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2019/2/6 7:00

【西田宗千佳連載】街のコンビニは「無人」にはならない?!

Vol.75-3

コンビ二だけでなく、流通業界は人手不足に悩んでいる。これはどの国もそうだ。店舗運営には必ず一定の人手が必要で、店舗の営業時間が長ければ長いほど、この問題が顕著になる。企業としては人件費を圧縮したいが、削減すると人が集まらないし、定着しない。こうしたジレンマのなかで注目されるのが「無人コンビニ」というわけだ。

 

だが、街中にある、我々が使うコンビニがすぐに無人化するのか……というと、そうではない。なぜなら、そうした店舗は無人化に向かず、無人化すると収益が落ちると予測されているからだ。

 

コンビニのような店舗は、品数が多く、特に生鮮食料品・加工食品が多い。定期的な品物の補充と入れ替えが必須だ。ここについては現状、自動化する方法がない。そこで人手を減らす対応をしてしまうと、店舗の魅力が落ちるのだ。

 

第1回で述べたように、「無人コンビニ」の代表ともいえるAmazon GOも、店員を排除してはいない。シアトルの店舗の場合、店内でランチボックスやサンドイッチの調理をしているので、むしろ「普通のコンビニより従業員は多い」ものである。

 

だが、レジがなくなると、レジ打ちという単純で待ち時間の多い作業から、貴重な労働力を解放することができる。品出しや商品に対する問い合わせの対応、調理といった部分は、現状、人間にしかできないことであり、その部分の品質の高さが店舗の価値に直結している。

 

このことから考えると、仮に「無人コンビニを実現する技術」が当たり前になる世の中が来ても、コンビニから店員の姿が消えることはなさそうだ。なくなるのは「レジ行列」と、それにともなう単純作業だけである。これはまさに「コンビニにおける働き方改革」そのものである。

 

一方、「無人にする」技術があるから実現できるものもある。それが「小型店舗」だ。会社内や駅の売店は店舗面積が狭く、対象顧客数に限界がある。だから、人件費に問題がある状態では運営が難しい。しかし、無人なら話が別だ。商品の補充さえうまく回せれば、小さな面積で運営する店舗向けに無人化技術を使うことには、非常に大きな可能性がある。セブンイレブンはNECと共同で「無人コンビニ」の開発を進めているが、彼らの狙いは明確に、企業内や病院などの「小型コンビニ」にある。コンビニという業態が入って行きづらいところに商圏を広げるのが狙いだ。

 

すなわち「無人コンビニ」の最大の特徴は、コンビニというシステムにスケーラビリティを持たせられることにあり、「省力化」だけに注目するのは間違いなのである。

 

では、コンビニにAI技術が導入されるとどのような未来が待っているのか? それについては次回のVol.75-4版で解説したい。

 

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