グルメ
2024/2/6 10:30

100万本売れの大ヒット「謎ドレ」の謎!実はインドにもない味、学校給食に採用する自治体も!

2023年に大ヒットした食品のひとつ「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」。3月の先行販売から累計100万本を超える売り上げを記録し、こちらは計画比300%以上の推移だとか。

↑理研ビタミン「インドカレー屋さんの謎ドレッシング 190ml」。参考小売価格は356円

 

ヒットの要因は、ありそうでなかった目の付け所や、ユニークなネーミングなどいくつか考えられますが、開発のきっかけやベースとなった味のモチーフなど、ガチで謎が多いこの商品。そこで、開発担当者に根掘り葉掘り質問し、謎に迫りました!

 

トマトケチャップが肝

そもそも、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」はその名の通り、インドカレー店のサラダにかけるトレッシングを再現した商品。一般的にインドカレー店で提供されるドレッシングは、玉ねぎやトマトといった野菜の甘みを前面に出しつつ、コクや酸味もあり、お店によってはスパイスの風味をほんのり効かせているところもあります。

 

本商品も同様で、玉ねぎやトマトの甘みを前面に出ていて、コクや酸味も十分。また、マヨネーズやトマトケチャップなどをブレンドする「サウザンアイランドドレッシング」に近しい印象も持ちました。

 

実際に、本商品にはどのような特徴があるのでしょうか? 「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」を担当した、理研ビタミン食品企画開発部の浅子よし絵さんが教えてくれました。

↑キャップを包むフィルムには「この味をご家庭に!」の一文が

 

「あの味わいは、当時の開発担当者がインド料理店のサラダを食べ歩くなかでヒントを集め、再現しました。共通点のひとつは、玉ねぎをベースにしているお店が多かったこと。オレンジ色になる要因は、にんじんや暖色のスパイスが起因していると思います。ただ当社でベンチマークしたお店は、スパイス感がないタイプのドレッシングでした」(浅子さん)

↑ボトルの側部には原材料として数種の野菜が記載

 

野菜には玉ねぎ、にんじん、赤ピーマンなどが使われていますが、個人的に気になったのはトマトケチャップの表記。トマトそのものやトマトピューレではなく、トマトケチャップを選んだ理由には、どんな狙いがあるのでしょうか?

 

「トマトに関しては、ベンチマークのお店の味に最も近いトマト素材がケチャップだったことが採用の理由です。そのうえで、数種の野菜の甘味を生かした味と、まろやかなテクスチャーに仕上げました」(浅子さん)

↑豊かなとろみのあるテクスチャーで、ブロッコリーにもしっかりと絡みます

 

なるほど! トマトはカレーに頻用されますし、うまみや酸味も豊かなので使いたくなる野菜でしょう。実際にインドカレー店のドレッシングにもトマトがよく使われているはず。筆者が感じた「サウザンアイランドドレッシング」との共通点にも、トマトケチャップが関係しているのかなと思いました。

 

実はインドにもないドレッシング

浅子さんの話にあったように、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」が開発されたきっかけは、インド系料理店のサラダによくかけられている、特徴的なドレッシングの美味しさに惹かれたから。

 

この味については、以前からSNSなどでも肯定的な投稿が話題になっていました。そのうえで、コロナ禍のステイホームで様々な飲食店の味を自宅で再現する動きが出てきたことに理研ビタミンは着目。そこで、インド料理店風ドレッシングの商品化を企画することに。

↑こちらは筆者が好きな、奇才な店主でも有名な「ほんとのインド料理とカレーの店」(埼玉・秩父)の「グリーンサラダ」。4~5人前はありそうな大ボリュームで583円とお得です!

 

ただ特徴や見た目に多くの共通点はあっても、スパイスの有無などお店ごとに味わいは異なるそう。あのドレッシングに元祖の店やルーツなどはあるのでしょうか?

 

「それが……発祥のお店や広まっていった経緯なども調べてみたものの、当社で答えにたどり着くことはできませんでした。この点は本当に謎のドレッシングなんです。現地のインドにも、このようなドレッシングはないと聞いていますね」(浅子さん)

 

業務用がスタートで販路を拡大、学校給食にも!

1年足らずで累計販売数が100万本と、新しいジャンルを生み出した同商品。インドカレー料理店によってドレッシングの味もそれぞれ違うため、市販品だけでなく、業務用も存在しなかったそう。販路の拡大方法や、その後の広がりもユニークです。

 

「『インドカレー屋さんの謎ドレッシング』はまず1Lの業務用を2023年2月に発売し、その後家庭用サイズとして190ml製品を3月から一部店舗で先行販売。その後8月に全国へと広げさせていただきました」(浅子さん)

 

↑1Lタイプ。“野菜いっぱい”と書いてあるのは、同社の業務用ドレッシングシリーズの共通名称ですが、本商品にも実際にたっぷりの野菜が使われています

 

一部店舗で先行販売とは、聞き捨てならない情報! 具体的に、その店はどこなのでしょうか? そして先行販売した狙いは?

 

「当初の先行販売先は、生協の宅配ルート(カタログ販売)でした。その後『カルディコーヒーファーム』へ販路を拡大。さらに全国発売へ、という流れですね。最初に生協の宅配ルートを選定した理由は、消費者様の需要がどの程度あるかわからず、また製品の説明も必要になるため、事前に特徴などを解説できる販売チャネルとして、カタログ販売に長けた生協を選定しました」(浅子さん)

 

前述した「ほんとのインド料理とカレーの店」では、「プラウンサラダ」(748円)には王道のインド風ドレッシングをベースにマンゴーを使ったタイプで提供するなど、サラダの種類によって味付けを若干変えています。「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」の場合、オススメのアレンジはあるのでしょうか?

 

「ございます! 海老とアボカドなど、エスニック風の素材を使ったサラダの場合は、パクチーをトッピングすると、より本格的になりますね。また、蒸し豆や細かく切った野菜などは、盛り付けたサラダにドレッシングをかけるのではなく、ボウルなどに入れて和えてから盛り付けるのがオススメです。ほかにも、サラダ以外の使い方としては『謎ドレナポリタン』のレシピがありますので、ぜひお試しください」(浅子さん)

↑公式サイトに詳細なレシピがのっている「謎ドレナポリタン」。ざっくり解説すると、トマトケチャップの代わりに「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」で味付けします

 

そのほか浅子さん曰く、現在は一般市場におけるヒットと認知の高まりによって、1Lの業務用より190mlのほうが勢いよく売れているそう。また、野菜が豊富で刺激などが抑えられた味わいは、子どもにもぴったりということで学校給食に採用している自治体があるとも。

↑万人受けする美味しさ。未体験の人は、ぜひお試しを

 

ユニークなプロダクトと期待を超える美味しさで大ヒットし、給食にも採用されている「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」。発祥などの謎については依然深まるばかりですが、この件についてはインド料理店などを取材した際に聞いて、いつか解き明かしたいと思います!