デジタル
2018/11/29 7:00

【西田宗千佳連載】スマートスピーカー市場は「ディスプレイ付き」が主流に

「週刊GetNavi」Vol.73-1

世界的なトレンドとなるスマートディスプレイ

12月12日、Amazonは日本で「Echo」シリーズの新製品となる「Echo Show」の販売を開始する。Echo Showは、スマートスピーカーの代名詞である「Echo」に10.1型のディスプレイをつけたような製品で、俗に「スマートディスプレイ」とも呼ばれる。アメリカでは2017年に第1世代が発売されたが、日本では未発売。しかし今回の第2世代では、ようやく日本での発売にこぎ着けた。

↑Amazon「Echo Show」

 

ディスプレイのついたスマートスピーカーとしては、Amazonが、丸いディスプレイのついた「Echo Spot」を国内で発売済みで、この種の製品としては2機種目となる。

 

スマートスピーカーに続く製品として、このスマートディスプレイの競争が激化しようとしている。日本国内での製品発売を公表しているのは、Amazonのほかには、LINEの「Clova Desk」(今冬発売予定)があるが、この2社のみ。しかし、世界的に見ると、すでにアメリカではGoogleが参入済みだ。同社の「スマートディスプレイ」規格に対応した製品がレノボなどから発売されているほか、Google自身が開発・販売する「GoogleHome Hub」もある。そして、スマートスピーカーには参入していないFacebookも、音声アシスタントにAmazonの「Alexa」を使いつつ、自社のビデオ通話サービスを組み込んだ「Portal」を、米国で11月から出荷するとしている。Amazonがまず先行し、その1年後に他社が出そろって市場を構成する、という流れであり、スマートスピーカーのときとかなり似た状況といっていい。

 

実は、スマートディスプレイという一般呼称は、Amazonが言い出したものではない。Googleが自社で製品プラットフォームを作る際に言い出したもので、業界的にはそれまで「ディスプレイ付きスマートスピーカー」だった。要は言いやすいから定着したのだ。

 

音声だけなく映像でも確認できるほうが便利

ここに来て、スマートディスプレイに注目が集まっている理由──それはシンプルに、これらが「使いやすいから」である。

 

音声での命令に音声で答えてくれるのはいいが、回答が声だけ、というのは少々わかりづらい。料理のレシピにしてもどこかへ行くための経路にしても、声だけでは理解しづらいものだ。音声に合わせて映像が出てくれれば、ずっとわかりやすい。そもそも音声アシスタント自体、スマホ上で動いているときにはテキストや画像も同時に表示している。その技術を応用すれば開発も簡単だ。また、ビデオ通話などもできるため、家庭内で固定電話代わりの感覚で使える、というのもポイントだ。

 

だが、「それだったら、最初からスマホやタブレットをスマートディスプレイとして使わせれば良かったんじゃないか……?」と感じて、なんとなく腑に落ちないという人もいるだろう。

 

しかし、各社はあえて新しいハードを作り、このジャンルに取り組んでいる。それはなぜなのか? そして、スマートディスプレイの価値はどこまで高まるのか? そのあたりは、Vol.73-2以降で解説したい。

 

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