デジタル
2017/2/10 19:28

【徹底チェック】オンキヨー初のハイレゾスマホ「グランビート」のスマホとしての実力は?

「GRANBEAT(グランビート) DP-CMX1」は、AV機器のオンキヨーブランド初のSIMフリーAndroidスマホです。ハイレゾ音源対応のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)を、そのままスマートフォンに搭載したような、贅沢な音楽機能が最大の特徴ですが、果たしてスマホとしての性能はどうなのでしょうか? 今回は、スマホとしてのグランビートをチェックしてみました。

↑機能的にもデザイン的にも、一般のスマホとは一線を画する端末です
↑オンキヨー「グランビート」

 

グランビートをひと目みてまず感じたのは、「分厚い」ということ。そして、実際に手にとってみると「重い」。5インチフルHD(1920×1080ドット)ディスプレイを搭載したスマホとしては、かなり厚みがあり(厚さ11.9mm)、重い(234g)モデルです。それでいて、防水機能も耐衝撃性能も備えていません。

↑シャープなフォルムが新鮮。手に持つと角張ったエッジと、ずっしりとした重さを感じます
↑シャープなフォルムが新鮮。手に持つと角張ったエッジと、ずっしりとした重さを感じます

 

ただ、デザインはなかなかスタイリッシュ。アルミニウムのブロック材から削り出したという重厚感のあるボディは、ひんやりと冷たく、エッジが立ってオーディオ機器らしいたたずまいがあります。くるくる回して音量調整ができるロータリーエンコーダー式ボリュームノブも、質感高く仕上げられ、使いやすい印象。最近のスマホは、持ちやすさ追求して角を落とした丸みのある筐体が多いので、この四角くシャープなフォルムはとても新鮮です。重さも、スマホとポータブルアンプが1つに収まっていると考えれば、それほど重いと感じない人もいるでしょう。

↑上質感のある音量調整ダイヤル。うっかり回転させることもありますが、反対側の側面丈夫にHOLDスイッチがあり、操作無効にできます
↑上質感のある音量調整ダイヤル。うっかり回転させることもありますが、反対側の側面丈夫にHOLDスイッチがあり、操作を無効にできます

 

本体の側面には、イジェクトピンを押し込んで引き出す大きなカードスロットがあり、nanoSIMが2枚、microSDカードが1枚、装備可能。2枚のSIMが同時待受できるDual SIM Dual Standby(DSDS)に対応し、microSDカードはSIMスロットから独立したスロットなので、128GBの内蔵ストレージに加え、最大256GBのmicroSD(SDHC、SDXCに対応)を使って大容量データを持ち運べます。

 

最近のミッドレンジ以上のSIMフリー端末によく採用されるようになったDSDSは、海外旅行中に、日本国内で使っているSIMと現地の安いプリペイドSIMを一緒に挿して使えるのが便利。日本国内でも、主要キャリアのSIMで通話、格安スマホのSIMを入れてデータ通信、といったように使い分けることができます。

↑SIMとmicroSDカードのスロット。それぞれ独立しています
↑SIMとmicroSDカードのスロット。それぞれ独立しています

 

対応バンドはLTE Band B1/3/7/8/19/26、HSDPA/WCDMA B1/5/6/8/19、GSM/GPRS/EDGE 850/900/1800/1900 MHzとなっていて、ドコモ、ソフトバンクのネットワークに対応しています。APN設定にはドコモ系MVNOのAPNが数多くプリセットされており、データ通信設定も簡単に行えました。なお、残念ながらauのネットワークには対応していません。

初期状態でドコモのネットワークを利用しているMVNOのAPNが用意されています
↑初期状態でドコモのネットワークを利用しているMVNOのAPNが用意されています

 

OSはAndroid 6.0。最新ではありませんが、使い勝手が大きく変わっているわけではないので、特に不便はないでしょう。チップセットはQualcommの「MSM8956」で1.8GHzと1.4Ghzの6コア構成。前述の通り、内蔵ストレージが128GB、メモリは3GBです。DAPなのでストレージはかなりの大容量ですが、チップセットやメモリだけを見ると、ミッドレンジクラスの機種という印象です。

 

カメラ機能は標準レベル

カメラは、背面のメインカメラが16メガピクセルで、F値2.0の明るいレンズを搭載。ソニー製のExmor RSセンサーを採用し、薄暗い場所でもきれいに撮れます。

↑ボリュームダイアルで細かく音量が調節できる

フロントカメラは8メガピクセルで、こちらはF値2.2。中華系スマホのような美顔モードは設定されていないらしく、いたってナチュラルな写りです。撮影モードはオート以外に、HDR、ポートレート、夜景、ロウソクなどが用意されています。料理モードがないのはちょっと残念な気がしますが、暖色系のライトが灯るカフェで撮ってみたところ、自然な色味で撮影できました。また、4K動画撮影も可能です。

↑ホイップクリームの載ったシフォンケーキをオートで撮影。かなり黄色いライトでしたが、自然な色味に補正されているようです
↑メインカメラでホイップクリームの載ったシフォンケーキをオートで撮影。かなり黄色いライトでしたが、自然な色味に補正されているようです

 

同じカフェでフロントカメラで自撮り。美顔モードなどは搭載されておらず、いたってナチュラルな写りです。

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音楽機能以外の部分で特筆すべきは、大容量のバッテリーです。音楽再生連続25時間、通話連続22時間、連続待受が480時間とあります。筆者自身、調べ物、SNS、メール、2、3時間のテザリング、カメラのテストなどで1日いっぱい使ってみましたが、夕方になってもバッテリーはまだ大丈夫でした。

↑バッテリーの利用状況。機能チェックのために、普段よりもハードに使いました。13時くらいから急激に減っているのはテザリングのため。それでも夜、帰宅するまで十分保ってくれました
↑バッテリーの利用状況。機能チェックのために、普段よりもハードに使いました。13時くらいから急激に減っているのはテザリングのため。それでも夜、帰宅するまで十分保ってくれました

 

音楽機能を評価できれば買い

今回、短い期間で使ってみたところ、スマホとしての使い心地は決して悪くありませんでした。SNSやWebブラウザ、Googleマップなどを使っていて、動作が遅いとかGPSの反応が悪いといったことはまったくありません。ただスペック的に、今後たくさんのアプリを使うようになったとき、ハイスペック端末のように引っかかりなく動くかは少し不安があります。

 

また、プリセットされているアプリは、Googleのサービスと一部の音楽サービスのリンクのみ。余計なアプリがプリセットされていなくていいという意見もありますが、必要なアプリはすべて自分でダウンロードする必要があります。主要キャリアのスマホに慣れている人は、少し戸惑うかもしれません。

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↑プリセットされているアプリは少ない

 

あえて音楽機能以外の機能だけでグランビートを評価すると、大容量バッテリーとストレージを搭載した、シンプルでクセのないミッドレンジのAndroidスマホという表現になります。スマホにしては重くて厚い端末ですが、オーディオ的な方向に振り切ったデザインはこだわりが感じられて潔く、むしろ格好良いとさえ思います。ただ、いくらデザインが良くても、税抜き8万4800円(楽天モバイルでの販売価格)は、ミッドレンジのスマホとしては高価です。

 

やはりグランビートのターゲットは、モバイルでも最高の音質で音楽を聴きたい、あるいは多少高額でも個性的なスマホを持ちたい、という人になるでしょう。オーディオ機器としてみれば、すでに別の記事で紹介しているように、ほかにはない魅力を備えた端末となっていますので、その点が評価の分かれ目になると思います。

 

音楽機能については、こちらの記事で詳細に解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

すべての音楽好きに捧げる前代未聞の高音質設計! オンキヨーのハイレゾスマホ「グランビート」がスゴい5つのポイント