グルメ
2022/6/9 19:35

プロが解説! 初心者が三徳包丁でできる「イワシ」のおろし方と「イワシの蒲焼」レシピ

中国をはじめ世界では、ヘルシー志向も相まって魚の消費量が増えているといいます。一方、古くから魚を食べてきた日本では、年々減少の一途をたどっているのが現状(農林水産省水産庁調べ)。魚は「扱い方や調理法がわからない」と、食卓にのぼりにくい食品となってしまっているのです。

 

でも、魚は栄養価が高く、調理法にも多彩なバリエーションがある魅力的な食材。まずは、苦手意識を抱えるきっかけになっている“さばき方”について、基本をマスターしてみましょう。日本食文化史・和ごはん研究家の麻生怜菜さんに、魚料理の基本となる3種の魚のおろし方を教えていただきました。ここでは、比較的安価な「イワシ」を取り上げます。


1.鯵(アジ)の大名おろしと「ムニエル」レシピ
2.鰯(イワシ)の手開きと「蒲焼」レシピ
3.鯛(タイ)のおろし方と「鯛めし」レシピ

 

魚を“さばく”と“おろす”の違い

ちなみに、魚を“捌く(さばく)”とは、水洗いを含む魚の解体作業全般を指し、魚を“下ろす(おろす)”とは魚を決まった形で切り分けることを指します。魚を左右の身と骨に切り分ける“三枚おろし”などがあります。

 

包丁は特別なものが必要?

今回は、一般の家庭にある三徳包丁を使って魚をおろしていただきました。魚をおろすには、出刃包丁や柳刃包丁など、魚専用の包丁があった方が上手にできますが、このくらいのサイズの魚であれば、三徳包丁でもおろすことができます。よく研いだ包丁で行いましょう。

 

「イワシ」は手でおろすことができて手軽

イワシは安価なことが多く、たくさん買って保存食にしておくなどの使い道にもぴったりの魚です。今回紹介していただいた蒲焼(かばやき)以外にも、圧力鍋などを使って骨まで丸ごと煮たり、焼き魚にしたり、つみれにしたりすることもできます。

 

「イワシは鮮度が落ちやすいので、皮にハリがあって色がきれいに見えるものを買いましょう」(日本食文化史・和ごはん研究家 / 麻生怜菜さん、以下同)

 

イワシを“手開き”でおろす方法

イワシは、頭だけ取ってしまえば、あとは手で開いて骨を取るだけで調理ができる魚です。

 

「専用の包丁がなくてもできるので手軽ですが、イワシは“足”が早く、身が柔らかい魚なので、慣れるまでは少し扱いが難しく感じるかもしれません。鮮度が高いイワシを購入することはもちろん、買ったらすぐに内臓だけは取り出してしまうのが、鮮度を保つ秘訣です。どうしても内臓まで取っている時間がない!というときは、買ったときの魚のトレイから出し、魚をキッチンペーパーに包んでからラップをして、冷蔵庫に保存しておきます」

 

【おろし方】

1.イワシの頭を落として腹を切る。

イワシもアジと同じように頭を落とし、お腹に包丁を入れて切ります。「内臓も同じようにとっておきます」

 

2.骨に沿って親指を入れ、中骨から身をはがしていく。

中骨に沿うように親指を入れていき、身と骨を分けていきます。「身が柔らかいので、あまり力をかけすぎてしまうと、身がぐちゃぐちゃになってしまいます。丁寧に骨を外していきましょう」

 

3.中骨を取る。

骨が身から離れたら、骨を取ります。「尾のところまで来たら、最後は折ってしまいましょう。これで調理に進みます。案外簡単にできるので、挑戦してみてくださいね」

 

以上の工程でイワシをおろせたら、実際にそのイワシを使って調理してみましょう。今回は「イワシの蒲焼」を教えていただきました。

イワシの手びらきを使って作る「イワシの蒲焼」

イワシにたっぷりの濃いめのタレを煮からめる蒲焼は、ごはんもお酒も進む味。フライパンでできるのも手軽で、小骨も気にならずパクパク食べられます。

 

「こちらもアジと一緒で、身の方から焼きます。身の表面が油でコーティングされて、中の水分やうまみをとじこめてくれるので、ふんわり仕上がります。イワシの独特なくさみがないので、イワシが苦手な人にもおいしく食べられる味ですよ」

 

【材料(2人分)】

・イワシ……2尾
・片栗粉……大さじ1
・ごま油……小さじ2
・みりん……大さじ1
・醤油……大さじ1
・砂糖……小さじ1
・粉山椒・白胡麻……お好みで

 

【作り方】

1.イワシの水気を取り、片栗粉を薄くまぶす。

べたつかないようにしっかり水気を取ってから、片栗粉をふります。身につかなかった片栗粉は、ふるい落としてから焼きましょう。

 

2.フライパンに油を熱し、イワシを身側から2分焼く。裏返して同様に2分焼く。

身が崩れないよう慎重にひっくり返して、2分ずつ焼きましょう。

 

3.いったん火を止め、みりんと醤油、砂糖を混ぜたものをまわしかけてから、もう一度火にかけ、1分ほど中弱火で煮からめる。

タレを入れるときに跳ねるので、いったん火を止めて少しフライパンを落ち着かせてから、タレを入れましょう。

 

アジ編では、アジの大名おろしと「ムニエル」レシピを、タイ編ではタイのおろし方と「鯛めし」レシピを紹介します。

  1. 鯵(アジ)の大名おろしと「ムニエル」レシピ
  2. 鰯(イワシ)の手開きと「蒲焼」レシピ
  3. 鯛(タイ)のおろし方と「鯛めし」レシピ

 

【プロフィール】

日本食文化史・和ごはん研究家 / 麻生怜菜

全国を転々とした幼少時代を過ごし、旅行好きの両親の影響もあり47都道府県すべての地域食材、郷土料理を食べて成長する。結婚後、夫の実家がお寺であったことをきっかけに、お寺の行事食に関わり、伝統的な和食(特に精進料理)に興味を持つ。精進料理の考え方や調理法、食材などに感銘を受け、伝統的な調理法や食材を、現代のトレンドと融合した食文化の発信する場として、2011年より「あそれい精進料理教室」主宰。生徒数はのべ2600人。今まで考案したレシピ数は5000を超える。食品のランキングや比較も得意とする。レシピ本に『寺嫁ごはん』(幻冬舎)、『おからパウダーでスッキリ腸活レシピ』(主婦の友社)などがある。


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」