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2022/4/20 6:00

聞かなくてもわかる!「ビール」の本当の好みは唇に表れることが判明

食品やアルコール飲料などの業界では、事前の消費者調査では好評だったのに、実際に商品を発売すると思うように売上に結びつかないことや、その逆のパターンもあるそうです。「おいしい・おいしくない」「好き・嫌い」といった言語的な表現以外の方法で、ビールに対する本当の好みを表情から読み取ることはできないか? アサヒビールの研究機関が調査しました。

↑そのビールは本当に好き? 唇に注目

 

アサヒビールのグループ会社であるアサヒクオリティーアンドイノベーションズの研究者たちは、人がビールを飲んだときにそれを気に入るかどうかを調べるため、ある実験を行いました。例えば「のど越しがいいビールは好まれる」「ビールは後味も大切」といった人々の嗜好性はある程度わかっていても、定量化された数値には表れない“潜在的な本音”を探らなければ、本当に喜ばれる商品作りは難しいのです。

 

実験では、アサヒビールの社員50人と一般消費者101人の合計151人に、3種類のビールを試飲し、その様子をビデオ撮影してもらいました。さらに、人の表情を捉えて分析するツールを開発し、それを使ってビールを飲んだときにどんな表情を表すか分析しました。また参加者には、3種類のビールを飲んだ後に、それぞれのビールを「何缶持ち帰りたいか?」と質問することで、被験者たちが各ビールをどれくらい気に入ったか探りました。

 

その結果、ビールを気に入ったときと気に入らなかったときで、参加者の表情の変化にパターンがあることが判明。

 

注目したのは唇です。ビールを飲む前に、まるで「う~ん」と言っているように唇を内側に寄せながら吸うときは、そのビールが好きであることのサイン。逆に、唇同士を重ねるように押し付けたときは、飲んだビールが好きでないサインでした。前者は「リップサック(lip suck)」、後者は「リッププレス(lip press)」と呼ばれています(下記のイラストを参照)。

↑左側が「リップサック」、右側が「リッププレス」(画像提供/Daily Mail)

 

なお、ビールを飲んだときの表情には、目を閉じたり、眉を寄せたり、あごを上げたり、いくつかの変化が見られましたが、ビールの好みに相関関係があったのは唇の変化のみでした。

 

冒頭で述べたように、市場調査などでは消費者の本当の好みがわからないことがあります。そのため、今回のような非言語的な方法でビールの好き嫌いや消費者の選択(買う・買わない)を当てることが、生産者にとって有効になります。ビールを飲んでいる人、もしくはこれから飲もうとしている人を見たとき、その人の唇がどんな動きをしているか、こっそり観察してみると面白いかもしれませんね。

 

【出典】Takahiro Wakihira, Masahito Morimoto, Seiichi Higuchi, Yasushi Nagatomi, Can facial expressions predict beer choices after tasting? A proof of concept study on implicit measurements for a better understanding of choice behavior among beer consumers, Food Quality and Preference, Volume 100, 2022, 104580, ISSN 0950-3293, https://doi.org/10.1016/j.foodqual.2022.104580

 

【画像出典】Jonathan Chadwick. “No point pretending you like your mate’s home-brew! Facial expressions reveal the truth about our beer preferences, study finds”. Daily Mail. 2022 March 22. https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10639115/No-point-pretending-like-mates-home-brew-Facial-expressions-reveal-beer-preferences.html