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「酒噺:東京・大衆酒場の名店シリーズ」で一連の酒場知識を習得したお酒好きタレント・中村優さん。実践編に入って、女性ひとり(初心者)でも出来る「酒場」の楽しみ方を「せんべろnet」管理人のひろみんさんに教えてもらいながら体験していく第4回目。今回は、東京・板橋の成増エリアで話題のもつ焼き酒場を訪れました。
※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です
ひとりで、もつ焼き
前回は「角打ち」を体験し、他に「もつ焼き」も気になっていた中村さん。ひろみんさんに、ひとりで行くならどんな店がいいのか聞いてみると、次のようなLINEが返ってきました。
「これは焼鳥店にも言えますが、ひとりで行くなら、1本から注文できる酒場がオススメですよ。同種2本というルールを設けているお店もあるので」
ひろみんさんは数ある推しの店のなかから、「成増の泰希(たいき)さんは、おいしくリーズナブルなことはもちろん、お店の皆さんが気さくで入門にもオススメですよ」とレコメンド。そこで今回は同店を舞台に、中村さんのもつ焼き酒場体験記をお届けします。
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もつ焼きとは?
もつ焼きは読んで字の如く、もつ(臓物/ホルモン)を焼いた料理。地域によって、網や鍋で調理するホルモン焼きと広義では同じですが、関東におけるもつ焼きの多くは豚のもつや正肉の串焼きを指し「やきとん」とも呼ばれます。
もつ焼きや、やきとんの店は、いわば豚肉のスペシャリスト。味の良し悪しを決めるのは肉の鮮度であるため仕入れ先には徹底的にこだわり、また部位のバリエ―ションが豊富なことも特徴。串焼きのほか、もつ煮込みや低温調理のもつ刺しなどが楽しめることも魅力です。
もうひとつ紹介しておきたいのが、鶏肉を使う「焼き鳥」ではなく豚肉の串焼きを「やきとり」として親しむ伝統食文化。北海道の「室蘭やきとり」や、埼玉の「東松山やきとり」が特に有名です。背景には、かつて鶏肉より豚肉のほうが安価だったという歴史や、その地に豚の食肉センターがあり手軽に入手できたという環境などが関係しています。
当時は贅沢だった鶏肉の代わりに豚肉を用いて串焼きを楽しんだ習慣が、そのまま食文化として根付いたことが「やきとり」の由来といえるでしょう。東京でも、西荻窪の「やきとり戎」のように、もつ焼きをやきとりとして提供する名店もあります(同店では現在、焼き鳥も提供)。
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〜もつ焼きとは?〜
・「もつ焼き」とは、もつ(臓物/ホルモン)を焼いた料理。関東における「もつ焼き」の多くは豚のもつや正肉の串焼きを指し「やきとん」とも呼ばれている。
・鶏肉を使う「焼き鳥」ではなく豚肉の串焼きを「やきとり」として親しむ伝統食文化もある。北海道の「室蘭やきとり」や、埼玉の「東松山やきとり」が特に有名。
いざ、ひとり「やきとん 泰希」へ!
今回訪れた「やきとん 泰希(たいき)」は、東武東上線の「成増駅」南口または東京メトロ「地下鉄成増駅」1番出口から徒歩15分弱。各駅からバスを利用すれば、停留所から徒歩1分ほどで到着します。
オープンは2020年12月と、比較的新しいお店ながらも貫禄は十分。木のぬくもりを感じる店内にはテーブル席のほかにカウンターもあり、ひとりでも気軽に楽しめます。中村さんが入店すると、「いらっしゃいませ~!」と元気な声が。にこやかに迎えてくれたのは、店主の田中さんと西川さんのコンビです。
明るくやさしい笑顔に、中村さんの緊張も一気に解けたご様子。
ひろみんさんからの「泰希さんのドリンクは、チューハイのフレーバーと割り材の多彩さが特徴です」とのアドバイスをもとに、まずは西川さんに定番をたずねてみました。
中村 泰希さんのチューハイで、定番といえば何ですか?
西川 炭酸水とスライスレモンによるシンプルな「チューハイ」(380円)と、より柑橘の酸味が効いたすっきりした味の「レモンサワー」(430円)が二大定番ですね。
中村 では「レモンサワー」をお願いします!
西川 ありがとうございます! 当店の甲類焼酎は、樽貯蔵熟成酒が3%入った風味豊かな「極上〈宝焼酎〉」をベースにしているのもウリなんですよ。ということで、お待たせしました~。
中村 おっ、ハイサワーレモンで割るんですね。乾杯ッ! ぷはぁ~、やっぱり焼酎の絶妙なコクと、レモンの冴えた爽快感がたまらないです!
西川 嬉しいです。レモンサワーはもつ焼きの油も流してくれるので相性抜群ですよ!
中村 ですよね~。それにお品書きを見たら1本70円からと、めちゃめちゃリーズナブルじゃないですか!
田中 運よく前職の先輩が茨城の食肉市場と取引している会社の代表で、その方のおかげで抜群の鮮度と安さを実現できているんです。
中村 親しい方からということであれば、なおさら間違いないですね。では注文は、オススメ印のある「れば」と「はらみ」をお願いします!
田中 ありがとうございます! タレか塩かは、お任せでいいですか?
中村 はい、お任せでお願いしますー。
田中 まずは当店名物の「れば」から。お熱いうちにどうぞ~。
中村 え!? この美味しさはなんなんですか! 焼き加減が絶妙で、頬張ったときのプリッとした弾力と、口のなかでジュワッと広がるとろけ具合が神! これが80円だなんて信じられません!
田中 お口に合ってよかった! 励みになります。続く「はらみ」もお待たせしました!
中村 わーっ、こちらも美味しすぎる! より肉々しい弾力と、噛むたびにあふれるジューシーな肉汁がたまりませんっ。炭火の香ばしさも絶品です! おいしさの秘訣はやっぱり焼き方ですか?
田中 うちの特徴としては、串を炭火からあまり離さずに焼いていることですかね。
中村 熱源から近いということですよね。どう違うんですか?
田中 より火力が強くなるので、外はカリッと中はジューシーに仕上げやすいのですが、そのぶん焦げやすさも増すので目配り気配りが欠かせません。
中村 技術も要るということですよね!
田中 そうですね。あと、近火だと早く焼けるというメリットもあります。うちは焼き台が大きくないのですが、たくさん注文をいただいた際でもお待たせせず、スピーディーに提供したいんですね。それも近火にしている理由です。
中村 なるほど~、奥が深い! あと気になったのは、串の形です。「れば」は四角で「はらみ」は丸い串だったと思うのですが、その違いは?
田中 どの串焼きも、具材が回転しないよう芯を狙ってバランスよく刺すのですが、「れば」はやわらかいぶん動きやすい。そこで、「れば」はよりしっかり固定できる四角い串を採用してるんです。
中村 そういうことだったんですね!
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もつ焼き酒場の特徴
もつ焼き酒場の主役は、やはりもつ焼き。メニューリストの中から好みの串を選ぶのですが、「数量限定」などの記載がある部位は要チェックです。これらは希少部位であることが多く、早い時間で品切れしてしまうことも。
もつ焼き以外のメニューの定番は、「もつ煮込み」や低温調理の「もつ刺し」。煮込みはお店によって醤油、塩、味噌など味付けが異なり、具材がもつのみ、もつとこんにゃく、もつとこんにゃくと野菜など、それぞれに特徴があるのもポイントです。もつ刺しも部位によって食感や味が異なり、迷った際は盛り合わせを注文するといいでしょう。
ドリンクに関しては、甲類焼酎をベースとしたお酒が充実していることが特徴。飲み方のラインアップもお店ごとに多種多様で、「やきとん 泰希」は「ホッピー」や「ハイサワー」、「バイス」など豊富な割り材を用意していることが魅力です。
なかには立石の名店「宇ち多゛(うちだ)」のように甲類焼酎のストレートに梅やぶどうのシロップ(エキス)を少量加えて提供するツウ好みの一杯があったり、独自エキスを隠し味に使った下町スタイルの焼酎ハイボール(チューハイ)を提供するお店があったり。もつ焼きと、その店ならではの焼酎をペアリングできるのも、もつ焼き酒場の醍醐味です。
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〜もつ焼き酒場の特徴〜
・主役はもつ焼き。「数量限定」などの記載がある部位は要チェック
・そのほかの定番は「もつ煮込み」や低温調理の「もつ刺し」。煮込みはお店によって味付けや具材が異なるのもポイント
・もつ刺しは部位によって食感や味が異なり、迷った際は盛り合わせを注文するのがベター
・ドリンクは、甲類焼酎をベースとしたお酒が充実していることが特徴。飲み方のラインアップもお店ごとに多種多様
いろいろな部位を味わう
中村 私、焼肉屋さんで必ず頼む大好きなメニューが牛ハラミなんですけど、こちらの豚の「はらみ」もすごく美味しくてビックリしました!
西川 ハラミは牛も豚も横隔膜の部位を指し、実はもつの一種なんですよね。中村さんは、焼肉店ではほかにどんな部位をよく食べてらっしゃるんですか?
中村 タンですね。ということで、次は「たん」をお願いします!
田中 こちらも塩でどうぞ。焼き立てが美味しいですよ!
中村 うん! 厚切りで食べごたえがあって、それでいて歯切れがよくサクっとした食感が絶品。ジューシーな肉汁もたっぷりで、でも後味はさっぱり。これも何本でもイケそう!
西川 「たん」は200円の「上たん」という、数量限定の人気部位もありますよ。
中村 ホントだ! どう違うんですか?
田中 「上たん」は、通常のたんよりも脂がのった付け根の部分です。よりやわらかい食感と、ジューシーさも魅力ですね。
中村 なるほど~。では、もうひとつの数量限定部位「あぶら」(200円)は?
西川 「あぶら」は、小腸の周りにあるキクアブラと呼ばれる部位で、字のごとく濃厚な脂の甘みを楽しめます。味付けはタレのほうがオススメですね。
中村 もつ焼きも、部位によっていろいろな味わいが楽しめるんですね。「上たん」も「あぶら」も美味しそうなんですけど、それ以上にいま見て気になったのは「タコさんウインナー」! こちらは串焼きで提供されるんですか?
田中 はい、見た目が可愛らしくて女性にも人気の一品です。
中村 ますます気になる! では「タコさんウインナー」をお願いします!
中村 4匹のタコさんが並んで、確かにカワイイ! 子どものころのお弁当を思い出して懐かしい気分になりますけど、炭火で焼き立ての香ばしさがあってクオリティがケタ違い。家で焼くのとはさすがに別格の美味しさですね。
もつ焼き酒場をより楽しむポイント
冒頭でひろみんさんの解説にあったように、串焼きのお店には「注文は同種2本から」というルールを設けている場合もあるので、ひとりで楽しむ際は確認しておくとベター。
なお、見慣れない部位はお店の人に聞けば教えてくれますし、豚のイラストとともに説明書きが用意されているケースもよく見かけます。また、タレか塩かなどは、お任せで部位に適した味付けを基本としつつ、好みを指定できるというお店も多いです。
より美味しく食べるためには、提供されたらすぐに味わうこと。これは冷めないうちに、という意味と、時間経過とともに余熱が芯まで入りすぎて硬くなるからです。一度にたくさんではなく少量ずつ注文し、じっくり楽しむことがコツだといえるでしょう。
また、串から外さずに食べることも美味しく味わう秘訣。これは、串から肉を外すと穴からうまみや肉汁が出てしまうから。
老舗の中にはまれに、串から外してはいけないというお店や、注文は最初の一回のみという暗黙の独自ルールを設けているもつ焼き酒場もありますが、それはあくまでも例外。事前に「せんべろnet」をチェックするなど、予習しておけばより安心です。
〜もつ焼き酒場を楽しむポイント〜
・同種2本縛りのお店もあるので事前に確認しておこう
・串から外さない方が美味しく食べられる
・提供されたらできるだけすぐに食べる。硬くなる部位もあるので少量ずつの注文がオススメ
・ローカルルールがあったりもするが難しく考えず身をゆだねる
アットホームな雰囲気の源にある店主の絆
中村 そういえば、「泰希」という店名の由来はどこから来てるんですか?
田中 僕と西川が以前同じやきとん酒場で働いてまして、そこで意気投合して、ふたりでこの店を開業したんです。で、店名をどうしようかと考えた際、ふたりの子どもの名を使おうという話になったんですよ。
西川 そうなんです。うちの長男と田中の長女の名前を1文字ずつ採用して「泰希」。子どもの名前を付けたからには、絶対つぶすわけにはいかないって決意も込めています!
中村 スゴく素敵! おふたりの強い絆を感じますし、その仲のよさがお店のやさしく楽しい雰囲気を生み出してるんだと思います。と、話していたらまた「れば」が食べたくなったので、おかわりお願いします!
西川 かしこまりました!
もつ焼きとチューハイの美味しいペアリングを楽しんだ中村さん。2杯目を注文しようと思いドリンクメニュ—を見ると、そこに「ボトル キープ3か月」の文字を発見し、試してみたくなったのでした。ということで、次回のテーマは「ボトルキープ」。ひろみんさんのアドバイスを交えながら、そのメリットや仕組みなどを解説していきます。
撮影/我妻慶一
<取材協力>
やきとん 泰希
住所:東京都練馬区旭町3-11-22
営業時間:15:00~22:30、土曜、日曜、祝日13:00~22:30
定休日:不定休
※価格はすべて税込みです
記事に登場した商品の紹介はこちら▼
・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/
・極上〈宝焼酎〉
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/gokujo/
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