働き方に対する意識の変化にともなって、カフェやコワーキングスペースで仕事をする「ノマドワーカー」や、オフィスから離れて自宅などで業務にたずさわる「テレワーカー」といった、柔軟な働き方をする人が増えつつあります。そこでニーズが高まっているのが、トラックボールや携帯キーボードのように場所を選ばず快適に仕事を進めるためのアイテムや、Qi充電器やスマートウォッチのようにスマホを強化するアイテム。
自分の仕事スタイルに合ったガジェットを使えば、日々の作業も快適&快速になります。ここでは、5ジャンルのガジェットの注目機種を3製品ずつピックアップ。「仕事はかどり」の観点から、3項目を5点満点で徹底比較しました。
【比較した人】
テクニカルライター
湯浅顕人さん
PC&AVのライター。「小さいデジタルアイテム」好きで、怪しい小物を日々買い漁っている。
「現在の不満」を解決するアイテムを選ぶのが正解
仕事はかどりガジェットを選ぶときのポイントは、「現在の仕事で感じている不満点」を意識すること。単に「便利そう」「持っていれば使えそう」と感じただけで買ってしまうと、結局活用できないままになるケースも少なくありません。
例えば、外出中にスマホで長文を入力することが多く、面倒だと感じているなら携帯キーボードを、移動中などに来るメールに気付きにくいなら通知機能が充実したスマートウォッチを導入するといったように、現在生じている不満に対して、それを解決できるガジェットを選ぶといいでしょう。
【ガジェットジャンルその1】Qi充電器
状況に合わせて操作方法を選べる柔軟性が魅力
iPhone Xや8、対応Androidスマホなどで利用できるワイヤレスタイプの充電器。端末を置くだけですばやく充電できる手軽さが魅力です。
【比較製品01】10Wの高出力で急いで充電したいときに重宝する!
Belkin
BOOST↑UP ワイヤレス充電スタンド
実売価格8618円
標準的な充電スタンドの2倍、10Wの電力を供給できるワイヤレス充電スタンド。スタンドには縦置き・横置きのどちらも可能。最大3㎜までのプラスチックケースなら、装着したままで充電できます。
↑縦置き、横置きどちらにも対応。スマホが滑りにくい素材が使われており、安定して置けます
↑本体への給電は背面から。取り回ししやすいケーブル長約1.5mのACアダプターが付属します
【採点】
充電速度(出力電力&急速充電対応):5
出力10Wで、すばやい充電が可能。急速充電時も熱センサーが温度を調節し、独自のeシールドでWi-Fiなどにも干渉しません。
充電状況表示:3
正常充電時には白いLEDが点灯。異物検出時は、2か所のLEDが赤点灯して知らせてくれます。充電完了を判断できる機能などはありません。
充電時の安定性:5
スタンドはガッチリした作りで、ガタつきなし。全体が滑りにくい素材なので、置いたスマホやスタンド自体が滑ることもありませんでした。
【比較製品02】平置き派にうれしい! 一石二鳥の充電マウスパッド
サンコー
スマート充電マウスパッド
1980円
ワイヤレス充電機能を備えたマウスパッド。MicroUSB端子を装備しており、USBアダプター(別売)やPCのUSB端子に接続して使います。表面はレザー調で質感と手触りがよく、マウスの滑りも◎。
↑マウスパッドの右半分が充電スペース。作業をしながらスマホの通知をすぐに確認できます
↑約5㎜としっかりとした厚み。ケーブルは手前側右端から伸びるので作業を妨げにくくなったいます
【採点】
充電速度(出力電力&急速充電対応):3
充電電力は5V/1A、つまり5Wとなります。今後、10W対応スマホが増える可能性を考えると将来性という意味で少し残念かもしれません。
充電状況表示:2
充電状況を示すLEDなどは非搭載。作業中の手元で充電しているのでスマホの画面で確認することになりますが、一手間かかる印象。
充電時の安定性:4.5
マウスパッドとして安定感があり、激しい操作でもズレません。ただ表面が滑りやすく、スマホに手が当たって動くことはありました。
【比較製品03】場所をとらないスリムな本体で省スペースで置ける
サンワサプライ
WLC-STN13BK
実売価格2640円
充電用コイルを2か所に配置し、縦横どちらの方向でも設置できるコンパクトサイズの充電器。USB Type-C端子を備えており、USBアダプター(別売)に接続するか、PCのUSB端子につないで使用します。
↑スマホ設置面の幅は6インチ前後の端末と同程度とコンパクト。横置きでの充電にも対応しています
↑本機への給電はUSB Type-Cケーブルで行います。PCのUSBポートから給電することも可能です
【採点】
充電速度(出力電力&急速充電対応):4
一般的なUSB端子に接続すると5W充電となります。10Wの急速充電は、QuickCharge2.0以上対応のUSB電源アダプターなどが必要です。
充電状況表示:5
前面にLEDを搭載。充電が完了すると青から緑に変わるので一目で充電完了を判断できます。異物や過熱を感知すると赤の点滅になります。
充電時の安定性:3.5
スタンドの底面とスマホを置く台座部分には滑り止めが施されています。ただ、台座の幅が狭く、横置きではやや不安定さがありました。
【ガジェットジャンルその2】スマートウオッチ
着信やメールなどの通知の確認や、ライフログや睡眠の記録ができるスマートウオッチ。運動をそれほどしない人でも利用価値が高いでしょう。
【比較製品01】アナログ時計針が搭載されたハイブリッド型
MyKronoz
ZeTime
2万5790円
ディスプレイと時計針の両方を備えるデジアナモデル。メッセージ表示時は針が邪魔にならないよう水平に移動します。画面スワイプだけでなく、竜頭とボタンでも操作可能で、濡れた手でも使いやすいのが特徴です。
↑通知の一覧では、メッセージの冒頭部分を確認できます。タップすれば続きが表示されます
【採点】
連続使用時間:5
ディスプレイ表示を使わなければ最大30日という長さ。ディスプレイ表示するスマートウオッチモードでも、最大3日間使用できます。
通知機能の使いやすさ:3
竜頭の回転で画面スクロールできるのは快適。文字がやや粗く、1画面に表示できる量も少ないのは残念。バイブレーションも弱めです。
時計の見やすさ:5
針が常に見えているのはやはり便利。人との会話中など、目立つ操作をしづらい時に特別なアクションなしで時刻を把握できます。
【比較製品02】トラッキング機能も充実した小型&軽量タイプ
Galaxy
Galaxy Gear Fit2 Pro
2万2507円
GPSを内蔵し、スマホを携帯していなくても移動ルートや移動距離、階段を登った階数などを記録できます。Speedo社のスイムトラッキングアプリで、泳いだ距離やラップタイムを計測することも可能です。
↑一覧では着信やメールなど各種の通知をまとめて確認可能。タップすれば詳細が表示されます
【採点】
連続使用時間:4
大きく明るい画面を実現しているが、使用時間は通常モードでも3〜4日間と長めです。省電力モードなら最大5日間使用できます。
通知機能の使いやすさ:5
通知画面に、SMS・メール・LINE・睡眠記録などを一括表示できます。定型文での返信のほか、LINEではスタンプの送信も可能です(※)。
※:返信はAndroidスマホとペアリング時のみ可能
時計の見やすさ:5
高精彩・高輝度な有機ELで、情報を大量に表示したウオッチフェイスでも見やすいのが◎。充電器に設置すると、置き時計のようにも使えます。
【比較製品03】大画面ディスプレイで時刻も通知もしっかり確認できる
MISFIT
Vapor MIS 7000
2万7864円
外周部をなぞるように操作する「バーチャルタッチベゼル」で、画面を汚すことなくタッチ操作が可能。本機に楽曲を保存してBluetoothヘッドホンで聴けるほか、スマホのGPSを利用して地図も表示可能です。
↑通知は1画面に1件ずつ表示。メッセージなどはタップすれば全文を読むことができます
【採点】
連続使用時間:3.5
高輝度かつ大画面のためか、約2日と短め。長時間使いたい場合は、輝度を下げるか、時計の常時表示をやめるといった工夫が必要です。
通知機能の使いやすさ:4
時計画面にSMS・メール・LINEなどの通知がアイコンで表示され、タップすると絵文字込みで全文表示。文章での返信も行えます(※)。
※:返信はAndroidスマホとペアリング時のみ可能
時計の見やすさ:4.5
時刻は常時表示も可能ですが、やや暗く、腕を傾けると自動的に明るく表示されます。Playストアでウオッチフェイスを追加可能です。
【ガジェットジャンル03】トラックボール
本体に搭載されたボールを転がすことでマウス操作の代わりをするトラックボール。長時間操作時の手の負担を軽減したい場合に有効です。
【比較製品01】サイドボタンでの操作も充実した人差し指操作タイプ
エレコム
M-HT1DRBK
実売価格5650円
大型のボールで広範囲を楽に動かせます。人差し指でボール操作を、親指と中指でクリックを行う作り。ホイールでの左右スクロールにも対応。8つのボタンとホイールに任意の機能を割り当てられます。
↑本体サイズは今回テストした3機種のなかで最も大型。ボールの操作は人差し指で行います
【採点】
操作性:5
多数のボタンで、トラックボールに手を置いたまま色々な操作ができるのは便利。親指での左クリックに慣れれば快適になります。
バッテリー持ち:3
単3形乾電池2本で、アルカリやニッケル水素などに対応。ライバル機より劣りますが、「ローエナジーモード」で、約325日使用できます。
動きの滑らかさ:4
広い場所を大きく動かすには問題なし。転がり摩擦がやや大きいため、細かい場所をポイントしたり描画したりするには慣れが必要です。
【比較製品02】超小型サイズで狭い場所でも使いやすい
ナカバヤシ
Digio2 Q MUS-TBLF134
実売価格4840円
レシーバー不要なBluetooth接続タイプで、PCのUSB端子を使用せずにすみます。標準的な34㎜のボールを採用したものとして世界最小サイズを実現。ボタンはクリック音を大幅に抑えた静音タイプです。
↑手の中にスッポリ収まる小型サイズ。手の小さな人でもわずかな負荷で操作が可能です
【採点】
操作性:4
スクロールホイールと戻る・進むボタンを装備。小型で手の小さな人には使いやすいですが、逆に手の大きい人だと操作しづらい場合も。
バッテリー持ち:4.5
単4形電池2本を使用。省電力化回路により、約21か月間電池交換をせずに使用可能で、電池交換の手間が少なくラクです。
動きの滑らかさ:5
素早く大きく動かしたいときと、精密にゆっくり動かしたいときでポインター速度を自動調整する「おまかせモード」を搭載。快適に使えます。
【比較製品03】手にしっかりフィットする定番トラックボール
ロジクール
Wireless Trackball M570t
7160円
ワイヤレス接続には、専用レシーバーを利用する。外側に向けてわずかに傾斜したフォルムで腕や肩の負担を軽減。裏返してもトラックボールは落ちませんが、指で押せば簡単に取り外すことができ、掃除も簡単です。
↑独特の形状が手にフィット。戻る・進むボタンは、人差し指を少しずらすだけで操作できます
【採点】
操作性:4.5
無段階のホイールや、Webページの戻る・進むボタンを装備。握り方やボタン操作がマウスに近く、トラックボール初心者でも快適です。
バッテリー持ち:5
単3形乾電池1本で、最大18か月の使用が可能。ロングスタミナなうえ、入手しやすく安価な単3形乾電池の採用はベストといえます。
動きの滑らかさ:4.5
離れた位置にも軽く素早くポインタを移動できます。また、描画などで細かく動かす場合にも、意図どおりスムーズに動いてくれました。
【ガジェットジャンル04】キーボード
持ち運びできるコンパクトなキーボードは、スマホやタブレットと組み合わせて使いたいですね。モバイル時の文字入力の効率をアップできます。
【比較製品01】タッチパッド搭載の3つ折りキーボード
3E
3E-BKY5-BK
実売価格7538円
56×47㎜という広いタッチパッドを装備(iOSは非対応)しました。コンパクトな3つ折りタイプ。キーボードは使用頻度の高い英字キーを大きく配置。ガタつきのない安定感のある構造となっています。
↑タッチパッドはWindowsタブレットやAndroid端末で使用可能。専用レザーケースも付属しています
【採点】
バッテリー持ち:5
リチウムポリマー電池を内蔵。約2時間の充電で連続使用時間は70時間、待受状態なら約90日まで使用可能とバッテリー持ちは良好です。
持ち運びのしやすさ:4
折りたたむとW156.5×H90×D14.5㎜とコンパクト。ケースが重めで、装着時に300g(実測値)以上になるのが惜しいです。
入力のしやすさ:4.5
あるところまでキーを押下すると、スッと吸い込まれる感触で非常に押しやすいのが◎。多少水平方向にブレるのは残念ですが許容範囲といえます。
【比較製品02】安定してしっかり入力できるので据え置き用途にもアリ!
ロジクール
K380
4460円
Windows、Mac、Android、iOS対応のBluetoothキーボード。キートップには各OSの機能や文字が刻印されているため、どのOSでも刻印どおりに入力できます。Bluetoothペアリングは3台まで登録可能。
↑安定感のあるしっかりした作り。キーピッチも18㎜と広めで長時間使用時も疲れにくいです
【採点】
バッテリー持ち:5
単4形乾電池2本の使用で最大2年と長期間使用できます(※)。急に電池が切れても乾電池を入手すれば使えるのは心強いです。
※:年に200万回のキー押下を想定
持ち運びのしやすさ:2
10インチタブレット並みの重さ。たたむこともできず、運搬用ケースも付属しないため、モバイル用途にはあまり向いていません。
入力のしやすさ:5
面積が広いのでキー配置に余裕があり、手を窮屈に縮めることなく入力できます。押下のスムーズさもあって、ストレスのない使用感です。
【比較製品03】スタンド兼用ケースもついた軽量モデル
エレコム
TK-FLP01PBK
5918円
Windows/Android用配列とiOS配列の両方に対応。小型ながら、ファンクションキーと数字キーも備えています。キートップひとつぶん程度の小ささのタッチパッドも装備(iOSは非対応)します。
↑本体を収納する保護ケースが付属。入力時に端末を立てるスタンドとしても利用できます
バッテリー持ち:4.5
リチウムイオン電池を内蔵し、約2.5時間の充電で約2か月間使用可能。電源スイッチをまめに切れば、使用期間をより長くできます。
持ち運びのしやすさ:5
折りたたむとW145.2×H91.8×D15mmというコンパクトサイズ。保護ケースなしなら、約149g(実測)と非常に軽い。
入力のしやすさ:3
キーの押下中に多少のブレがありますが、押し心地は悪くありません。左手人差し指で打つ「B」キーが右半分側にあるのは、やや使いにくかったです。
【ガジェットジャンル05】ICレコーダー
会議を録音して議事録に起こしたり、商談の内容を記録したりするときに活躍するICレコーダー。文字起こしのしやすさにも着目したいです。
【比較製品01】「声だけ再生」機能で文字起こしがスムーズ!
オリンパス
Voice-Trek DM-750
実売価格1万4000円
音声部分だけを抽出する「声だけ再生機能」を装備。会議や講演などの文字起こしが素早く行えます。語学学習向けには、お手本の音声のあとに無音時間を作る「シャドーイング」再生機能も。
↑本体はシンプルな縦長の定番デザイン。写真のシルバーのほかブラックも用意されています
【採点】
文字起こしのしやすさ:5
「文字起こしモード」を搭載。3秒戻って再生する機能や、会話のない部分の3.5倍速再生、声の大きさの調整機能など充実しています。
バッテリー持ち:5
録音/スピーカー再生時間は、付属充電池使用時でともに11時間。アルカリ乾電池ならより長くなり、電池切れの心配が少ないのが特徴です。
充電時間/急速充電対応:4
パソコンなどのUSB端子から充電可能。フル充電まで約3時間かかりますが、単4形乾電池も使えるので、万が一の際も乾電池でしのげます。
【比較製品02】スマホからの遠隔操作も可能な小型レコーダー
ソニー
ICD-TX800
実売価格1万8500円
リモコンやスマホによる遠隔操作が可能で、会議や打ち合わせ時、相手にレコーダーを意識させずに録音が可能。「会議」「講演」「ボイスメモ」など、シーンに合わせて感度などを自動設定してくれます。
↑本体とは別にリモコンが付属する。録音開始や停止、再生などの操作はここからも行えます
【採点】
文字起こしのしやすさ:4.5
任意のポイントにマークをつける機能が秀逸。録音時に重要なポイントをマークしておくと、再生時にすばやく頭出しできて便利です。
バッテリー持ち:4
マイク録音時は約12〜15時間、再生も約10〜12時間(MP3)と長めです。ただし、スマホ連携時の録音は約6時間と短くなるのがやや残念です。
充電時間/急速充電対応:5
約3分充電すると約1時間録音できるので、急な会議などではありがたいです。USB経由でPCやモバイルバッテリーからでも充電が可能です。
【比較製品03】周囲の雑音を自動で低減してクリアに録音できる
パナソニック
RR-XS470
実売価格9230円
正面からの音を強調し、ノイズキャンセルでエアコンなどの雑音を低減する「センター強調クリアズーム録音」機能を装備。講義や1対1の会話など、特定方向からの録音で威力を発揮します。
↑録音や停止、再生といった各ボタンを日本語表記。不慣れでも必要な操作を迷わずに行えます
【採点】
文字起こしのしやすさ:3.5
文字起こしに特化したモードがあるわけではありませんが、聴きたい方向の音を強調する機能や、複数の声の音量を合わせる機能が活用できます。
バッテリー持ち:3.5
録音時は約11.5〜15時間と比較的長いので集中的に録音を行う場合も安心、ただし、再生時は約6〜7.5時間と短めなのが惜しいです。
充電時間/急速充電対応:4.5
フル充電までは約2時間とまずまず。別売の充電池や市販の単4形アルカリ乾電池も使えるので、用意しておけば急な利用時にも安心です。