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2018/6/4 13:00

【西田宗千佳連載】スタンドアローンVRがもたらす「ごろ寝シアター」の世界

「週刊GetNavi」Vol.67-1

 

相次いで登場してきた独立型VRデバイス

5月1日、Facebook傘下のOculusは、PCやスマホと接続する必要がなく、単体で使える「スタンドアローンVR」機器の「Oculus Go」を発売した。同日米国で開催されていたFacebookの開発者会議「F8」で、本機が発表されると、いきなりウェブ上で販売が開始された。そのOculus Go発売と時を同じくして、レノボもスタンドアローンVR機器の「Mirage Solo」を投入。こちらは、GoogleのVR向けプラットフォームである「Daydream」準拠の機器である。どちらも非常によくできたデバイスであり、VRの世界を大きく変えるのは間違いない。

↑Oculus Go

 

↑Mirage Solo

 

これまでVRは、PCやPS4とつないで使う「ハイエンドVR」か、スマートフォンを簡易的なヘッドセットに差し込んで使う「スマホVR」の2つに大別できた。前者は、最先端の環境で、リッチな体験ができる。しかし、ケーブルが邪魔で、PCなどとヘッドセットの接続は面倒。トータルのコストも高く、「誰でも気軽に、日常的に」という世界ではなかった。

 

一方でスマホVRは、誰もが持っているスマホをそのまま使えて、簡易的なぶん、ヘッドセットが安価なことなどが魅力だった。しかし、画質が悪く、体験も「ちょっと映像を見るだけ」で、VRとしての深みがない。このタイプのVRを体験した結果、「VRってこんなもんか」と落胆した人もいたはずだ。

 

だが、Oculus GoとMirage Soloは、それら2つのあいだに位置する存在だ。価格はハイエンドVRより安く、ケーブルなどもないので気軽に使える。一方でディスプレイやレンズなどの設計が最適化されているため、スマホVRと比べると段違いの画質で、ハイエンドVRにも見劣りしない。ハイエンドVRほどできることに幅がなく、アプリも高度ではないが、それでも、いままでのスマホVRよりもずっと本格的なVRアプリが楽しめるのだ。

 

独立型VRデバイスはAV機器としても魅力的

「ああ、ゲームの話ね」

 

そう思った人は、ちょっと認識を改めて欲しい。VRが気軽になることは、我々に新しい価値をもたらす。それは「ホームシアター」だ。VRの本質は、自分の視界を映像で置き換えることで、360度すべてをディスプレイにしてしまうことにある。映画館のような巨大なスクリーンを配置し、「自分だけの映画館」を手軽に作れるというわけだ。ハイエンドVR機器では実現されていた要素だが、これがスタンドアローンVRでは、さらに実用的になった。特に、ヘッドバンドがやわらかいゴム製のOculus Goは、「寝転がって天井方向に巨大なスクリーンを出す」という使い方に向いているため、自分だけの「ごろ寝シアター」を簡単に生み出せる。これは、過去のどのAV機器にもなかった魅力だ。

 

この時期に、単体で使える新しいVRプラットフォームが相次いで登場してきたことには、実は理由がある。

 

その理由とはいったい何なのか? レノボとOculusの違いは? 将来AV機器はどうなるのか? こうした点については次回のVol.67-2以降で解説する。

 

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