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2018/12/3 21:22

ASUS「ROG Phone」はただの高性能ゲーミングスマホにあらず! アプリゲーム市場すら変える可能性も?

先日、ASUSから話題のゲーミングスマホ「ROG Phone」が正式発表されました。6月に開催された台湾のコンプテックスにて発表されて、すごく期待していたこのモデルを触ってきたのでレポートしたいと思います。

 

 

ゲーミングスマホと言われてもピンとこない人もいると思いますが、それもそのはず。このモデルこそがエポックメイキング的な存在なのです。言ってみれば、PCとゲーミングPCとの違いのように、ゲームをどれだけ快適にプレイできるかにこだわった一台と言うわけです。

 

ゲーミングPCの特徴は、なんと言ってもグラフィック性能の高さ! 高性能なグラフィックボードを搭載し、ディスプレイの応答速度が1msec、高いほど動画表示の滑らかさに関わるリフレッシュレートは144Hz~、と通常のPCにはないほどグラフィック性能が強化されているのです。もうひとつの特徴は操作性。専用のマウスやキーボードを使用することで、微妙な操作、的確な操作を実現します。ゲーミングスマホも同様に、グラフィックまわりと操作性の強化が施されています。

 

まず処理性能の命となるCPUですが、通常とは異なり高性能化されたオーバークロック仕様のSnapdragon845を使用しています。メモリは8GBで、ストレージは512GB。スペックだけみても、他のスマホとは一線を画すハイエンドっぷりです。

 

↑microSDには対応していませんが、ストレージが512GBもあるので、ゲームをインストールしまくっても、困ることはほとんどなさそう

 

ディスプレイは2016×1080ドットの6型有機ELを採用。リフレッシュレートは90Hz! 60Hzが標準である通常のスマホに比べて、1秒間に1.5倍多くリフレッシュを行い、滑らかな動きの表現を実現します。当然、ゲームアプリ側での表示が60fps以上でないと意味がありませんが、対応したアプリを試すと大きく効果を実感できます。まだ90fps対応のゲームアプリは少ないですが、意外なところで「ポケモンGO」が対応しているとか。

 

次に操作性です。ROG Phoneは、超音波タッチセンサー「AirTrigger」を採用しており、物理ボタンを押す感覚でタッチ操作ができるようになっています。タッチする部分は任意で決められるので、自分好みの操作感を得られます。

 

周辺機器も充実しており、ゲームパッド型ユニット「Gamevice for ROG Phone」を使用すれば、まるで携帯ゲーム機のように遊べます。また、ROG Phoneをディスプレイ、キーボード、マウス、有線LANなどの外部機器と接続できる「Mobile Desktop Dock」を使えば、先ほどのAirTriggerと同様にキーボードのキーをタップやソフトキーボードに割り当てることができるので、PCゲーム感覚で操作することもできます。

 

↑スマホ側面に2箇所超音波タッチセンサーがあり、そこに振れると画面の指定した場所をタップしたと同じ効果を得られます

 

↑Mobile Desktop Dock。キーボードやディスプレイ、マウスなどと接続し、操作できるようになります

 

↑タップする場所とキーボードのキーを組み合わせることで、タップ操作が必要なスマホアプリゲームもキーボードで操作できるようになります。どのキーでどこをタップするかは任意に変更可能

 

↑もはやスマホアプリでゲームしているとは思えません

 

↑Gamevice for ROG Phoneでゲームをプレイしているところ。操作性と見た目はもはやゲーム機です

気になることも少々ありました。電池消耗の激しさと、発熱によるパフォーマンスの低下です。電池消耗に関しては4000mAhと強バッテリーで対応していますが、ゲームプレイをメインにするには、まだ心許ないのは否めません。推奨はしていないものの充電しながらのプレイにならざるを得ないのですが、充電しながらでも本体に熱が溜まらないような施策をしています。高い効果の放熱機構を採用したり、充電アダプタ側にICを組み込むことで、本体での発熱を抑えています。さらに拡張ユニットの、冷却ファン内蔵クーラーユニット「AeroActive Cooler」を使用すれば、さらに効率的に放熱できます。

 

↑スマホの背面にファンを付けます。単純な機構ですが、かなりの効果があります

 

他にも機能は満載です。そのひとつが「Gamevice Wigig」。この機能を使うことで、スマホの画面を大画面にワイヤレスで転送することができます。いわゆるミラキャスト的な機能ですが、特筆すべきはその遅延のなさ。レースゲームをプレイしながら、スマホの画面表示と転送したモニターの画面表示を見比べましたが、遅延を感じることはありませんでした。ちなみにこの技術は、無線通信規格の11adによるところでこの規格が対応しているところも見逃せないところです。

 

↑スマホの画面をワイヤレスでPC用モニターに転送しています。レーススタート前のカウントダウンの数字がまったく同じで、遅延を感じませんでした

 

Nintendo 3DSさながら、2画面でプレイが可能になる「TwinView Dock」もなかなか面白い試み。ゲームをプレイしながら攻略動画を観たりチャットをしたり、はたまた2つのゲームを同時にプレイすることもできるわけです。画面は基本的に横位置になっていますが、縦に持ち替えることで、「ポケモンGO」と「Ingress Prime」が同時にできてしまうなぁと思ったり。

 

↑下の画面はTwinView Dockの画面。上にROG Phoneをはめ込んでいます

 

↑背面はこんな感じ。AirTriggerと同じ役割の物理ボタンがついています

 

ゲーミングPCと言えば、本体やキーボードの色鮮やかなイルミネーションも特徴です。ROG Phoneも背面アイコンが光ります。イルミネーションはアプリで管理でき、点灯、点滅、サークルなどから動きを選べます。また色や明るさ、点滅の速度など、自由に設定できるのもポイント。チームで大会に出た時など、同じカラーで統一できるように他のROG Phoneとリンクさせることができるのも粋です。

 

↑アプリで背面のロゴのイルミネーションを好きなように光らせることができます

 

サークルを使うと、いろいろな色に変化していきます。動画でご確認ください。

 

 

ひと通り触ってきましたけど、ゲームを遊ぶには最強のスマホと言えるのは間違いないと感じました。ただ、ゲーミングPCと違うのは、現状のスマホアプリだと、他のスマホでも十分パフォーマンスを発揮でき、ROG Phoneの実力を思う存分発揮するものがないところです。もちろん90fps対応など、ROG Phoneでないと実力がフル活用しないゲームアプリも少なからずありますが。

 

ただ、オーバースペックで宝の持ち腐れかと言うとそうではなく、ゲーミングスマホが出たことにより、それに合わせたハイスペックを要求するゲームアプリが作れるようになるとも考えられます。そういった意味だとROG Phoneは、ちょっとスマホの基準にとらわれてしまったかなと言う印象さえありました。スマホとしてのサイズ感、重さなどを考慮した結果、いろいろ諦めなくてはならなくなっているので、いっそのことスマホの佇まいでなくても良かったのではないかと。薄さ軽さが正義となっているノートPCの世界に、分厚く、重いゲーミングノートPCが発売されているように、今の3倍くらいの厚みや重さがあっても良かったのかも知れません。バッテリーも20000mAhくらい載せたり、グラフィックボードを載せてみたりとか。

 

すでにスマホゲームアプリで、eスポーツイベントやプロチームによるツアーなども行われていますが、ゲーミングスマホが普及しさらなるハイエンドのゲームが出ることで、eスポーツの主流もPCからスマホに移るかもしれません。所有率の差からスマホでプレイする方が明らかに広がる可能性があるので、そこは期待したいところです。