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2018/11/6 7:00

【西田宗千佳連載】国内スマホ市場の変化が「シャープ好調」を後押し

「週刊GetNavi」Vol.72-2

前回のこの連載でも説明したとおり、シャープのスマホ事業が好調だ。

 

好調である理由は、主に2つある。

 

ひとつは前回も紹介した「AQUOS sense」のヒットだ。

↑AQUOS sence 2

 

スマートフォンの普及も一段落し、「買い換え」「買い増し」のサイクルに入った。1番いいものを携帯電話事業者から分割払いで購入する、という人がいまだに多い一方で、「毎月の出費を抑えたい」「スマホは別に最高の性能でなくていい」という人も増えている。

 

ご存じのとおり、SIMフリー機はそうした市場を狙ったものだが、AQUOS senseはまた違う。「SIMフリー機+MVNOを選ぶほど知識に自信はないけれど、携帯電話料金の値段は下げたい……」、そういう人向けに大手携帯電話事業者が推したことが、ヒットの起爆剤になった。特に大きかったのが、NTTドコモの「docomo with」の対象になったことだ。docomo withは端末購入の割引が少ない特定の端末を選んだ場合に、毎月の支払いがずっと1500円割り引かれ続けるもの。AQUOS senseは、「シャープ」という日本人になじみ深いブランドが作ったお手頃なスマートフォンであり、料金の割引条件もわかりやすいというわけだ。なお、docomo withの契約数は、2018年10月の段階で300万件を超えている。そのdocomo with対象機種のなかでも、iPhone 6sと並んで購入者が多いのがAQUOS senseといわれている。

 

日本国内のスマートフォン市場は、海外とはかなり様相が異なる。Androidではソニーモバイルの「Xperia」とシャープの「AQUOS」が強いのだが、一方のXperiaは、いまひとつ元気がない。Xperiaが高級機種路線を堅持しており、docomo withに入るような「3万円で買えるが性能はそこそこ」という機種を用意していないこともあって、販売シェアでシャープが一気にソニーモバイルを抜いていき、国内Androidでトップ、となったのだ。

 

すなわち、スマートフォン市場の変化の時流を読み、国内市場に合わせた端末をすばやく提供したことが、現在の好調の大きな要因といえる。

 

そして、好調な要因の残るひとつは、「積極的なビジネス展開が可能な社内状況になった」ことだ。ご存じのとおり、シャープは経営危機を迎えていたが、2016年8月に鴻海グループからの出資を受け入れ、鴻海精密工業の子会社となった。それ以前は財政的な困難もあり、各種ビジネスについて「攻め」の態勢を取りづらい状況にあった。負債の原因はほぼ液晶工場の操業に伴うもので、携帯電話事業は比較的堅調だったのだが、やはり大胆な策は展開できずにいた。

 

社内の状況が一変し、携帯電話事業についても「売り上げが見込める部門」としての期待が大きくなったため、同社としては改めて積極策に打って出た。その結果が「AQUOS sence」のヒットであり、今年のハイエンド機種でもあり「AQUOS zero」にもつながっている。

 

では、ハイエンド戦略をシャープはどう考えているのか? その辺はVol.72-2以降で解説する。

 

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