デジタル
パソコン
2019/1/11 20:00

世界最軽量13.3型ノートパソコンができるまでを初公開! 富士通 FMV「LIFEBOOK UH-X/C3」の秘密を暴く旅〜工場見学編〜

【液晶の秘密】立てられないほど薄型化したLCD液晶の意外な管理方法

液晶が軽量化に関わる理由はシンプルに薄型化したからですが、薄型になるともちろん割れやすくなり、ライン上でも繊細な管理が求められてきます。

 

↑今回、LCDメーカーから取り扱いについての知見をもらったとのこと。薄型のため写真のように持たないと割れる危険性がある

 

従来のライン工程では、すぐに取り出し組み立てできるように液晶パネルは縦に保管していましたが、今回は縦置きでは割れる可能性が高いため、LCDが入荷された状態のままラインに常備するという新たな方法が生み出されました。

 

 

↑薄いピンクの容れ物が、入荷時のLCD液晶梱包

 

写真の梱包から取り出して縦置きで管理していくのが従来でしたが、そのまま出さずに直接設置していくという方法。ライン内でのスペースはとるものの、毎回取り出す手間が減って効率化にも繋がっています。

 

開発当初、島根工場のみなさんは「縦置きで割れちゃうような薄い液晶、どうやって設置するんだろう…」と途方に暮れたそうですが、LCDメーカーと話し合いを重ねて今回の方法に至りました。良きモノを作るためにラインの体制を変える発想に驚きます。

 

【中身の秘密】限界まで突き詰めた基板設計と細かすぎるカメラの設置

軽量化の追求として、基板の全面見直しも図られたUH-X/C3。省スペース化するために、全てをオンボード化して面積を15%少なくすることに成功しています。

 

↑上が前機種の基板で、下がUH-X/C3の基板。メモリ、Wi-Fiもオンボード化してすっきりしているのがわかる

 

ここまで読んで頂いたみなさんならおわかりかと思いますが、薄型化した部材は強度が低くなり取り扱いが難しくなります。島根工場では細心の注意を払って取り扱われていました。

 

 

↑一番の問題はたわんで設置してしまう可能性が増えたこと。対策としては、平板なボードの上でたわみが無いように努めることのようだ…

 

ファンの位置が変更されているのは熱効率の向上を狙ったものですが、風量を上げるためにファン自体も大きくなっています。しかし、板金をアルミ化することでなんとファンもトータルでは軽くなっているそうです。開発力の高さに驚くばかりですが、開発の松下さんによると「基板での軽量化はほぼ限界値」とのこと。

 

↑左がUH-X/C3のファン

 

ところで島根工場で基板の設置について見学していたら、恐ろしい工程を見てしまいました。今回の取材で一番驚いた点でもあります。新しく備わった顔認証カメラの設置工程なのですが、天板に補強形状を入れたというのは繰り返しお伝えしていますが、そのカバーがカメラの動線にまたぐため、非常に繊細な設置方法となっていたのです! 写真でご覧ください。

 

↑動線を細い隙間にくぐらせて配置している

 

見えますか? ダメ押しでくぐらせている穴を正面から見てみましょう。

 

↑カバーに、動線の形状と合わせた穴があいている

 

ラインが流れて稼働しているところもぜひ見てほしかったのですが、コンマ1秒にこだわっているところ、数秒はかかりそうな工程が増えているので相当大きな作業となっていると理解頂ければ。しかし、島根工場のみなさんが全く動じずに動線を設置して、「お客様の求めるクオリティに必要なら」と笑顔を見せていると、ただただ敬礼したい気持ちに駆られてしまいました…。

 

↑新設計のボックススピーカーもポイント。スカイプ会議などでのユーザビリティ向上を狙った採用だが、動線が直線で配置できてライン的にも効率化された

 

開発者と製造者の密なコミュニケーションがなければ、数千、数万個単位の数のモノづくりで、ここまでのこだわりは注げません。稲佐の浜でサッとスカイプできたのも、この工程があったおかげなんですよね。

 

大ボリュームでお届けした島根工場見学もこれにて終了。秘密を暴いているつもりが、卓越した匠の技術に感服するしかなくなってしまいました。しかし、今はハッキリと断言できますが、UH-X/C3の約50g軽量化は確かな裏付けと信頼があってのものです。UH-X/C3のボディは軽さを徹底していますが、詰め込まれた思いは決して軽いものではないのです。

 

【最後に】バッテリーが秘めた軽量化の可能性

大長編となった本記事にお付き合い頂いたみなさんに、最後に残された秘密「バッテリー駆動時間が向上したのに軽いのはなぜ?」にまつわるお話をしたいと思います。

 

公称値におけるUH-X/C3のバッテリー駆動時間向上は、液晶側の省電力機能が向上したことで実現されています。液晶に表示している部分が動画か静止画かを、液晶全体ではなく部分的に判断し、画面変化のない静止画エリアについては液晶側のみで描画処理をすることで、メモリからの読み出しやGPUの動作に必要な電力が削減されるため、装置全体の駆動時間向上に大きく寄与しています。

 

↑UH-X/C3に採用されたバッテリー。2枚のセルで構成されているが、大容量バッテリーを持つモデルなら4セルで構成される。UH-X/C3はもちろん軽量性を重視して2セルとした

 

開発の河野さんに「今後さらに軽量化する際、手を加えるとしたら?」という質問をしたところ、「バッテリー」という答えが返ってきました。考えられる限りの肉を削いできたUH-X/C3ですが、バッテリーにはまだ手を加えられていないとのことです。

 

バッテリーの製造技術も進化しており、薄く軽くかつバッテリーも長持ちするように研鑽されています。軽さについては私も今回の旅で、期待以上の実感を得られたわけですが、バッテリーに関してもさらに突き詰めてほしいとも思いました。理想論ではありますが、ACアダプタを持ち歩かなくても今回の旅ができるくらいの容量に進化させることは、FCCLの開発力、そして島根富士通の匠の技があればできると信じています!

 

LIFEBOOK UH-X/C3製品ページはこちら

 

UH-X/C3購入ページはこちら

 

【SPEC】

●OS  :Windows 10 Pro 64bit版 ●CPU:インテル® Core™ i7-8565U プロセッサー(1.80GHz-最大4.60GHz) ●メモリ:8GB ●ストレージ:約512GB SSD ●液晶ディスプレイ :13.3型ワイドフルHD(1920×1080)液晶ディスプレイ(IGZO)、ノングレア仕様 ●グラフィック:Intel® UHD Graphics 620(CPUに内蔵) ●外部インターフェイス左側:USB 3.1(Gen2)Type-C端子×1、USB 3.1(Gen1)Type-C端子×1、HDMI出力端子×1、USB 3.0 Type-A端子×1、ヘッドホン端子×1/右側:SDメモリーカードスロット×1、USB 3.0 Type-A端子×1、有線LANポート×1 ●無線通信 :IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠、Bluetooth v5.0準拠 ●バッテリー駆動時間:約11.5時間 (※2) ●サイズ(※4) /質量:約W309×H15.5×D212mm/約698g(※5)

※1:13.3型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量。2019年1月1日時点、富士通クライアントコンピューティング調べ。

※2:JEITA測定法Ver2.0による測定値。

※3:無破損、無故障を保証するものではありません。

※4:突起部含まず。

※5:平均値のため各製品で質量が異なる場合があります。

 

撮影/高橋敬大、我妻慶一

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
TAG
SHARE ON