デジタル
2019/12/28 19:00

SNSとの付き合い方はどう変わった? 2019年トレンドのSNS&デジタルサービスを振り返る

あっという間に2019年が終わります。みなさんはどんな一年でしたか?私はiPhoneケースをAliExpressで買いまくったり、ちくわを作ったりしていましたよ。それはさておき、今年もSNS業界では様々な動きがありました。その中から私がこれは!と感じた3つのトレンドサービスをお伝えします。

 

【トレンドサービスその1】24時間位置情報をシェアする「Zenly」

私たちは様々なものをSNSにシェアしてきました。文字、画像、動画、そして今いる場所からのライブ中継など、常に友達と思いを共有していますよね。そして2019年、ついに今いる場所をシェアするサービスが登場しました。それが「Zenly」です。

 

↑Zenlyは24時間お互いの位置情報を把握できるサービス

 

Zenlyは繋がっている人たちに、自分が今どこにいるかを24時間公開し続けます。繋がっている人達の居場所も地図上に表示されたアイコンで確認できます。さらに、その場所の滞在時間、スマホのバッテリー残量、移動速度もシェアされます。「自宅に4時間いるんだな」「AくんとBちゃんは電車で移動中か」など、行動がつまびらかになってしまうのです。

 

そんなプライベート丸見えのZenlyが注目され始めた年は、実は2018年。「JC・JK流行語大賞2018」(株式会社AMF)では、アプリ部門の第3位に「Zenly」がランクイン。そして今年発表されたマイナビティーンズ「2019年ティーンが選ぶトレンドランキング」の「流行ったモノ」では、5位に入っています。女子高生には昨年から今年にかけて流行したことがわかりますね。

 

さて、女子高生たちは今いる場所をシェアすることに抵抗を感じないのでしょうか。もちろん、自分のことをあまり知られたくないタイプの人は拒否感を示しています。でも、「自宅を知ってる友人なら」「めっちゃ仲良しの人なら」など、繋がる人を選べばかまわないという人がたくさんいるのです。女子高生だけでなく、男子も友人と繋がっています。カラオケボックスに4人でいたり、公園でサッカーしていたりといったことが友人に伝わるので、いちいち声をかけないで済むからです。

 

この「声をかけないで済む」ことがZenlyの良さです。常にInstagramのストーリーズなどで「今」を共有している10代は、自分から状況をシェアしなくても周囲に伝わるZenlyが”効率的”と考えているわけです。

 

最近では、見守りアプリとして、母親と子供が繋がっているという話も聞きます。その話をFacebookに書いたら、家族でiPhoneの位置情報を共有しているという人たちもいました。誰がどこにいるか、常に把握し合う時代がすでにそこまで来ているのかもしれません。

 

【トレンドサービスその2】「質問やアンケート」でSNSは新たなコミュニケーションへ

若者に人気のSNSといえば、Twitter、Instagram、そしてLINEですね。ここ数年、この3強は変わらないのですが、使われ方は少しずつ変化しています。今年これらのSNSでもっとも流行ったことは、”質問”と”アンケート”です。

 

↑ストーリーズの質問スタンプは人気

 

”質問”とは、投稿を見た人から質問を受け付け、その回答を投稿することです。2018年から流行していた「Peing(ペイング)-質問箱-」は、2019年も大人気。TwitterやInstagramのプロフィールに質問箱のURLを記載しておくと、誰かが匿名で質問を送ってくれるサービスです。「好きな色は?」といった簡単な質問から、「子どもの頃に好きだった遊びは?」といった自分語りができる質問まで、様々な質問が寄せられます。もし誰からも質問が来なくても、Peingが匿名の質問を送ってくるため、質問が途切れることはありません。また、自分が人に話したいことがあったら、誰からかの質問として自分が質問することもできるのです。

 

SNSでは、かつてmixiで流行った「100の質問」など、質問への回答を使って自分語りをする遊びが流行る傾向があります。「Peing(ペイング)-質問箱-」もまさにそれですね。突然「私は高校の時の模試で全国10位を取ったことがある」などと投稿すると周囲は引いてしまいますが、「今までで一番自慢できることは?」といった質問への回答なら自然に受け入れられますよね。

 

”質問”はInstagramのストーリーズでも流行っています。ストーリーズには、質問やアンケートなどのスタンプが用意されており、「明日の文化祭来てくれる人?」などと投稿することができるのです。「行く」「行かない」だけを回答してもいいのですが、大喜利のように笑ってしまう答えを書く友人もいたりと、楽しいコミュニケーションを行うことができます。ストーリーズは匿名の回答ではないため、質問者は誰が答えたかを知ることができます。その部分を塗りつぶすなどして、コメントを付けてストーリーズに再度投稿すると、また新たなコメントが寄せられて楽しいやり取りが続くのです。

 

投稿へのいいねやコメントだけでなく、質問やアンケートでの交流が盛んに行われるようになった2019年、どうやら2020年以降はInstagram広告もインタラクティブになっていくようですよ。

 

【トレンドサービスその3】LINE離れ? TwitterやInstagramのDM利用が浸透

2019年11月、大阪に住む小学6年生女児が誘拐され、栃木県で保護された事件を覚えていますでしょうか。女児と犯人の30代男はSNSで出会っていました。しかも、その家にはもう一人、行方不明の女子中学生がいたのです。

 

「子どもにスマホを渡すと、知らない人に会いに行ってしまうのかもしれない」−−大人たちはこの事件に衝撃を受けました。その後、少女と男はTwitterのDM(ダイレクトメッセージ)で連絡を取り合ったことが報道されました。少女の母親は、娘のスマホをチェックしていたと話していましたが、もしかするとLINEやTwitterの投稿は見ていたものの、TwitterのDMまでは見ていなかったのかもしれません。

 

メッセージといえばLINEでしたが、最近若い人たちはInstagramやTwitterのDMをよく利用しています。LINEは友だちだけでなく、公式アカウントからのメッセージも増えて、未読が溜まっている状態が普通になっています。それならTwitterやInstagramのDMの方が、自分が連絡を取りたい人だけに絞られているため使いやすいのです。また、Instagramのストーリーズにはコメント機能がないため、投稿に反応したい場合はDMになります。そのままDMで会話が盛り上がり、メッセージのやり取りがInstagramに集約されることもあるのです。

 

Instagramは10月に、メッセンジャーアプリ「Threads(スレッズ)」の提供を開始しました。信頼できる相手とだけ写真や動画を共有したいというユーザーのニーズにこたえるものだそうです。Instagramは「いいね」数の非表示テストも開始しています。Instagramは見栄えの良い写真や動画でフォロワーを増やし、いいねを競い合うプラットフォームでしたが、クローズドな世界に舵を切ってきたと言えます。

↑Instagram発のメッセンジャーアプリ「Threads」の画面(出所:フェイスブックジャパン)

 

人のコミュニケーションは、広く浅い交流と狭く深い交流がありますよね。SNSは前者に注力されていましたが、SNS疲れもあり、大切な人だけとコミュニケーションしたいというユーザーが増えてきています。それぞれのSNSがどんな方向性に進んでいくのか、2020年も楽しみですね。