気になることも少々ありました。電池消耗の激しさと、発熱によるパフォーマンスの低下です。電池消耗に関しては4000mAhと強バッテリーで対応していますが、ゲームプレイをメインにするには、まだ心許ないのは否めません。推奨はしていないものの充電しながらのプレイにならざるを得ないのですが、充電しながらでも本体に熱が溜まらないような施策をしています。高い効果の放熱機構を採用したり、充電アダプタ側にICを組み込むことで、本体での発熱を抑えています。さらに拡張ユニットの、冷却ファン内蔵クーラーユニット「AeroActive Cooler」を使用すれば、さらに効率的に放熱できます。
他にも機能は満載です。そのひとつが「Gamevice Wigig」。この機能を使うことで、スマホの画面を大画面にワイヤレスで転送することができます。いわゆるミラキャスト的な機能ですが、特筆すべきはその遅延のなさ。レースゲームをプレイしながら、スマホの画面表示と転送したモニターの画面表示を見比べましたが、遅延を感じることはありませんでした。ちなみにこの技術は、無線通信規格の11adによるところでこの規格が対応しているところも見逃せないところです。
Nintendo 3DSさながら、2画面でプレイが可能になる「TwinView Dock」もなかなか面白い試み。ゲームをプレイしながら攻略動画を観たりチャットをしたり、はたまた2つのゲームを同時にプレイすることもできるわけです。画面は基本的に横位置になっていますが、縦に持ち替えることで、「ポケモンGO」と「Ingress Prime」が同時にできてしまうなぁと思ったり。
ゲーミングPCと言えば、本体やキーボードの色鮮やかなイルミネーションも特徴です。ROG Phoneも背面アイコンが光ります。イルミネーションはアプリで管理でき、点灯、点滅、サークルなどから動きを選べます。また色や明るさ、点滅の速度など、自由に設定できるのもポイント。チームで大会に出た時など、同じカラーで統一できるように他のROG Phoneとリンクさせることができるのも粋です。
サークルを使うと、いろいろな色に変化していきます。動画でご確認ください。
ひと通り触ってきましたけど、ゲームを遊ぶには最強のスマホと言えるのは間違いないと感じました。ただ、ゲーミングPCと違うのは、現状のスマホアプリだと、他のスマホでも十分パフォーマンスを発揮でき、ROG Phoneの実力を思う存分発揮するものがないところです。もちろん90fps対応など、ROG Phoneでないと実力がフル活用しないゲームアプリも少なからずありますが。
ただ、オーバースペックで宝の持ち腐れかと言うとそうではなく、ゲーミングスマホが出たことにより、それに合わせたハイスペックを要求するゲームアプリが作れるようになるとも考えられます。そういった意味だとROG Phoneは、ちょっとスマホの基準にとらわれてしまったかなと言う印象さえありました。スマホとしてのサイズ感、重さなどを考慮した結果、いろいろ諦めなくてはならなくなっているので、いっそのことスマホの佇まいでなくても良かったのではないかと。薄さ軽さが正義となっているノートPCの世界に、分厚く、重いゲーミングノートPCが発売されているように、今の3倍くらいの厚みや重さがあっても良かったのかも知れません。バッテリーも20000mAhくらい載せたり、グラフィックボードを載せてみたりとか。
すでにスマホゲームアプリで、eスポーツイベントやプロチームによるツアーなども行われていますが、ゲーミングスマホが普及しさらなるハイエンドのゲームが出ることで、eスポーツの主流もPCからスマホに移るかもしれません。所有率の差からスマホでプレイする方が明らかに広がる可能性があるので、そこは期待したいところです。