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2018/8/14 7:00

【西田宗千佳連載】新4K8K放送が抱える「普及のジレンマ」

みなさんもご存じのとおり、12月1日から、「新4K8K衛星放送」がスタートする。放送のシステムが大きく変わるのは、2011年の地上デジタル放送スタート以来の出来事で、衛星放送としては、2000年11月の「BSデジタル放送」開始以来、実に18年ぶりの刷新である。

↑従来のアンテナ設備でもNHK・民放6チャンネル分の視聴が可能(出典:東芝映像ソリューション)

 

電波は有限な資源であり、国民の共有財産である。その利用方針は「国策」であり、10年単位でゆっくりと変化していく。新4K8K衛星放送は、BSデジタル放送と同じく、無料で誰もが視聴できるチャンネルを多く含む。「誰もが視聴できる基幹放送」だ。十数年の変化を反映し、圧倒的に高画質な放送が実現される。

 

一方で、世の中には誤解も多くある。もっとも認知されていないのは、「4K・8Kの流れは地上波にはやってこない」という事実だ。少なくとも現状、政策として「地上波を4Kにする」という話はない。また、さらに高画質な8Kも準備されているが、それが2Kや4Kを超えてメインになる予定もない。

 

日本での番組制作は、少なくとも今のところ、そして当面、視聴者が圧倒的に多い「地上波」を軸に進められる。そこの4K化が「ない」ので、新4K8K放送は基幹放送だが、どうしても付加価値型という位置付けになる。

 

あなたは日常的に、BS放送をどのくらい見ているだろうか? 無料で見られる、日本のテレビ局による放送である、という点は大きいものの、やはりポイントは「日常的にどれだけBSを見ているか」が大きい。実のところ、4Kコンテンツを見るだけなら、もはや「放送」にこだわる必要はない。ネット配信の方が先に4K×HDRの時代へと突入している。テレビメーカーとしても、新4K8K放送が大切であることは間違いないのだが、過去の「放送しかなかった時代」とは、ちょっとニュアンスが変わって来ているのだ。

 

そのため新4K8K放送は、「いきなり大注目を集め、それによってテレビが大売れする」ものではないだろう、と筆者は思っている。そして、多くのテレビメーカーも、「新4K8K放送は起爆剤のひとつだが、それでテレビ販売の潮目がガラッと変わるようなものではない」と考えているようだ。

 

ただ、もちろん、このあと時間をかけて、じわじわと4K放送の視聴者は増えていくだろう。ポイントになるイベントとしては、2020年の東京オリンピックがある。そこでは「4Kでの放送が多数用意される」と考えられる。

 

すでに4Kテレビを買ったという人も多いかも知れないが、今後の商戦的なポイントは、「2011年前後に地デジのためにテレビを買い換えた」人にある。こうした人達は、そろそろテレビを買い換えるサイクルに入ってくる。このあたりを考慮すると、「2020年までに4K×HDRに対応したテレビへの買い換えを促進して、その段階では新4K8K放送対応チューナー内蔵機種をラインナップしておく」という戦略にいきつく。東芝以外のテレビメーカーの販売戦略は、こうした考え方でみれば理解しやすいはずだ。

 

結局のところ、今年から新4K8K放送を楽しもうという人は、かなり恵まれた、先進的な人なのだ。ちょっと費用はかかるが、その分「良い品質の番組を他の人よりも少し早く楽しめる」と考えてほしい。

 

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