デジタル
2016/4/27 13:04

【レビュー】二つ折りスマートフォン「MUSASHI」はガラケーの代わりになるのか?

格安SIMで知られるブランドFREETEL(フリーテル)から、ガラケーのような形状のAndroidスマートフォン「MUSASHI」(ムサシ)が発売されました。価格は2万6784円。カラーはブラック、ホワイト、シャンパンゴールドの3色から選べます。

 

特徴は、二つ折り可能でテンキーを装備しているということ。現在、携帯電話の新製品はスマートフォンが大部分を占め、ガラケー(いわゆるケータイ)はごくわずかになっています。それでも、通話のしやすさや慣れ親しんだボタン操作などで、ガラケーを求めるユーザーは少なくありません。根強い需要に対応するため、ガラケーのように扱える「ガラスマ」とか「ガラホ」と呼ばれる機種が登場しています。MUSASHIも、メーカーはガラホやガラスマとはうたってはいませんが、テンキーを装備した二つ折り端末。果たして、ガラケーを求める人が「ガラケー代わり」として使える製品なのか、検証してみました。

 

MUSASHIとはどんなスマホ?

さっそくMUSASHIをお借りして使ってみました。

fig01
↑一見、普通のスマホのようですが……

 

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↑完全に開いたところ。液晶画面の内側にはもう1枚の液晶画面がありました。ちなみに、こちらの画面もタッチパネルです

このように、MUSASHIはまるでガラケーのような、二つ折りのスマホなのです。形状的にガラケーと大きく異なるのは、「蓋」に相当する部分は両面が液晶パネルになっており、閉じると普通のスマートフォンと同じく平らな形状で使えるということ。「ガラケー」と「スマートフォン」の2通りで使えるところから、二刀流で知られる宮本武蔵になぞらえ「MUSASHI」と名付けられました。

 

2つの液晶画面は、本体の開閉操作によって自動的に切り替わります。閉じた状態では外側の画面が表示されており、開くと外側の画面が消えて内側の画面が表示されるのです。切り替えは瞬時に行なわれるので、両画面とも常に表示されているのかと感じるほど。待たされるストレスはまったくありません。

 

テンキーの使い心地は?

それでは、最大の特徴であるテンキーを使ってみましょう。MUSASHIのディスプレイは両面とも4インチで、一般的なガラケーに比べて液晶画面がやや大きいため、テンキー部分もガラケーよりも大きくなっています。そのため、片手で持って親指で操作しようとすると指の届かないキーがあり、頻繁に持ち変えながら操作する必要がありました。ただし両手で操作すれば、一方の手で支えていられるので持ち変える必要はありません。この使い方では、キー部分が広く1つ1つのキーも大きいため、他のガラケーのキーよりも快適に押すことができました。キーの感触はプチプチとした感触で、ストロークは浅めです。この「プチプチ」の感触がわりと硬めなので、素早く操作しても押したことがハッキリ感じられるのは快適でした。

 

それでは実際に文章を入力してみましょう。入力方法は、いわゆる「ケータイ入力」方式。たとえば「2(か)」のキーを繰り返し押すと「か→き→く…」と入力文字が変化します

fig07
↑文字入力をするエリアをタップしてからテンキーを押すと、日本語入力モードになります(画面はメモアプリ「Keep」)

 

 

fig08
↑液晶画面を閉じた状態では、通常のスマホと同様にソフトキーボードが表示されます。ケータイ入力だけでなくフリック入力も可能です

テンキーで入力してみると、「ボタンで確実に入力できる」というのほかにも、「ソフトキーボードが表示されないので画面を広く使える」というメリットがあることに気づきました。

fig09
↑ブラウザ「Chrome」の検索欄に入力しているところ。ページ内容の一部を見ることができています

 

これまでは「文字入力中はソフトキーボードのせいで画面が狭くなる」ということを当たり前のこととして受け入れてきたので、これは新鮮でした。ブラウザーだけでなく、LINEやTwitterといった文字入力の頻度が高いアプリでも、広い画面のまま文字入力できるというのはとても便利です。

 

テンキーが使えるのは初期設定の日本語入力アプリのみ

ひとつ残念なのは、テンキーでの日本語入力ができるのは、購入時に設定されている日本語入力アプリ「OpenWnn(オープンうんぬ)日本語入力」を使っている場合だけ、ということです。たとえば「Google日本語入力」に切り替えた場合、テンキーの「2(か)」を繰り返し押しても「か→き→く…」という変化はせず、数字の「2」が入力されてしまいます

 

fig11
↑さまざまな日本語入力アプリをインストールすることは可能ですが、「OpenWnn日本語入力」を選択しないとテンキーでの日本語入力はできません

 

「OpenWnn」以外の日本語入力アプリを使っている場合には、液晶画面を開いている状態でもソフトキーボードが表示され、そこからでなければ日本語の入力ができないのです。これは「Google日本語入力」や「ATOK」など、他の日本語入力アプリを愛用している人には残念なことでしょう。

 

文字入力以外でも使えるキー操作

電話番号を入力して電話をかけるとき、一般的なスマホでは「電話アプリのアイコンを表示する」→「タップして起動」→「キーパッドを表示」という手順が必要です。MUSASHIなら、開いた状態で使っているときはホーム画面で数字キーを押すと自動的に電話アプリが起動し、電話番号を入力できます。

fig13
↑ホーム画面で「0」を押し、続いて「90-183」と入力したところ。続いて電話番号を入力していけば、電話をかけられます

 

また、ガラケーと同様にカーソルキー(上下左右キー)も備えています。たとえばホーム画面ではカーソルキーでアプリを選び、中央の決定キーボタンで起動できます。また、ブラウザなどの画面をスクロールさせることも可能です。しかし、カーソルキーが有効に使えない場面も目立ちました。たとえばブラウザでは、カーソルキーでリンク先を選択し、決定キーボタンでジャンプできたら便利ですが、そのようなことはできません。また、「フォト」アプリでも、写真をカーソルキーで選んで決定キーで表示する、といったことはできません。そのため、画面を開いて「ガラケー形状」で使っていても、キーだけでできる操作は少なく、結局画面のタップを併用しなければならないことがほとんどでした。

 

スマホとしての機能は申し分なし

次に、「スマートフォン」としての面をチェックしてみましょう。MUSASHIは、Android5.1を搭載したスマートフォンで、CPUには「MT6735M Quad core 1.0GH」が採用されています。最新とはいえないCPUですが、ホーム画面や各種設定画面の動作はスムーズで、Webページの閲覧やメール、メッセージアプリの利用などで遅さを感じることはありませんでした。

 

防水仕様ではないのに、micro USB端子にはカバーがついています。これを煩わしいと感じるか、ホコリの侵入が防げてありがたいと感じるかは、人それぞれでしょう。イヤフォンジャックは装備されていません。イヤフォンを使うには、付属のイヤホンジャック変換アダプタを介してmicro USB端子に接続します。そのほかの特徴としては、SIMスロットを2つ装備している点が挙げられます。速度やエリアの異なる2種類のSIMを切り替えながら使い分けられるのは便利です。

fig16
↑利用するSIMは、設定画面から選択できます

 

従来の「ガラケータイプのスマホ」は、「Google Play」を利用できずアプリを自由にインストールできなかったり、液晶画面がタッチパネルではないため一部のスマホ用アプリは操作しづらい、ということがありました。MUSASHIはGoogle Playに対応しているため、Android 5.1に対応するアプリならすべてインストールして利用できます。また、搭載している画面は外側・内側ともにタッチパネルですから、一般的なスマホと同じ操作でアプリを使えます。このように、ガラケーのような形状はしていても、通常のスマホとなんら変わることなく利用できるのです。

 

MUSASHIはガラケーの代わりになるか?

さて、それでは本題である「MUSASHIはガラケーの代わりになるのか」を考えてみましょう。まず、確かに物理キーを装備してはいるのですが、前述したように利用できるシーンは限定的です。そのため、実際には液晶画面を開いた「ガラケー形状」で使っている場合でも、「左手で画面をタッチ、右手でテンキー操作」のように、タッチ操作を併用しながら操作しなければならないことがほとんどでした。

 

これはMUSASHIのせいということではなく、そもそもAndroidというOSが、ガラホのようにテンキーで操作することに特化して作られてはいないからでしょう。筆者はタッチ操作があまり好きではなく、ガラケーのような物理ボタンでの操作を好んでいますが、Androidのホーム画面やアプリは、少なくとも現状ではテンキーではなくタッチ操作のほうが使いやすいと感じました。

 

次に、MUSASHIは形状こそガラケーと似ていますが、中身はAndroidスマホそのもの。使えるアプリや設定項目などの自由度の高さは、ガラケーに馴染んでいた人は戸惑ってしまうこともあるかもしれません。バッテリーもガラケーのようにはもちませんし、大きさや重さは一般的なガラケーを大きく上回ります。

 

ということで、MUSASHIは「ガラケーの代わり」として置き換えられる製品ではないと感じました。つまり、「ガラケーに慣れていてスマホを知らない人に、ガラケーの代替品として勧める」「ガラケーの操作感が好きなので、ガラケーのようなスマホが欲しい」といった目的には適さないということです。

 

そしてMUSASHIは、もともとそのようなコンセプトの製品ではないのでしょう。冒頭で述べた「ガラホ」は、実態はスマホでありながら、できるだけガラケーのように作られています。いわば「Androidを搭載したガラケー」といえるでしょう。それに対してMUSASHIは、外観はガラケーですが内容はスマホそのもの。いわば「テンキー付きのスマホ」といえます。つまり、ガラケーのように使うための製品ではないのです。

 

MUSASHIの強みは、なんといっても文字入力。筆者はそこそこ速いフリック入力ができるつもりですが、今回MUSASHIを使ってみて、やはり物理キーでの文字入力は快適だと感じました。それだけに、Open Wnn以外の文字入力アプリにも対応してほしいところです。また、カーソルキーでの画面スクロールも快適でした。タッチパネルをスライドしてスクロールさせる場合のように、うっかり「タップ」と認識されてしまうこともありません。

 

そして、実はそれ以上のメリットとして感じたのが、通話のしやすさ。久しぶりに二つ折りの端末で会話してみると、本体をがっしりとつかんで電話できることの安定感を思い出しました。

fig17
↑画面を開き、ガラケーの形状で通話。マイクは本体(テンキーのあるほう)の底部にあります

 

まとめると、MUSASHIは「ガラケーを使いたい人」ではなく
・物理キーで文字入力したい
・二つ折りを開いた形状で通話したい
・だけどスマホが使いたい
という人のための製品だといえるでしょう。もちろん、「とにかく人と違ったスマホが持ちたい」という人にもピッタリですよ!

 

【URL】
フリーテル https://www.freetel.jp/
MUSASHI製品情報ページ https://www.freetel.jp/product/smartphone/musashi/

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