Galaxyシリーズの最新モデル「Galaxy S9」「Galaxy S9+」が3月16日にグローバル向けの発売を迎えます。今回、発売に先駆けてこれらのグローバル仕様の実機を1週間ほど手にする機会を得ましたので、先行レビューをお届けします。なお、同機の国内での発売予定については、未だ明らかになっていません。
なお、既に速報記事でも同機の概要をお伝えしていますが、今回は速報で伝えきれなかった「カメラ」と「セキュリティ」のレビューを中心にご紹介しましょう。まず、Galaxy S8とS9の背面を比べてみると、アウトカメラの周辺にあった指紋センサーの位置が、カメラの真下に移動しましたことが分かります。
両機種を手に持ってみると「あれ、ちょっとだけ重くなったかな?」という印象を受けました。微妙な差異があるようです。若干ですが、S9の方が高密度に感じました。
実は、Galaxy S8が150gであるのに対し、Galaxy S9は163gあります。約13g増となりました。サイズを見てみると、[(S8国内仕様)約W68×H149×D8.0 mm]→[(S9グローバル仕様)W68.7×H147.7×D8.5mm]ですね。幅が増し、高さが減り、厚みが増えています。
そのほか、ディスプレイの上端にあるセンサー・カメラ類が目立たなくなりました。細かく見ると、下側面のスピーカーの形状も変わっています。
「S8」→「S9」で何が新しくなったのか?
勘の鋭い方は、「重くなったからには、性能がアップしているはず!」と思ったことでしょう。速報でもお伝えしたところではありますが、何が変わったのか、注目したいポイントをまとめてみました。
カメラが明るさに応じてF値を切り替える
さて、多くの方が一番気になるところは、やはりアウトカメラが進化したということでしょう。
S8ではF値が1.7でしたが、S9では1.5となっています。そして、S9では、このレンズが機械的に絞りを2段階で調整できる機構を備えていることもポイント。暗い場所ではF1.5で撮影しますが、明るい場所での撮影では、F2.4へと切り替わります。
一方、Galaxy S9+は、デュアルレンズ化を果たしました。S9と同じくF1.5またはF2.4の広角レンズを搭載し、加えてF2.4の望遠レンズも備えます。
今回は、実際にGalaxy S9+のアウトカメラを用いて、いくつか写真を撮影してみました。どのくらい写り方が変化したのか、旧機種のS8と出来栄えを比較してみましょう。
F1.7でも十分明るいカメラでしたが、F1.5になったことで、より夜景に強くなっています。また、F2.4への切り替えがあるおかげで、明るいシーンで影響なく撮れている点もよい。カメラについては文句なしですね。
なお、S9/S9+の「自動」モードでは、F値は自動で切り替わります。もし、狙ったF値で撮影したいならば、「プロ」モードを使うことで、F値を手動で切り替え可能です。
S9とS9+のカメラで使える撮影機能はここが違う
ちなみに、S9とS9+のカメラには、シングル・デュアルレンズという違いがありますが、機能として何が異なるのでしょうか。Galaxy Note8の情報を追いかけていた人ならわかると思いますが、そうでない人も多いと思うので、改めてご紹介しておきます。
結論から言うと、S9+では2つのレンズを切り替えて撮影できます。光学2倍相当の望遠レンズに切り替えることで、画質を落とさずに、少し遠くにある写真を撮影できます。
しかし、差はそれだけではありません。実は、どちらも撮影した写真の背景ぼかしを調整する機能を搭載しますが、実は両者で少し異なる部分があるんです。
S9では「選択フォーカス」という撮影モードが備わっています。このモードで撮影した写真は、撮影後に焦点を選択可能。ただし、焦点の合わせ方が「単焦点(遠くがボケる)」「遠焦点(手前がボケる)」「パンフォーカス(手前も奥もくっきり)」の3種類しかありません。
一方、S9+では、「ライブフォーカス」という撮影モードが使えます。「背景ぼかし」というスライダが表示されるので、度合いを調整することで、被写体の背景をふんわりとボカせます。ちなみに、「選択フォーカス」はこちらでは使えません。
また、S9+のデュアルレンズでは、「デュアルキャプチャ」機能が利用可能。望遠レンズで背景ボカし撮影をしながら、同時に広角レンズで背景をボカさない撮影が行えます。被写体を強調する撮影と、背景を活かした記念撮影を同時に実行できるというわけです。
スローモーションも撮影できるようになった。
S9/S9+では、960fpsのスーパースローモーションも撮影できるようになりました。ソニーのXperiaなどでは既にお馴染みなので、機能としてはさほどインパクトはありません。
しかし、Galaxyのユニークなところは、簡単な操作によって、これにBGMを付加したり、逆再生データをGIFファイルとして出力できたりすること。単なるスローモーションでは使い道は少ないですが、よりシェアしやすい素材として加工できます。
こちらもS9+で実際に撮影してみました。
Galaxy S9+で「スーパースローモーション」を使って撮影した、バルセロナの「Sant Medir祭り」で参加者がキャンディを投げる瞬間です。
スーパースローモーションには、自動と手動の2種類の撮影があります。「自動」の場合、スマホをしっかりと固定し、画面に表示された黄色い枠の中で狙った被写体が動くのを待ち構えよう。動きが検出されたら、そのタイミングがスーパースローになります。
一方、手動では、スーパースローにしたい場面を狙ってボタンを手動でタップします。自動で検知しづらい被写体では、こちらの方が撮影しやすいでしょう。
ちなみに、編集を行うことで、トリミング操作やスーパースローモーションで捉えた各場面を有効にするかどうかの選択が可能です。BGMの選択も行えます。最後に「保存」をタップすることで、編集内容が保存されます。
また、「ムーブ(繰り返し再生)」「リバース(逆再生)」「スウィング(折り返し再生)」の3種類のエフェクトを追加できます。これらは「ギャラリー」アプリで、スーパースローモーションの動画を開き、画面右上のメニューから「詳細」を選択。「スーパースロークリップ」の欄に表示される一覧から選択できます。スローのシーンは各エフェクトを選択した後に、選べます。保存するとGIFファイルとして出力されます。BGMを付けることはできません。
スーパースローモーションで撮影した素材をGIFファイルに出力してみました。個人的には、リバースやスウィングでの編集が気に入りました。気軽に面白い映像を作成できるので、多くの人にとって楽しみやすいのではないでしょうか。
顔認証と虹彩認証を合わせて使えるのは便利
セキュリティに関して、顔認証と虹彩認証を併用する「インテリジェントスキャン(Intelligent Scan)」も、S9/S9+で新たに搭載された機能の一つです。これを有効にすると、ロック画面上に目のアイコンと顔のアイコンが順に表示されます。指紋認証と顔認証が順に行われているのでしょうね。認証自体は素早く完了し、ロックが解除されます。
発表会での説明では、周辺の光量やマスク装着の有無で、2つの認証の比率を調整しているとのことでした。実際に筆者が試したところ、口元を手で隠しているときにも、画面が解除されました。また、周囲が真っ暗な場所でも、画面が解除できました。
明るい環境では、顔認証で素早くロックが解除可能。そして、先述の通り、顔認証が使えないような場面でも、虹彩認証が活躍して、不便なくロックが解除できました。使い勝手は非常に良好です。とくにマスクを着けていても解除できるのが良いですね。
また、目を閉じた状態では、ロックは解除されませんでした。寝ているときに第三者にロックを破られる心配もなさそうです(一方、通常の顔認証だとロックが解除されてしまいます)。
加えて、同機には指紋センサーも搭載されています。インテリジェントスキャンと指紋認証を両方登録しておき、シーンに合わせて使いやすい方を選択するという使い方もよいでしょう。
Galaxy S9/S9+はS8/S8+の正統進化モデルとして、カメラ性能、および使い勝手の面で、確実に向上させています。繰り返しとなりますが、国内販売は未定。ただし、S9/S9+の国内販売が決まれば、Galaxyファンをうならせること間違いありません。