デジタル
2015/3/3 14:00

Bluetoothを複雑にする「プロファイル」と「コーデック」

「週刊GetNavi」Vol.28-2

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Bluetoothを使ったスピーカーやヘッドホンは、以前に比べかなり身近なものになってきた。もちろん、背景にあるのはスマートフォンの普及。Bluetoothに対応していないスマホなんて考えられないし、それらを使って無線で音楽を聴くなら、省電力の点を考えても普及度を考えても、Bluetoothを使うのがベストだ。

 

一方、Bluetoothの問題点は、仕様が複雑である、という点にある。Bluetoothでは、同じ通信方式の上で、機器ごとに「プロファイル」と呼ばれるものが規定されている。プロファイルによって機器を区別し、その上で必要な通信が行われる、という形を採る。例えば、マウスやキーボードなどの入力機器では「HID(ヒューマン・インターフェース・デバイス・プロファイル)」というプロファイルを使うし、ハンズフリー通話用の機器では「HFP(ハンズフリー・プロファイル)」というプロファイルを使う。そして、オーディオでは「A2DP(アドバンス・オーディオ・ディストリビューション・プロファイル)」が使われる。

 

一般的なヘッドホンであろうが、ソニーのLDAC対応ヘッドホンであろうが、機器とA2DPを使って接続される点に変わりはない。ではなんで音質が違うのかというと、A2DPの中で使う「コーデック」が異なるのだ。

 

A2DPは通信の手順を司るものであり、音をどういう方式で圧縮して伝えるか、はまた別のこととなる。どういう圧縮方式=コーデックを使っているかで、音質は変化していく。

 

ただし、規格内でコーデックが定まっていないと、対応機器同士で通信ができなくなってしまう。そこでA2DPでは、規格上対応が必須のコーデックを定めた上で、その他にオプションとして、「より高音質にしたい場合に使って良いコーデック」が定められている。

 

必須のコーデックは「SBC」というもの。その他に、AACやaptXなどのオプションコーデックがある。LDACもオプションの一つだ。Buletooth機器が接続された場合、まずどのコーデックに対応しているか、という情報が相互にやりとりされ、その上で、通信できるもの同士で伝送されることになる。例えば、iPhoneはSBCとAACに対応しており、AAC対応のBluetooth機器とセットで使った時が最も音質が良く、AAC非対応の場合、SBCで通信が行われる。Androidの場合メーカーによって異なるが、最新の機器の場合、SBCの他にaptXに対応している場合が多く、apt-X対応機器と接続した場合には、より高音質となる。

 

LDACも同様だ。LDACの音質を生かすには、LDAC対応のプレイヤー(スマホやタブレットなど)も必要になる。例えば、ソニーのLDAC対応ヘッドホン「MDR-1ABT」の場合、SBC・aptX・AAC・LDACの4つに対応しており、LDAC機器がない場合には、AACもしくはaptXで通信をすることになる。今のところ、LDAC対応機器はウォークマンのみで、今後Xperiaが対応する、と見られている。

 

このような複雑さがBluetoothの難点なのだが、とにかく自分のもっている機器の「対応コーデック」を知っておくことが重要だ。では、コーデックによって音質などはどう違うのだろうか? その辺は次回Vol.28-3にて。

 

「Vol.28-3」は3/10(火)ごろ更新予定です。

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