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2018/3/9 18:30

屋根の上には危険がいっぱい――ドローンで日本の屋根を安全に管理する「日本屋根ドローン協会」が発足

先日、都内にて「日本屋根ドローン協会」の設立発表会が開催されました。日本屋根ドローン協会は、ドローンを使って屋根の点検を円滑に行えるように、屋根の点検補修をするリフォーム業者や瓦業者など屋根事業のスペシャリストとドローンアプリ開発会社、大学、弁護士などドローン技術に関わる有識者が理事を務める団体です。

 

日本屋根ドローン協会発足の理由としては、点検の安全性と人員不足の解消が挙げられています。一般に、屋根の点検は職人が屋根にハシゴをかけ屋根にのぼり、目視で確認します。このとき、命綱などを付ける慣習はなく、屋根から転落する事故が起きているとのことです。その数、年間846件もあり、そのうち40件が死亡事故となっています。

↑屋根点検は命綱や足場もなく屋根を歩いて点検をしなくてはならない

 

さらに職人の数は1997年をピークに右肩下がりで減っており、現在はピーク時から28%も減ってしまっています。

↑年間40件もの死亡事故が発生。また、職人のなり手も少なくなっています

 

そこでドローンの出番というわけです。実際にドローンで屋根の点検をすると屋根にのぼる必要がないので、安全に点検ができるようになります。また、点検作業もこれまで2時間近くの時間がかかっていましたが、ドローンであれば約10分で完了することもあるそう。さらに屋根から人が撮影したよりも上空から撮れるので、屋根全体を撮影することができ、側面などさまざまな角度から撮影でき、より細かい点検作業ができるようになるわけです。お客さん側からしても、すべての点検場所が確認できるので、ちゃんと点検できているか、余計な場所の補修まで見積もりに入っていないかといった確認もできます。

↑屋根の点検を行うドローン。カメラの性能やドローンの安定性などを考慮し、DJIのファントムが推奨されています

 

↑アプリはドローン専用のものではなく、屋根の点検のために新たに作成されたもの。今後は映像から屋根のサイズが測れるような機能も搭載していくとのこと

 

ドローンを使っての屋根の点検はメリットだらけのように見えますが、問題点もあります。それはドローンが住宅街など人が多く住んでいる場所で飛ばすことができないこと。さらにドローンの運転自体の経験がなく、操縦するのが心配だという人もいます。これらの問題点や心配点を払拭するために日本屋根ドローン協会が存在するわけです。

 

協会では、簡単に操作ができるアプリを開発したり、飛行禁止区域の飛行許可を包括的に申請したり、ドローン操縦の訓練を行う施設の斡旋をしたりと、初めてドローンを導入する業者や職人が安心して使えるように活動をしていく予定です。ちなみにドローンの運転免許や飛行のための資格的なものはありませんが、協会では10時間程度の飛行訓練を受講してもらうようになるとのこと。

↑代表理事の石川弘樹氏

 

↑専用アプリを開発した理事の夏目和樹氏

 

安全に細かいところまで点検ができ、職人が屋根から転落する危険性を排除し、屋根の全体像が把握できて作業時間も大幅に削減される。ドローンによる屋根点検はまさに良いことづくし。あとは日本屋根ドローン協会が基準とする規定に基づいて操縦技術者を教育し、ドローン墜落などの事故を防げるようになれば、ドローンによる屋根点検は広く浸透しそうな気がします。

 

ドローンによるビジネス展開が増えれば、それだけドローンが社会に入り込み、私たちの生活より身近になっていくので、今後の活躍を期待したいですね。