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2019/9/28 7:00

【西田宗千佳連載】低価格市場で伸びる「中国系テレビメーカー」

Vol.83-1

これからのテレビ市場は中国メーカーがカギを握る

新製品が出揃い、2019年のテレビ市場も全体を見通せる状況になってきた。

 

2020年はオリンピック・イヤーということもあるし、昨年末には新4K8K放送がスタートしたこともあるため、メディア的にはテレビに注目……と言いたいところなのだが、これらの要素は「テレビの購入」に対して劇的な効果を生み出していないというのが実態だ。今年は、地デジがスタートして8年。2011年前後にテレビを買った人の買い換えが増える時期でもあり、4K放送やオリンピックも多少の後押しにはなる。それらの影響が何もないというわけではないものの、地デジでテレビが急速に売れた(それは、そこから数年間の需要を先食いしたということでもある)ときのような効果が見られるかというと、残念ながらそんなことはなさそうなのだ。

 

一方で、テレビ市場には大きな変化も見えてきた。それは、海外メーカーの躍進である。

 

日本のテレビ市場は、この数十年、ずっと日本のトップメーカーが寡占する状況にあった。トップシェアグループである、ソニー・シャープ・パナソニック・東芝の4社で市場のほとんどが構成されていて、海外メーカーのシェアはなかなか上がらなかった。

 

しかし2018年から、そうした状況はかなり変わって来ている。中国系メーカーのハイセンスが低価格市場でシェアを伸ばし、トップグループに次ぐ存在になってきた。さらに、東芝のテレビ事業はハイセンスが2017年末に買収しており、現在は「東芝映像ソリューション」として、「東芝」「レグザ」のブランドをそのまま使ってビジネスをしている。ハイセンスブランドとは別の商品展開ではあるが、資本系列としては同じグループに属していることもあり、テレビ市場における同社の存在感は徐々に大きなものになってきている。

 

さらに8月末には、テレビで世界シェア2位である中国の「TCL」が日本市場に本格参入を果たした。こちらの武器はやはり価格。もっとも安価な43V型のモデルは、4K液晶を採用しながら5万円前後とかなり安い。

TCL 43P8B

 

国内メーカーは高付加価値な有機ELモデルで迎え撃つ

従来、低価格なテレビはなかなか売れなかった。リビングのテレビは長く使うこともあり、「とにかく低価格重視」という市場でもない。そして、大手メーカーとそうでないところの間には、画質でも機能でもかなりの差があった。

 

しかし、現在はそうした様相も変わってきている。中国のディスプレイパネルメーカーが躍進した結果、液晶ならば、そこそこ品質の良いものが低価格で手に入るようになった。しかも4K対応モデルが、だ。消費者目線で言えば、液晶テレビのコストパフォーマンスは劇的に上がったと言えるだろう。だからこそ、日本の低価格市場を中国系メーカーが席巻しはじめているのだ。

 

これらを迎え撃つ、国内大手は何をしているのかというと、こちらは有機ELパネルの高品質・低価格化を武器に、「付加価値モデル」で勝負する構えだ。

 

中国系のテレビと日本系のテレビの違いはどこにあるのか?国内メーカーが勝負をかける有機ELテレビのウリとは? こうした現在のテレビ市場の詳細は、ウェブ版で解説していこう。

 

 

 

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