デジタル
2018/5/10 7:08

【西田宗千佳連載】OPPO人気の秘密は「量産」効果、ゆえに撤退理由も「量産」問題

「週刊GetNavi」Vol.66-3

OPPOは2018年春より、経営資源をスマートフォンビジネスに集中し、ハイエンドAV機器向けのビジネスを終息する。正確には、過去に売った製品のサポートやアップデートは継続するものの、新規製品の開発と生産を行わない。

 

ビジネスを止めると聞くと、我々はどうしても「そのビジネスが不振だから止める」と考えがちだ。だが、OPPOのハイエンドAV機器事業が不振だったかというと、そうではない。日本でもアメリカでも販売状況は好調であり、「赤字事業だから止めねば大変なことになる」状況ではなかったようだ。

↑OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-205」

 

ではなぜ止めたのか。

 

問題は今年の話ではない。この先、OPPOのやり方では「ハイエンドAV機器事業の優位性を保てない」、そして「優位を保つと事業として将来問題が出てくることが容易に想像しうる」状況になったから、早めに止めて、社内の資源(主に生産ライン)をスマートフォンに振り向けることになったのだ。

 

背景にあるのは、アメリカ市場でディスクプレイヤービジネスが急速に縮小している、という点だ。その状況についてはまた次回解説する。ここで重要なのは、「ビジネスが縮小していることと、ハイエンドAV事業を維持すること」の関係性だ。そもそもハイエンドAV事業は、マス事業に比べて数が少ない。そして、ハイエンドAVファンはマスよりもディスクにこだわりがあり、一般的な市場のシュリンク速度よりも「遅くなる」可能性が高い。ならば、好調な事業はゆっくりと規模を縮小しつつ、好調さを維持していくのが常道に思える。

 

だが、OPPOのビジネス手法は、それを許さなかった。

 

OPPOがハイエンドAV機器で他社より有利な地位に立てたのは、同社が「他社よりもハイエンド製品を一気に、多く生産する」と決めてビジネスに臨んだからだ。製品のコストは生産量が決める。少数しか作らないものはどうしても高くつく。一方で、多くの数を作ることはそれだけ費用もかかるため、経営上のリスクになる。しかしOPPOはそれを選んだ。数は定かではないが、一般的にハイエンドAV製品は、年間数万台出荷すれば多いほうで、数千・数百といった台数のものもある。そのぶん、「高くても高品質だからいい」という顧客を捕まえるのがポイントだった。だがOPPOは、一般的なハイエンドAV製品の生産数の数倍を作り、コストパフォーマンスを維持したうえで、一気に市場を制圧する戦略を採っていた。だから「品質がいいものがお手軽」になり、ファンの人気を集めたのである。

 

だが逆にいえば、「生産量を担保できない」のであれば、他社に対する優位性を失う。今後売上が下がると、品質を保つために必要な生産量を割り込む可能性が出てくる。だからといって価格を上げられるほど、市場は甘くない。

 

ならば、赤字を出す前に一気にビジネスを畳み、手元に余る量産能力は、勝負をかけているスマホ事業にまわしたい……。これが、OPPOの判断だったのである。

 

逆にいえば、「好調」と言われるOPPOも数年先をみるとギリギリな数しか売れていかないのがハイエンドAV市場の難しさを示している。

 

OPPOの判断の源泉となったのは、「アメリカでのディスクビジネス」の減速だ。アメリカでは本当にディスクは売れなくなったのか? アメリカのAV市場はどう動いているのか? 次回のVol.66-4では、そのあたりを解説しよう。

 

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