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2018/8/3 18:30

【西田宗千佳連載】2018年は「有機ELか液晶か」を判断しやすく、お買い得な年に

「週刊GetNavi」Vol.69-2

テレビの画質は複数の要素で決まる。わかりやすいのは「ディスプレイパネル(バックライトシステム含む)の画質」だろう。液晶か有機ELか、液晶でもバックライト分割駆動に対応しているか否かなど、カタログに違いが明確に書いてあるので、誰の目にも明らかだ。

 

だが先にも述べたように、画質は「複数の要素」で決まるもので、ディスプレイパネルの種類や質だけでは判断できない。映像を処理し、パネルに受け渡す「画像処理エンジンとソフトウエア」でも大きく変わるし、メーカーによる設定の調整方法でも変わる。カタログ上は同じようなパネルに見えても、実際にはパネルメーカー側の技術進化により、微妙な変化が生まれている場合もある。

 

その辺をすべてカタログから読み解くのは不可能だし、店頭で確認するのも難しい。そういう意味では、評論家やライターの書く意見は、比較的参考になるだろう。

 

今年の夏までに発売された製品に関していうならば、ソフト・パネル技術ともに極端に大きな変化はない。そういう意味では、特に「カタログからは読み解きづらい」年である。逆の言い方をすれば、パネルや制御などの技術は「昨年の改良版」であり、確実に昨年モデルより良くなっているものの「メーカーごとの特徴や差が、いきなり大きく変化しているわけではない」ともいえる。

 

個別にいうと、有機EL採用製品は、各社ともに同じLGディスプレイが製造したパネル、それもかなり近い特性のものを使っている。唯一東芝の「REGZA X920」のみ、画素構造が異なり、「赤の画素が大きくなり、青の画素が小さくなる」という変化を遂げた。結果として、画質的には若干暖色の表現が良くなっているが、ソフト的な画質チューニングでも変わるような部分なので、パネルの変化が劇的な影響を及ぼしているというわけではない。

↑55X920

 

液晶のほうは、すでにある程度進化がいきついて、落ちついた状況にある。もちろん、HDR実現のため、主にバックライトの進化はまだ続いており、直下型バックライトを使ったハイエンドモデルと、そうでないモデルの差は大きい。だが、各社とも「フラッグシップは液晶より有機EL」という路線を明確にしているため、液晶はどちらかといえばコスパ重視、という傾向がある。

 

そもそも、液晶が有機ELに対して大きく劣っているか、というと、筆者は「そんなことはない」と思っている。もちろん、有機ELならではの、コントラストの強さ・発色の良さはある。特に映画、それもUltra HD Blu-rayや映像配信の「4K×HDR対応」作品を見る場合、有機ELは強い。一方で、液晶であっても、特にハイエンドモデルであれば、4K×HDRの良さは存分に楽しめる。それでいて、現状、有機ELと液晶の価格差は大きい。55型のテレビの場合だと、有機ELモデルの実売価格は35万円以上であるのに対し、液晶はハイエンドモデルで20万円台、安価なものは10万円台前半である。

 

「とにかくお金を出してこだわる」とか、「10年使うつもりでいいものを買う」といった心構えで有機ELモデルを買うのは良い判断だが、一方で、「液晶にしておくが、予算の余裕次第でワンランク上、もしくはワンサイズ上のモデルを選ぶ」という選択肢もあっていいのだ。2018年は、そういう選び方がしやすい時期であるようにも思う。

 

では、画質以外の要素はどうなっているのか? その点を次回のVol.69-3以降解説する。

 

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