ITライター・山谷剛史さん注目の未上陸サービス!
キャッシュレス先進国はデリバリー先進国へ
中国のインターネット環境は一部閉ざされ、GoogleやTwitter、Facebookなどのサービスが利用できません。その代わりに”中国版Twitter”とも言われる微博(Weibo)などの類似サービスが登場し、独自に発展してきました。
また、魅力的な端末展開やサービスでスマホが普及し、キャッシュレスが世界で最も早く浸透。QRコードを使うテンセントのWeChat Payや、アリババ系のアリペイによってスマホひとつでどこでも支払いが可能となり、中国のインターネット環境は新たなステージに突入しました。
中国の都市部ではいまやどんな小さな店もキャッシュレス対応していますが、スマホ決済の恩恵はほかにもあります。自転車やモバイルバッテリーなど、様々なモノがスマホを使ってその場でレンタル可能になったのです。レンタルの際は返さない場合に備えデポジット(預かり金)を取るのが定石ですが、アリペイはここに信用スコア(※)を導入。信用スコアが高ければレンタル時にデポジット不要となりました。
さらに中国では、実験的な無人店舗や自動販売機が続々と登場。これら新サービスの利用を容易にしたのが中国IT大手、テンセントのWeChatの機能である「ミニプログラム」です。これを使うと新規にアプリを入れずにサービスを利用できます。
中国にはシェアサイクルサービスも無人店舗も多数存在します。新しい無人店舗を見つけて利用しようとしたときに、新たにアプリを入れる手間がなければハードルは一気に下がります。なお、WeChatほどではないですがアリペイにもミニプログラムはあります。キャッシュレスとミニプログラムは中国の生活を大きく変えたと言えます。
キャッシュレスの恩恵を受けた企業はアリババやテンセントだけではありません。リアルショップのクーポンやデリバリーに圧倒的に強い美団(メイトゥアン)も多大な恩恵を受けました。アプリ「美団」を使うことで中国全土で食事や生鮮食品のデリバリーやクーポン購入が容易になり、中国では3億4000万人が美団を利用しています。無数の運び屋のライダーが、名店の料理から市場の野菜まで様々なモノを運んでくれて便利です。
これに対しアリババやテンセントは、中国各地の有力スーパーから30分以内、1時間以内という爆速配達で対抗。中国全土の都市部は、なんでもすぐにデリバリーされる生活環境へと変化しています。
※:「信用スコア」とは個人ごとの信用を数値化したもの。信用はその人の学歴、職歴、資産、人脈や性格などの情報をAIが分析し、得点化します。例えばアメリカでは、信用スコアはローンやクレジットカードの審査のみならず、就職や結婚などにも影響すると言われます
【その1】 新たにアプリを入れずに“アプリ”が利用できる!
【チャットアプリ内プログラム】
テンセント
WeChatミニプログラム
WeChatアプリ内で起動するプログラム。QRコード読み取りやリンクのタップだけで起動し、ゲームや外食サービスの利用、モバイルショッピングなどがインストールやユーザー登録の手間なく行えます。利用者数は7億人以上。
【その2】キャッシュレスのみならず独創的フィンテックが多数
【QR・バーコード決済サービス】
アントフィナンシャル
アリペイ
QRコードを使った、中国のモバイル決済シェアの約54%を占める世界最大の決済サービス。いまやキャッシュレス決済にとどまらず、受け取った電子マネーを使った資金運用や各種保険など、様々なサービスを提供しています。
【その3】 食事も市場の野菜もなんでもデリバリー!
【フード配送サービス】
美団点評社
美団(メイトゥアン)
フードデリバリーを中心とする配送サービス。UberEatsのようにライダーが食事を運び、コンビニや市場などの商品も届けてくれます。大都市はもちろん、地方の小都市にまでライダーがいて、中国全土でサービスが浸透しています。