グルメ
2023/5/28 10:45

青梅と完熟梅で作る! 日本酒で漬ける自家製「梅酒」の作り方と「梅酒ゼリー」レシピ

5月中旬を過ぎると、野菜売り場に青い梅が並びはじめます。梅干しや梅酒、梅シロップを手作りする “梅仕事” は、在宅時間が増えた近年、楽しむ人が急増しました。@Livingでも梅干し梅酒梅シロップの漬け方を紹介してきましたが、2023年に提案するのは、日本酒を使った “すぐ飲める梅酒” 。漬けてから1〜2週間程度で飲むと、フレッシュな果実感のある味わいを楽しめます。甘さを抑え、風味が豊かなうちに飲みきれるくらいの分量でつくってみましょう。今回は料理家のオザワエイコさんに教えていただきました。

 

【関連記事】ブランデーで漬ける「梅酒」の失敗しない作り方と飽きずに飲み切れるアレンジレシピ

 

日本酒でつくる梅酒は “アルコール度数” に注意!

まず、準備したいのが、果実酒用の日本酒です。梅酒を漬けるときはホワイトリカーやブランデーなど、さまざまなお酒でつくれますが、オザワさんのおすすめは日本酒。

 

「日本酒でつくる梅酒は、アルコール度数が他のお酒よりも低いため、飲みやすいのがポイントです。ただし酒税法に触れないよう、アルコール度数が20度以上の日本酒でつくらなくてはなりません。飲むためにつくられた日本酒でもかまいませんが、果実酒用の日本酒なら手に入りやすいのでおすすめ。例えば今回使った『白鶴』の果実酒用日本酒は、このまま飲んでもおいしいんですよ」(料理家・オザワエイコさん、以下同)

 

2種類の梅で漬ける日本酒梅酒

今回オザワさんに漬けていただいたのは、5月下旬ごろから出回る「青梅」を使ったシンプルな梅酒と、6月に入っても手に入る完熟した「黄梅」でつくるスパイス梅酒です。どちらの梅でも同じ手順でつくれるので、逆に青梅でスパイス梅酒を漬けてもおいしく仕上がります。ただ、味わいが異なるので両方つくって飲み比べるという楽しみもあります。

 

青梅……実は硬く、香りはあまりしない。梅酒にすると、すっきりとした酸味のある味に仕上がる。
黄梅……青梅を置いておくと黄色く熟す。杏に似た甘い香りで、梅酒にするとふくよかな風味に。

 

急いで飲みたい人には冷凍梅がおすすめ

冷凍した梅でもおいしく漬けられます一度冷凍することで梅のエキスが抽出しやすくなり、冷凍していないものよりも早く飲むことができるというメリットも。また、冷凍梅はインターネットでも一年中買えるので、旬の時期を逃してしまった! という場合は、冷凍のものを購入するといいでしょう。

 

「すぐに飲みたい!という方や、梅を買ったけどすぐには漬けられない……という方は、冷凍してから漬けることをおすすめします」

 

・冷凍していない梅……飲めるようになるまで2週間。飲みごろはおよそ2週間後から3か月後。
・冷凍してある梅……飲めるようになるまで1週間。飲みごろはおよそ1週間後から3か月後。

 

漬けてすぐ楽しむフレッシュな梅酒

梅酒に限らず、果実酒は日数が経過するにつれ、味わいが濃くなっていきます。深みが出て濃厚になっていく一方で、フルーツらしい香りや甘みは減っていく傾向があるのです。

 

「何年も経った果実酒は、梅でも杏(あんず)でも、だんだんと味が似通っていってしまうんですね。素材そのもののフレッシュな香りを楽しみたいなら、漬けてからあまり日を置かずに飲むのがおすすめです。冷凍していない梅なら、漬けてから2週間くらいで飲みはじめるといいですよ」

 

また、一般的に梅は1kgで売られていることが多いのですが、1kgで漬けると1.8Lもの梅酒ができあがります

 

「たくさん飲むならいいのですが、飲みきれずにけっきょく置物のようになっている……という話も聞きますので、今回は500gで漬けてみました。甘みを、砂糖やはちみつ、黒糖などと変えて250gずつ漬けてもいいですし、日本酒とブランデー、のようにお酒の種類を変えても楽しいと思いますよ」

 

梅の下処理の仕方

梅は、漬ける前にアクを抜いて、ヘタを取っておきます。

 

1.梅を水に浸してアクを抜く。

「青い梅はアクが強いので、数時間は水に浸しておきます。ただし、黄梅はアクが少なく、傷みやすいので、さっと洗う程度で大丈夫」

 

2.ヘタを取る。

「楊枝や竹串をそっと差し入れて、ヘタを取ります。実を傷つけないように注意して」

 

3.水分をよく拭く。

「水気があると、かびてしまったりするので、しっかり拭きましょう。ヘタを取った窪みの部分に水が溜まりやすいので、確認します」

 

下処理が終わったら、さっそく漬けていきましょう。次のページでは「青梅と日本酒で漬けるシンプル梅酒」と、「黄梅と日本酒で漬けるスパイス梅酒」のつくり方を解説していただきます。

■ 青梅と日本酒で漬けるシンプル梅酒

青梅で漬ける梅酒は、爽快感のある香り。さっぱりしていて、酸味もしっかりと感じられます。

 

「さらにすっきりとした口あたりになるよう、氷砂糖で作りました。砂糖の量は、甘すぎず、梅の酸味もだいじにできるくらいの量。市販の梅酒のように甘いのがお好みなら、+100g、もっと甘くないものがいい方は、−100gで作ってみてください。毎年作っていると、だんだんと好みもわかってきて楽しめます」(料理家・オザワエイコさん、以下同)

 

【材料】

・青梅……500g
・氷砂糖……200g
・日本酒(アルコール度数20度の果実酒用)……900ml

 

【作り方】

1.瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる。

「消毒した瓶に、梅と氷砂糖を入れていきますが、お酒を注いでしまうとどのみちぜんぶ混ざるので、順番は気にしなくてOK」

 

2.日本酒を注ぐ。

「日本酒を注いだら蓋を閉め、1週間ほど冷暗所で保管します。もし砂糖が溶けにくいと感じたら、瓶を揺するなどして砂糖を早く溶かしましょう」

 

■ 黄梅と日本酒で漬けるスパイス梅酒

こちらは完熟した黄梅で作る、スパイス梅酒。甘みのある芳醇な香りに、ピリッと涼しげなスパイスを合わせて漬けました。

 

「スパイスは、手に入りやすいシナモン、カルダモン、クローブの3種類を入れました。お好みで入れるスパイスを変えてもかまいません。ただし、パウダーのものではなく、ホールタイプがおすすめです」

 

【材料】

・黄梅……500g
・はちみつ……150g
・シナモンスティック……1本
・カルダモン……3個
・クローブ……3個
・日本酒(アルコール度数20度の果実酒用)……900ml

 

【作り方】

1.瓶に梅を入れてから、はちみつを加える。

「はちみつは、種類によってかなり味が変わるので、どんなもので作るか選ぶのも楽しいですよ」

 

2.日本酒とスパイスを入れる。

「はちみつは、溶けにくいので、下に溜まっていたら少し混ぜて早めに溶かしましょう」

 

短期間でおいしく飲みきれる量で紹介しましたが、飲むだけでなく別の楽しみ方をしたいなら、まずは涼やかなゼリーがおすすめ。次のページでは、「梅酒ゼリー」のレシピを解説していただきます。

梅酒で作る初夏のおやつ「梅酒ゼリー」

こちらは、梅酒をアレンジしたゼリー。ゼラチンのぷるんとした食感と、甘酸っぱい味で、夏の疲れを癒してくれます。

 

「ゼリーに使う梅酒は、どちらのものでもかまいません。梅の酸味が涼しくて、暑い日にぴったりのおやつです」(料理家・オザワエイコさん、以下同)

 

【材料(プリンカップ4〜6個分)】

・梅酒……300ml
・水……100ml
・砂糖……100g
・粉ゼラチン……10g
・梅酒で漬けていた実……1粒

 

【作り方】

1.ゼラチンはパッケージ記載にならってふやかす。

ふやかす必要のあるゼラチンの場合、100mlの水でふやかします。「ふやかす必要のないゼラチンであれば、2の工程でそのまま加えて問題ありません」

 

2.鍋に梅の実以外の材料を入れて、80℃まで加熱する。

「アルコールを飛ばすためではなく、砂糖やゼラチンを溶かすために加熱するので、溶けたらさっと火を止めます」

 

3.粗熱を取ってから容器に入れ、冷蔵庫で1時間以上冷やす。

「しっかり固まるまで待って、逆さにあけてもいいし、今回のようにすくってクラッシュゼリーにしても、かわいいですよ」

 

4.ミントと削った実をのせる。

ミントと、刻んだ梅の実を飾ったら完成です。

 

梅酒のほどよい酸っぱさは、暑い日の体を癒してくれます。酷暑が予想される夏を乗り越えるためにも、今からぜひ仕込んでみてください。

 

プロフィール

料理家 / オザワエイコ

手作り調味料研究家。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。旬の食材を使った自家製調味料や保存食、果実酒などのレシピを伝えるほか、発酵調味料や漬け物などの発酵食品を仕込むことを得意とする。著書に『だからつくる調味料』(ブロンズ新社)、『無印良品の「発酵ぬかどこ」徹底活用術』(新星出版社)、『まいにち発酵ごはん』(ナツメ社)がある。テレビやラジオ、雑誌、webメディアなどでもレシピを発信中。
「かもしラボ」HP


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」