるテクスチャーが特徴で、“飲む豆腐”といえるようなコク深くまろやかな味わいです

 

世の健康トレンドやダイエットブームははるか昔からありました。また“大豆は畑の肉”と呼ばれるように、優良なたんぱく源であることも一般的な認知だといえます。その一方で2010年代に入り、パーソナルジムのブームなどでプロテインの需要もより拡大。やがてSDGsの採択によりプラントベースドフードの概念が欧米を中心に明確化され、日本でも近年になって大豆と豆腐の健康面がいっそう注目を集めています。

 

「『TOFU NOODLE』というシリーズを、昨シーズンの秋冬にリニューアルしました。担担麺など濃厚系だった味をおだしの効いたさっぱり系に、同時にたんぱく質と糖質をパッケージにわかりやすく表記したんです。そうしたら、売り上げが倍増するほど人気になりました。豆腐のたんぱく質が豊富であることは当然という認識から、スペックを前面に出すことはしていなかったのですが、予想外の発見でしたね」(鳥越社長)

↑「TOFU NOODLE」のとうふそうめんと、とうふ麺。都内のスーパーを中心に、税抜198円程度で販売されています

 

トレンドの発信源として、アメリカのフード市場に注目している鳥越社長。コロナ前までは定点観測的に現地調査に訪れていて、特にティッピングポイントになったのが2016年に大手スーパー「ホールフーズ・マーケット」で見た「パーフェクトバー」という商品だとか。

 

「アメリカではプロテインバーの市場が日本の何倍もあります。用途として多いのは、多忙なオフィスワーカーがランチ代わりに食べたり、間食として味わったり。それもあって、棚の商品数も種類も圧倒的です。そのなかで珍しいと思ったのが、冷蔵タイプの『パーフェクトバー』。この主原料はピーナッツなのですが、大豆の冷蔵プロテインバーを作れば商機があるかもと思ったんです。そこで開発したのが当社の『BEYOND TOFU BAR』。我々も現地に打って出ようと思ったのですがコロナになりまして、まずは日本のセブン-イレブン様限定で発売する運びになりました」(鳥越社長)

↑「BEYOND TOFU BAR」(税抜158円)。セミハードタイプのチーズを思わせる食感と、ミルキーなコクが印象的。ほんのり甘みがあって、ココナッツミルクのようなニュアンスも感じます

 

  1. 1
  2. 2
全文表示