デジタル
2018/10/27 8:00

【西田宗千佳連載】「ちょうどいい」モデルでトップになったシャープのスマホ

「週刊GetNavi」Vol.72-1

低価格帯のニーズを捉えた端末がヒット

シャープの携帯電話事業が元気だ。調査会社BCNの調べによれば、2018度上半期の国内Androidスマートフォンのシェア1位はシャープになったという。シャープのAQUOSフォンという名前は広く知られているが、日本におけるAndroidスマホのシェアトップは、長らくソニーモバイルのXperiaだった。それが抜かれた、というのは、けっこう大きなことである。

 

これにはもちろん理由がある。ハイエンド機種とミドルクラスの機種をうまく使い分ける「ミックス戦略」が当たったのだ。

 

スマホというと、我々はどうしてもハイエンド機種に目を奪われがちだ。だが、ハイエンド機種はどうしても高くなる。スマートフォンを「生活必需品としてやむを得ず買う」人にとっては、高いことはそれだけハードルになる。高価な機種には相応の割引措置が行われることも増えているが、それでも、最終的に支払うコストは高い。なお、選ばれやすい製品という意味では、ブランドが確立していることも重要だが、日本におけるブランドという意味では、AQUOSは、iPhoneやXperiaに引けをとらないだろう。

 

ここでポイントになったのが、安価なスマホを求める人への対応だ。シャープが2017年後半から躍進した理由は、このニーズにミートした端末を用意できたことにある、と考えている。では、低価格機種で「売れる」ためには、なにが必要だったのだろうか?

 

実際に、シャープ躍進の鍵となったモデルは、2017年11月に発売された「AQUOS sence」である。 NTTドコモ・au・UQ mobileの3社から販売されている本機は、価格を安価に抑えている一方、あからさまに「上位機種のスペックダウン版」にはなっていない。カメラやディスプレイにハイエンドな部品は使われていないが、かといってローエンドパーツで構成されているわけでもない。防水・防塵・おサイフケータイといった必要な要素を備えつつ、この種の機種を求める人向けにデザインは「シンプルさ」を押し出している。売価が3万円強の製品をうまく「ちょうどいい感」のあるものにしたバランスの良さ、それをドコモやauの低価格プランに合わせて供給したことが、ヒットの要因といえよう。また同時に、販売店などでの販売支援も、相当に積極展開したようだ。

 

それに対し、トップシェアであったソニーモバイルはハイエンドに集中した。だから、うまくミックスで展開したシャープにシェアでは負けたのである。シャープもソニーも、海外のスマホ市場では存在感がない。ある意味、日本に特化したビジネスをしているものの、シャープはより「日本市場での数の確保」に専心したことで、「AndroidシェアNo.1」の座を確保したのである。

 

そしてシャープは、今秋以降も「ミックス戦略」を継続する構えだ。有機ELを使ったハイエンド機種「AQUOS zero」と、ヒット機種の後継「AQUOS sence 2」で果敢に攻める。おそらく、好調は下期も継続することだろう。

↑AQUOS sence 2

 

では、なぜシャープは「攻め」ているのか? ハイエンド戦略はどんなものか? そうした部分はVol.72-2以降で解説していく。

 

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