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2024/12/31 19:00

2024年のAppleまとめ。今年の振り返りから「次のiPhone」を予想する!

2024年、アップルはiPhone 16シリーズをはじめ、様々な新製品を発売しました。2025年4月にはソフトウェアアップデートによる日本語対応も決まっている、独自の生成AIサービス「Apple Intelligence」についてもおさらいしながら、「次世代のApple製品」を予想してみます。

 

アップル独自の生成AI「Apple Intelligence」が誕生した

↑2024年にアップルのクパティーノ本社で開催された「WWDC 24」。トークセッションの壇上にはCEOのティム・クック氏(画像左)のほか、Apple Intelligenceを担当する機会学習・AI戦略の責任者であるジョン・ジャナンドレア氏(画像中央)、ソフトウェアエンジニアリングの統括責任者であるクレイグ・フェデリギ氏(画像右)が登壇しました

 

振り返れば2024年もアップルの周囲はいつも賑やかでした。

 

iPhoneにMacなど、主要製品に対応するアップル独自の生成AIサービス「Apple Intelligence」が6月に誕生。提供開始は10月28日からで、当初は「アメリカ英語のみ」の対応となりますが、最新のOSにアップデートして、デバイスとSiriの言語を英語に変えれば日本でも試せます。

 

Apple Intelligenceには様々な生成AIを活用する機能があります。その中から発表時にアップルが予告したものが、いま次々と実装されている段階です。

 

Apple Intelligenceが届いたメールの内容を要約したり、ユーザーが書いたテキストを用途に合わせて清書してくれる機能などは、現時点で英語のみの対応です。そのため便利に感じる場面は限られます。

 

おすすめは「写真」アプリに新しく追加された「クリーンアップ」。言語環境を英語に変えなくても即戦力として使えます。写真アプリに保存した静止画データから、削除したい被写体を選択してきれいさっぱり消去する機能です。

↑写ってほしくない被写体を「写真」アプリによる簡単な後処理加工で消せる「クリーンアップ」。iOS 18.2以降から試せます

 

グーグルのスマホ「Pixel」シリーズにも「消しゴムマジック」という似た機能があります。両方試している筆者の印象では、Apple Intelligenceのクリーンアップ機能の方が、不要なオブジェクトの消し方が自然で上手なように思います。

 

直近では12月11日に各デバイスのOSがアップデートされ、SiriにChatGPTが対応したり、AIで画像を生成するImage Playgroundが追加されました。OSの設定からChatGPT連携をオンにすると、Siriに聞いた少し複雑な質問を、代わりにChatGPTが答えてくれます。ChatGPTのアプリをあまり使ってこなかった方は、SiriにChatGPTが連携することで便利さを実感できるかもしれません。

 

Image Playgroundは独立したアプリとしてiOSやmacOSに追加されます。人物のポートレートなどベースになる写真データを選んで、任意のキーワードを追加するとApple Intelligenceがちょっと気の利いた画像を素速く生成します。

 

Image Playgroundは試すと楽しさが実感できる機能ですが、画像のテイストがちょっとアメリカンなところが気になります。サービスが日本語にも対応する頃には、テイストが日本人の好みに合わせてチューニングされているといいですね。

↑iPhoneのImage Playgroundアプリを遊んでみました。筆者のセルフポートレートから“異世界おじさん”の写真を生成。プリセットされている「Fantasy」「Summer」などのキーワードのほかに、フリーワード入力から「Video Game」「Knight」を追加すると、まずまずの画像が生成されました。メッセージなどに添付して使えます

 

大きくなったiPhone 16。次は待望の「新SE」か?

2024年にはiPhone 16ファミリーの4モデルが発売されました。上位のiPhone 16 Proシリーズは「iPhone史上最大の画面サイズ」になりました。iPhone 16 Proが6.3インチ、iPhone 16 Pro Maxが6.9インチ。本体の厚さサイズは変えず、タテ・ヨコの大きさと質量を“少しだけアップ”した程度に抑えています。

アップルが9月に開催したイベントでiPhone 16ファミリーの4モデルが発表されました

 

iPhone 16ファミリーはすべてのモデルがApple Intelligence対応です。iPhone 16シリーズは背面メインカメラのレンズ配置がiPhone 12シリーズ以来に一直線に戻り、Apple Vision Pro用の空間写真や空間ビデオが撮れます。

 

本体側面には新しいユーザーインターフェースである「カメラコントロール」ボタンを追加しました。カメラアプリを起動して、シャッターを切ったり様々な設定変更の操作が素速くできます。iPhoneの画面ロックを解除しなくても、カメラコントロールボタンを押せばカメラアプリが起動します。まわりの人にiPhoneを預けて、写真を撮ってもらいやすくなりました。

 

2025年に注目すべきiPhoneの話題はずばり「次のiPhone SE」です。高い確率で、新しいチップが載ってApple Intelligence対応になると思います。また時代の流れから考えると、おそらく本体のサイズは6インチ台に大きくなって、Touch IDを内蔵するホームボタンが省かれるのではないでしょうか。

↑写真は現行第3世代のiPhone SE。次世代のモデルはスペックとデザインがどこまで変わるのか注目です

 

次のiPhone SEには、現在アップルが独自に開発を進める5Gモデムが搭載されるのではないかというウワサもあります。そうなった場合、現在のクアルコムが提供する5Gモデムと比べて通信の速度や安定感が変わるものなのかが気になります。

 

iPhone 16シリーズは2023年に発売されたiPhone 15シリーズから価格を据え置いています。おそらく次世代のiPhone SEは現行第3世代のiPhone SEの価格(6万2800円、税込/64GB)を越えてくるでしょう。それでも7〜8万円台に収まってほしいところですが、実現すればiPhoneとApple Intelligenceのさらなる普及拡大に弾みをつけそうです。

AI対応のiPadが充実

iPadは最上位のPro、高機能なAir、コンパクトなminiの新製品が2024年に出揃いました。iPad Airには初の大型13インチのモデルを追加。A17 Proチップを搭載するiPad miniもApple Intelligence対応です。

↑2024年5月にはロンドンでiPad Pro、iPad Airの新製品が発表されました

 

iPadの専用デジタルペンにも、新しい「Apple Pencil Pro」が追加されました。2024年モデルのiPadはすべてApple Pencil Proと、USB-CのApple Pencilのみに対応します。Apple Pencil Proは本体にセンサーを内蔵する箇所を強めに指で押す「スクイーズ」と、本体を回転させる「バレルロール」という新しいジェスチャー操作に対応。触感フィードバックを内蔵したことで、ペンツールの切り替え操作も確実に行えます。筆者はそそっかしいので、よくApple Pencil Proの所在を見失うことがありますが、iPadまたはiPhoneの「探す」アプリから探索できるようになってひと安心です。

 

一方、まだ発表されていないのは“無印”のiPad。2025年には、Apple Intelligence対応を果たした”11世代”モデルが登場することはほぼ間違いないでしょう。iPadには、ラフなスケッチをきれいなイラストに描き変える「マジックワンド」という“iPad専用”のApple Intelligenceの機能があります。このような楽しい機能こそ、比較的安価な無印iPadのユーザーに広く遊んでほしいとアップルは考えているはずです。

↑Apple Pencilで超ラフに描いたスケッチから、ゴージャスなイラストを生成してくれる「マジックワンド」。iPadで楽しむApple Intelligenceの象徴的な画像生成AIの機能です

 

Apple M4チップが拡大。MacBook Airはどうなる?

2024年はアップルが独自に開発するAppleシリコンの最新チップセット「Apple M4」シリーズを搭載するiPad ProとMacが発売されました。

 

Macはコンパクトになった新デザインの「Mac mini」と、一体型デスクトップの「iMac」、そして上位のモバイルノートである「MacBook Pro」がM4チップを搭載しています。もちろんすべてのモデルがApple Intelligence対応です。

↑Mac miniのデザインが大きく変わりました。最新のM4、M4 Proチップが選べます

 

MacについてはmacOS 15.1以上、Apple M1以降のチップを搭載していることがApple Intelligenceを活用するための条件です。2020年に発売されたMacBook AirでもOKなので、他のアップルのデバイスよりも比較的敷居が低いと言えます。ChatGPTと連携するSiriや、メールにWordなどサードパーティ製のドキュメント作成アプリケーションなどを含むシステム全体で使える「作文ツール」など、来年の4月以降にApple IntelligenceとMacとの相性の良さを日本語で体験できる機会が楽しみです。

 

2025年にはまず、M4チップを搭載するMacBook Airが順当に出てくるものと思います。上位のM4 Proチップが選べる「ほぼProなMacBook Air」も実現すれば、ポータビリティの高いプロフェッショナル向けMacBookとして、多くのクリエイターやビジネスパーソンに注目されそうです。

 

10周年を迎えたApple Watch。こちらも次は待望の「新SE」か?

2024年はアップルがApple Watchを発表してから10年目のアニバーサリーでした。節目に誕生した「Apple Watch Series 10」は本体が一段と薄くなりました。ヘルスケアに関わる新機能として、ウォッチを装着して眠るだけで睡眠時無呼吸の症状が調べられる機能がSeries 10とUltra 2に追加されています。最新のwatchOS 11に「翻訳」アプリが載ったことにより、Apple Watchがオフラインの状態でも“ポケット翻訳機”のように便利に使えます。

↑Apple Watch Series 10は本体がさらに薄くなり、装着感がアップしています

 

次は廉価モデルであるApple Watch SEの新製品を期待している方が大勢いると思います。秋にSeries 10が発表される直前、「新しいApple Watchがプラスチックの筐体を採用するのではないか」というウワサも流れました。アップルはいま、製品の筐体からパッケージまで、環境負荷の高いプラスチック素材の使用を徹底削減することに力を入れています。その流れに反して、これからアップルが単純なプラスチックを使ったApple Watchを出すことは考えにくいと思います。

 

例えば100%廃棄された材料からアップサイクルした「アップル独自開発の高機能プラスティック」を発表して、Apple Watchの「発売から10年」を華々しく祝う革新的なSEが誕生する可能性はあると思います。

 

2025年にアップルは「まったく新しいプロダクト」を発表するのか

アップルに関する2024年の大きな出来事といえばもうひとつ、ヘッドマウントタイプの“空間コンピュータ”である「Apple Vision Pro」が、日本では6月から商品として発売されています。

 

価格が59万円〜という高価なデバイスなので、販売台数的にはアップルが苦戦を強いられているとも言われています。ところが、筆者が今までに取材したvisionOS向けのアプリやサービスを開発しているデベロッパの方々は、みな“やる気”に燃えていました。Apple Vision Proが布石になって、より多くの人々の手と目に触れる斬新な没入型コンテンツがこれから出揃うかも、という期待がわいてきます。

↑2024年はアップルが新カテゴリの製品となるApple Vision Proを発売した重要な年です。デベロッパとの連携により今後どんなアプリやサービスが開拓されるのか注目です

 

あるいはApple Vision Proのようなヘッドマウントタイプのウェアラブルデバイスが、これからはApple Watchのようにユーザーの健康を見守り支援するデバイスとして成長する可能性もあると思います。Apple Vision Proはアップルにとって成功なのか否かを性急に判断する必要はありません。

 

アップルがディスプレイを搭載するHomePodのようなスマートデバイスを開発しているというウワサも聞こえてきます。もしもそれが、アマゾンやグーグルが先行する“スマートディスプレイ”のようなデバイスなのだとすれば、相当革新的な製品でなければ大きな成長は見込めないだろうと筆者は思います。むしろアップル独自開発の5Gモデムを搭載する「常時コネクテッドなMacBook」といったプロダクトの方が勝ち筋をつくれそうです。

 

2025年もアップルの動向に注目しましょう。

 

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