デジタル
2017/11/14 6:00

【西田宗千佳連載】家電横断サービスで「生活分析」を目指すシャープ

「週刊GetNavi」Vol.60-4

シャープは現在、「COCORO+」というサービス群を備えた家電の開発を進めている。テレビだとそれが「COCORO VISION」というサービスになり、電子レンジでは「COCORO KITCHEN」というサービスになるというわけだ。

↑「COCORO+」のロゴマーク

↑シャープ「COCORO+」商品群
↑シャープ「COCORO+」商品群

 

どれも軸になっているのは、「いま、家電がなにをすべきかを消費者に提示する」という、ある意味でレコメンドに近いものだ。利用しているネットワークプラットフォームはまったく同じもので、会員サービスとしても同じ「COCORO+」を使う。機器から得られたデータをシャープ内の同サービスに蓄積し、利用するのである。音声アシスタントとしての機能は、当然音声を使うので共通のインフラを使っているが、それだけでなく、個人の好みから適切な選択肢を消費者に提示するというコアな部分も、同じサービスが受け持っているのだ。これは、ネットワーク開発インフラを共通化することで、全体での開発コストを下げつつ、これまでネットワーク化されていなかった白物家電などの機器での活用を容易なものにするという狙いもあるが、情報をより多彩なものにして、人間の気持ちに寄り添ったAI作りに生かすことが最大の目的といえる。

 

もちろん、テレビでの番組のレコメンドと電子レンジでのレシピのレコメンドでは、最終的なアウトプットはまったく異なり、同じ名前のサービスではあるが、見え方は異なってくる。そもそも、多くの人にとって、電子レンジとテレビが連携する、といわれてもさほどうれしくないように感じられがちだ。

 

しかし、こと「家庭で使う機器」という観点に立てば、そこで生かす情報の性質について、似たところが多い。そのカギになるのは「いつなにをしたか」「家族がどのような行動をしたか」という情報だ。

 

例えば、同じ「テレビを見た」という行為でも、「チャンネルを変えず、適当についている番組を見た」場合と、「テレビのレコメンドに応じてチャンネルを切り換えた」場合と、「電子番組表から自ら選んで録画予約し、それを見た」のでは、行為の重みがまったく異なる。また、同じ録画でも、どの時間帯に見たのかによって、実際には家族の誰が見たのかがある程度わかる。ここに、電子レンジの使われ方の傾向を組み合わせると、「その家はだいたい何人の構成で」「何曜日の何時に家電が多く使われるか」といったことが見えてくる。その結果、将来的には、家族向けの料理を多くしたり、家族の年齢層を考慮したレシピを提案したり……といったことが可能になる。シャープは、こうした効能に加え、複数の家電で「同じ顔を持つ音声アシスタント」を用意することで、「COCORO+というキャラクターが家族と共に暮らす」ようなイメージになることを狙っている。

 

これは、AV・IT・白物といった、広いジャンルを手がけるシャープのような企業でないと難しいやり方だ。現在はまだ、その構想が示された段階に過ぎないため、消費者が「シャープのサービスがあるから家電を選ぶ」段階にはない。しかし、そうした世界をわかりやすく示せれば、GoogleやAmazonにはない魅力になりえるだろう。いま、シャープはその入り口にいるが、変化を示すまでに残された時間は少ないように思える。

 

●Vol.61-1は「ゲットナビ」1月号(11月24日発売)に掲載予定です。

 

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