デジタル
2017/5/25 20:00

【徹底レビュー】使ってわかったソニーの本気度! Androidプロジェクター「Xperia Touch」がスゴイ

Android端末といえばスマートフォンかタブレットが一般的です。27インチものサイズのディスプレイにAndroidを組み込んだスマートタッチディスプレイもありますが、主にデジタルサイネージや、会議室などで使われる製品であり、多くは流通していません。テレビの中にAndroidの機能を組み込んだ製品や、Chromecastを使ってスマートフォンの画面をテレビに表示させる方法もありますが、テレビ側がタッチパネルではないので操作性で難があります。

 

タッチが可能な大画面Android環境。この難しい問に対して、果敢にチャレンジしたのがソニーモバイルコミュニケーションズです。近年話題となっている短焦点プロジェクターにAndroidの機能を持たせた「Xperia Touch」を、6月24日に発売します。

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↑Xperia Touch

 

バッテリー内蔵で携帯できるAndroidプロジェクター

小型のデスクトップPCのようなスタイリングの「Xperia Touch」。SXRD・3原色液晶シャッター投写方式のポータブル短焦点プロジェクターでもあり、壁やテーブルに映像を投映することが可能です。

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サイズは約W69×H134×D143mm、質量は約932g。十分携帯できるサイズです。プロジェクターの表示素子は0.37インチで、解像度は 1366×768ピクセル。オートフォーカスを搭載し、明るさは100ルーメンとなっています。スピーカーも内蔵しているので、これひとつで映像コンテンツやゲームなども楽しめます。

↑放熱効果を狙ってのことか、本体はメッシュのカバーで覆われています
↑放熱効果を狙ってのことか、本体はメッシュのカバーで覆われています

 

ズームレンズは備えていないため、映像のサイズは投映する場所との距離によって変わります。テーブルや床に置いて、天板・床に直接投映すると約23インチ。上向きに置いて壁に投映する場合、壁から25cmほど離すと最大80インチまで大きくできます。

 

本体前面には赤外線とイメージセンサーが組み込まれており、毎秒60フレームでスキャニング。最大10点まで同時にタッチを検出します。実際にタッチ&フリックしてみると遅延はほとんど感じられません。スマートタッチディスプレイと異なり指の影が出てしまいますが、想像以上にサクサクと動作します。なおタッチ機能は、画面を大きくするほど遅れが生じるようでした。

 

搭載されているプロセッサーはヘキサコアのSnapdragon 650。メモリ3GBで内蔵ストレージは32GB。さらに最大256GBのmicroSD、microSDHC、microSDXCを使用可能です。

↑本体後部に備わるmicroSDカードスロット
↑本体後部に備わるmicroSDカードスロット

 

約1200mAhのバッテリーを内蔵し、約1時間ですがバッテリー駆動可能。短いと思うかもしれませんが、常時使うことを想定したようなプロダクトではないのでしょう(1人で使うのであればタブレット型のほうが操作性に優れますし、ストレスもありません)。家族で遊ぶとき、仲間と旅行先を地図で調べるとき、仕事仲間と一緒にデータを仕上げるときなど、画面に表示された情報をシェアするときにこそ、「Xperia Touch」の個性が生きてきます。

 

面白い、と感じたのが入力用HDMI端子の存在です。そう、「Xperia Touch」はHDMI経由でほかの機器からも映像を投映できるのです。PCと接続したとき、PCの画面をタッチで操作することはできませんが、「Xperia Touch」の可能性の高さを感じさせます。

↑接続端子はUSBタイプC(給電/データ転送用)とHDMIタイプD(入力用)
↑接続端子はUSBタイプC(給電/データ転送用)とHDMIタイプD(入力用)

 

ポータブル型の短焦点プロジェクターには、ソニーの「LSPX-P1」があります。プロジェクターとしての性能は「Xperia Touch」とほぼ同じ。といいますか、LSPX-P1をベースに「Xperia Touch」を作ったと見るべきですね。価格は「Xperia Touch」が14万9880 円でLSPX-P1が9万2500 円。映像を見るだけならばLSPX-P1を選べばいいでしょう。しかし、「Xperia Touch」がもたらす新たな体験は、価格差以上の価値があります。

 

明るさはややこころもとないが許容範囲

実際に使ってみるとどうでしょうか。スペック的に気になるのは明るさ。オフィスで使われるデータプロジェクターで2500ルーメン超、家庭用のAVプロジェクターも1000ルーメンを超えるものが多いのですが、「Xperia Touch」は100ルーメンに留まります。

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↑明るさは100ルーメン

 

日中にカーテンを全開にしたときはアウト。一部の色しか判別できません。この環境でも正しく表示できるのは大型のプロジェクターぐらいなので仕方がないところではありますが、小型のプロジェクターを使ったことがない方は注意が必要です。

 

夜に部屋の照明を全部つけたときは意外にもクッキリ。いや、コントラスト比は低く、映像を楽しむためのグラデーションは実現できていませんし、文字を追いかける使い方にも適しません。でも映像のながら見、ゲームのながらプレイをするぶんであれば申し分なし。

 

明かりを控えめにすると、なかなか、いいじゃないですか。まだ色味が浅いところがありますが、壁も床もテーブルもモニター代わりにできるという自由度の高さを考えたら満足できます。もちろん極力光が入らないようにすれば、AV的な嗜好性も満足させられるほどの映像になりますよ。

 

明るめの場所では、コントラスト比が低くても楽しめるアプリやコンテンツを使うのがよさそう。子どもと遊ぶときに使うなら、お絵かきアプリがおすすめですね。壁や床にクレヨンで縦横無尽にクレヨン&マジックグラフィティを描かれるまえに、「描きたいんだったらお父さんにいってね。準備するからね」と教え込むのが吉です。

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画面はペン先でもタッチできる

「Xperia Touch」は、投映した画面へのタッチを赤外線とカメラで認識します。スマートフォンなどとちがって、画面に静電センサーが組み込まれているわけではないため、指以外でもタッチできる仕様となっています。

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つまり、できるんですよ、ペン先とかでタッチすることが。楽器アプリを演奏するときも、ペイントアプリでイラストを描くときも、地図アプリで表示位置を動かすときも、ペンや筆でも、それこそ割り箸でもかまいません。さっと一筆描くように、画面を操作できます。画面が大きくなったぶん、指先だけで操作すると疲れやすくもなりました。でも細長いペンなどを使えば労力低減です。

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↑ペンや棒などで操作することも可能

 

低レイテンシで楽器アプリ・音楽ゲームがはかどる

タッチ時のレスポンスに優れたことから、音楽ゲームも試してみました。これが、いい! 約23インチという大画面と相成って操作しやすい! まるでゲームセンターの専用筐体でプレイしているかのごとく、両手をつかったリズミカルなプレイができました。

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プロセッサのスペックは、2017年現在ミドルクラスといったところ。3DCGを多用したハイエンドなゲームをのぞけば、良好で快適そのものです。

 

楽器アプリもタッチ時のレスポンスが重要なアプリです。体感できるほどの遅れがあると、操作していて気持ちが悪く感じてしまうものですが、「Xperia Touch」ならば問題なし。両手を駆使した演奏だってこなせます。まあ、鍵盤のサイズがリアルなピアノより大きくなってしまったあたりはご愛敬で。

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IoTの音声アシスタントとして使える未来も想像できる

「Xperia Touch」にはマイク/加速度/地磁気/GPS/ジャイロ/照度/気圧/気温/湿度/人感といった、様々なセンサーが内蔵されています。このうちマイクはボイスコマンド入力用に使えます。

 

現在はAndroidのいち機能として、アプリの呼び出し、ネット検索などの用途となりますが、今後はAmazon EchoのようにIoT機器を駆使したスマートホームのハブとして使える可能性も考えられます。戸締まりの確認、カーテンの開け閉め、お風呂の温度コントロールなどなど、「Xperia Touch」を介して行える未来。楽しいかも……。

 

近年のソニーグループは、マス向けの製品のみならず、今後の市場を見据えた一歩先行くモデルをしっかりと作り込んできているという印象があります。ソニーモバイルコミュニケーションズも同じ温度感を持っているのでしょう。スマートデバイスのあり方を占う「Xperia Touch」に感じた未来感。皆さんもぜひ試してみてください。