子どもとスマホの関係を改めて考える
2人目は、子ども向け音楽アプリ「BANDIMAL」を開発したYAYATOYのディベロッパーであるILARI NIITAMOさん。フィンランドのヘルシンキに拠点を置きます。社員は4名ですが、内3名でこのアプリを開発したとのこと。受賞については、「ちょっと衝撃的でした。一瞬“え…”ってなりましたよ(笑)。ステージに登ったときはドキドキしちゃいました。でもとにかく、とても幸せです」と驚きを隠せない様子でした。
同アプリの名前は、「バンド」と「アニマル」を掛け合わせた造語。その名の通り、動物たちを選択して、バンドを構成していきます。まず、動物を選び(これが楽器を選ぶのに相当する)、その動物の演奏パターンを指定します。3匹の動物に、それぞれ演奏指示を出したら、パーカッションのエフェクトを追加して、作曲は完了します。画面に文字は一つもなく、キュートなイラストで作られているのが特徴。小さな子どもでも、直感的な作曲体験ができます。同アプリの価格は480円。
NITAMOさんは、同アプリの開発動機について「元々は2015年に“LOOPIMAL”というアプリを作ったのが始まり。こちらは一つのシークエンスしかありませんでした。BANDIMALでは、より本来の作曲に近いことが行える。少し複雑になったんです」と語ります。また、開発のポイントについては「インターフェースを限りなく洞察的なものにする、という一つのルールに基づいて作っています。ただ、デバイスによって表示領域が異なるので、いろいろと試行錯誤を繰り返した部分もあります」と述べています。
Q)今回のWWDCで発表されたなかで、最も気になったものは何ですか?
A)「Screen Time」ですね。子ども向けのアプリを作る身としては、やはり「スマホ依存」について気にしています。しかし、これだけデジタルデバイスが普及した世の中で、どうやって子どもを切り離すか、という部分はよくわかりませんでした。なので、Screen Timeのような機能が登場したのは、とても喜ばしいことです。私たちは、「制限」について一旦忘れて、良いアプリを開発することに注力できそうです。