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2024/8/27 19:30

真夏に日持ちさせるには?野菜・フルーツの正しい保存方法まとめ

寒い季節だと日持ちした野菜も、猛暑日が続く真夏は傷みやすくなります。「夏野菜なら常温保存でもいい?」「根菜は暗所に保存しておけば問題ない?」「冷蔵庫に入れているのに日持ちしないのはなぜ?」など、野菜や果物を保存する際にちょっとした疑問が浮かぶことも多いのではないでしょうか。

 

料理研究家・ラク家事アドバイザーの島本美由紀さんに、野菜と果物の日持ちする保存方法を、野菜やフルーツの種類ごとに解説いただきました。

 

 

夏は冷蔵・冷凍保存が基本!
常温保存は食中毒にもつながる?

 

近年は夏になると、国内各地で35度以上を超える猛暑日が続くことが多々あります。暑い夏の時期は、野菜をどのように保存したらよいのでしょうか。

 

「基本的に、夏は冷蔵庫での保存をおすすめします。最近は日本も熱帯化していて湿度も高いので、常温保存は傷みやすくなります。一昔前であれば自宅に床下収納で保存することもありましたが、最近だと夏場は床下収納の気温も湿度も高くなってしまい、野菜の保存には不向きです」(料理研究家・島本美由紀さん、以下同)

 

桃やアボカドなどをかたい状態で購入した際に、熟させるために1日常温に置く分にはよいですが、常に置いておくと傷んでしまうそう。また、通常だと常温保存するジャガイモなども、暑いと芽が出て劣化や食中毒の原因につながることも。夏は冷蔵・冷凍保存を基本としましょう。

 

日持ちさせるポイントを解説!
夏野菜の保存方法

島本さんに、野菜の種類ごとに日持ちする保存方法を教わりました。まずは夏野菜から紹介します。

 

・トマト

冷蔵保存の場合
……最大10日間程度

「トマトは、ペーパーなどで水気を拭きとり、ポリ袋に入れて野菜室で保存してください。ヘタの周りは肉厚でつぶれにくいので、ヘタを下にした状態で入れておきましょう。この保存方法だと10日程日持ちします」

 

冷蔵庫は冷気が回っていて乾燥状態になるそう。冷蔵の際は、野菜は乾燥しないようにポリ袋に入れて保存する、という基本を覚えておきましょう。

 

冷凍保存の場合
……最大3カ月間程度

 

トマトは夏になると、箱入りで安く売っていることもよくあります。大量に購入した場合はどのように保存するとよいのでしょうか?

 

「すぐに食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。水洗いをして水気を拭きとり、冷凍用の保存袋に入れておきましょう。この時にヘタを取ってしまうと、乾燥して1カ月程しか持たなくなります。ヘタの付いた状態で丸ごと冷凍することで、3カ月は保存できます」

 

トマトは水分の多い野菜なので、冷凍用の保存袋に入れる前に1個ずつラップで包むと、乾燥を防いでくれるそう。ひと手間かかりますが時間があるときはラップも活用してみてください。また、カットした状態で冷凍用の保存袋に入れることもでき、その場合は1カ月程日持ちするそうです。

 

【冷凍したトマトの使い方】
「冷凍したトマトを使うときは、夏場は5分程、ほかの季節は10分程常温に置いておくことで、包丁でサクサク切ることができます。切ったものはそのまま煮込み料理に入れて使えますし、夏であればそうめんのつゆに入れると氷代わりになるのでおすすめです。丸ごと冷凍したトマトは水にさらすと皮が剥けるので、湯剥きが必要なくなります」
冷凍することで旨みが増し、ソースにするとコクが出るといいます。すぐに食べきれない分は冷凍保存を活用しましょう。

 

・キュウリ

冷蔵保存の場合
……最大2週間程度

「水気を拭きとり、1/2枚に切ったキッチンペーパーで1本ずつ巻いてから、ポリ袋に入れてください。野菜室にヘタ部分を上にして、立てて保管するとよいです。ペットボトルやプラスチックのカップなど、空き容器にさして入れておくと保存しやすくなります。こうすると、2週間程日持ちしますよ」

 

購入した袋のまま冷蔵庫に入れると、中に水滴が溜まって雑菌が繁殖し、表面がヌルヌルする原因になるそう。水気を拭きとってから保存するようにしましょう。

 

冷凍保存の場合
……最大3カ月間程度

「キュウリも丸ごと冷凍できますが、薄切りにしたほうが使うときに便利です。薄切りにしたキュウリに軽く塩を振り、5分程置くと水気が切れます。それを冷凍用の保存袋に入れて保存することで1カ月程日持ちします。塩の旨みが入るのでおすすめです。塩を振らずに冷凍することもできますが、その場合は解凍後に塩などで味付けしてから使いましょう」

 

丸ごと冷凍の場合は、水気を拭きとってから1本ずつラップで包み、冷凍用の保存袋に入れて冷凍することで3カ月日持ちするそうです。ですが、キュウリは薄切りにして料理に使うことが多いので、薄切り冷凍が使い勝手がよく、調理の時短にもなります。

 

【冷凍したキュウリの使い方】
「薄切りしたキュウリは冷蔵室で解凍、または自然解凍し、水気を絞って使ってください。ポテトサラダや酢の物などに使えるので便利です。丸ごと冷凍したものを使う際は、トマトと同じ要領で解凍しましょう」

 

・ナス・ピーマン

冷蔵保存の場合
……最大1週間程度

「ナスとピーマンは保存方法が一緒。水気を拭きとったらキッチンペーパーで軽く包みましょう。ナスは2本程、ピーマンは2~3個程一度に包んでOKです。それをポリ袋に入れて野菜室で保存してください。キッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れることで、乾燥を防いでくれます。ナス、ピーマンともに日持ちは1週間程です」

 

冷凍保存の場合
……最大3カ月間程度

「ナスとピーマンも丸ごと冷凍できます。トマトと同じく、水気を拭きとってから冷凍用の保存袋に入れて保存してください。どちらも3カ月程日持ちします」

 

水分を多く含んでいるナスは、トマトと同様に1本ずつラップに包むことで乾燥を防げるといいます。時間があるときはラップに包んで保存してみてください。

 

・大葉

冷蔵保存の場合
……最大3週間程度

「空き瓶の底に、水を少し入れるか濡らしたキッチンペーパーを敷き、大葉の軸を下にして立てて入れてください。瓶のフタかラップで密閉し、野菜室か冷蔵室で保存しましょう。大体2~3週間日持ちします」

 

水やキッチンペーパーは、1週間置きに替えるようにしましょう。

 

冷凍保存の場合
……最大1カ月間程度

「大葉の軸を取り、冷凍用の保存袋にそのまま入れて冷凍できます。日持ちは1カ月程です」

 

【冷凍した大葉の使い方】
「凍った状態の大葉を手でもみほぐすと、細かくパラパラになります。冷ややっこやパスタなどのトッピングに使えて便利です」

 

夏野菜は大量に購入したり、もらったりすることも多いと思います。なるべく日持ちする方法で保存して、食べきるようにしていきましょう。

 

いつも使う野菜も知っておこう
常備野菜の保存方法

次に、一年中よく使う常備野菜(ジャガイモ、キャベツ、もやし)の保存方法についてうかがいました。

 

・ジャガイモ

冷蔵保存の場合
……最大3カ月間程度

「基本的に、ジャガイモは土がついていれば常温で保存ができます。ですが、夏は気温や湿度が高くなるので野菜室で保存しましょう。この時に、水洗いせずに土のついた状態でペーパーや新聞紙に包み、ポリ袋に入れてください。大体2~3カ月は日持ちします」

 

水洗いしたものは保存が効かなくなるので、水洗いせず、購入した状態のまま保存するように注意しましょう。また、ジャガイモも丸ごと冷凍することはできますが、保存期間は冷蔵と変わらないそうなので、冷蔵保存がおすすめです。

 

・キャベツ

冷蔵保存の場合
……最大2週間程度

「丸ごと購入した場合は、包丁の刃先で芯をくり抜き、濡らしたキッチンペーパーを詰めてください。ペーパーが渇いてきたらまめに交換しましょう。半分に切られたものの場合は、切り口にキッチンペーパーを乾いたまま被せてください。どちらもポリ袋に入れ、芯または切り口を下にして野菜室で保存しておきましょう。丸ごとなら2週間程。切らずに外葉から使うと長持ちします。半分に切られたものなら大体1週間程日持ちします」

 

キャベツは日が経つと切り口が黒ずんできてしまいます。これは、キャベツの水分により雑菌が繁殖しているためです。切り口に被せたキッチンペーパーについては、湿ってきたら取り替えるようにしましょう。

 

冷凍保存の場合
……最大1カ月間程度

「ざく切りにして冷凍用の保存袋に入れることで冷凍も可能です。日持ちは1カ月程です。キャベツは凍ったままでも、炒め物やスープに入れて使うことができます」

 

・もやし

冷蔵保存の場合

「購入したら袋に1カ所つまようじで穴を開け、冷蔵室かチルド室に入れましょう。野菜室は冷蔵庫の中で一番気温が高いため、もやしには不向きです。なるべく温度が低い場所で保管するようにしてください」

 

冷凍保存の場合
……最大1カ月間程度

「冷凍の場合は、冷凍用の保存袋に入れてから冷凍室へ。1カ月程日持ちします。もやしもキャベツ同様、凍ったままでも鍋やフライパンにそのまま入れて調理ができ、便利です」

 

食べ残り・使い残りの多い
フルーツの保存方法

野菜だけでなく、果物についても保存する際の疑問にお答えいただきました。まずはアボカドとバナナから。どちらも常温で保存する人も多いと思いますが、日持ちさせるためにはどのように保存したらよいでしょうか?

 

・アボカド・バナナ

冷蔵保存の場合
……最大1週間程度

「アボカドやバナナはエチレンガスが出るため、むき出しのまま冷蔵庫に保存することで、ほかの野菜が成長したり傷んだりしやすくなります。ですから、1個ずつラップに包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存してください。1週間程日持ちします」

 

2個一緒にラップに包んでしまうと、お互いのエチレンガスで傷みやすくなるといいます。バナナも房から1本ずつ外してラップに包むようにしてください。

 

※アボカドの実がかたい時
アボカドは、まだ実がかたくて熟していないことがあります。
「その場合は、冷蔵庫の中にいれておけばゆっくりと熟すので、すぐに食べない場合はやはり冷蔵庫保存がよいでしょう。当日や翌日などすぐに食べたい場合は、1日程度に常温に置いておくとやわらかくなります」

 

バナナは常温保存することでシュガースポットと呼ばれる黒い斑点が出てきます。栄養価が高くなった証拠なので、夏以外であれば常温保存でもよいそう。ただし、2~3日程度で食べきれない場合は、冷蔵庫で保存しておきましょう。

 

・レモン

料理やお菓子作りで使うことの多い、レモンはどうでしょうか?

 

冷蔵保存の場合
……最大2週間程度

「レモンは丸ごとキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存しましょう。大体2週間ほど程持ちます」

 

冷凍保存の場合
……最大1カ月間程度

「使いきれず残ったものは冷凍がおすすめです。くし形に切ってラップに包み、冷凍しておけば1カ月程持ちます。使うときは自然解凍し、唐揚げや魚に絞るなどで使ってみてください」

 

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保存環境を見直して、野菜を長持ちさせる

それぞれの野菜を教わった方法で保存する前に、もう一つ見直したいことがあります。それは保存する環境を整えること。

 

「野菜は雑菌が繁殖しやすいものや湿気に弱いものがけっこうあります。そのため、野菜を保存する機会の多い野菜室は、予め汚れないように工夫し、清潔な保存環境を保っておきましょう。一番簡単な方法は、野菜室の底に新聞紙を敷くこと。こうすることで、雑菌の繁殖を抑えられます。汚れた時は取り替えながら清潔に保ってください」

 

新聞紙だけでなく、大きめのビニール袋を敷いてから新聞紙を敷くことで、より掃除が楽になるそうです。野菜室以外にも保存環境の注意点はあるのでしょうか?

 

「夏以外の時期に常温で保存する場合は、直射日光の当たらない風通しのよい場所に保管しておくようにしましょう。冬は暖房の当たらない涼しい場所に置くこともポイントです」

 

保存方法や過剰除去を見直し、食品ロスに取り組む

近年、食品ロス(フードロス)が社会問題となっています。私たちの家庭で発生する「家庭系食品ロス」に関し、意識的に減らしていくことが大切です。そのためにも、野菜をすぐに食べきれない程購入した際は、冷蔵・冷凍保存を活用して保存できる期間を延ばし、廃棄する野菜が出ないように努めていきましょう。

 

「野菜は傷んで廃棄するものだけでなく、“過剰除去”が食品ロスにおいて問題になっています。例えば、ピーマンはヘタや種を取り除いて食べますよね。でも本当は丸ごと食べることができるんです。ほかにも、小松菜の根もとの部分やリンゴの皮なども食べられます。食べられないと思い込んで捨ててしまっていることも多いので、一度見直してみましょう」

 

冷凍室に保存袋を立てて保管し、保管した日を記載しておくことで食品が埋もれてしまうことを防げます。

 

そのほか、ストックする方法を工夫することで食品ロスを減らすこともできます。できることから工夫して、おいしい野菜を無駄なく使い切っていきましょう。

 

Profile

料理研究家・ラク家事アドバイザー / 島本美由紀

旅先での発見を料理や家事に生かし、身近な食材で誰もが手軽においしく作れるレシピを考案。冷蔵庫収納や食品保存のスペシャリストとしても活動し、NHK『あさイチ』や日本テレビ『Zip!』などに出演。「ムダなく使い切れる!冷蔵庫収納術」(コスミック出版)のほか、著書は80冊を超える。
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