デジタル
2016/7/8 16:40

【西田宗千佳連載】スマホにカメラが「5個」搭載される時代

「週刊GetNavi」Vol.44-3

 

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今後、スマホはより外部情報を取り込んで動くようになる。写真をきれいに撮影するため、という点はもちろん、個人認証や使い勝手の向上、新しいエンターテインメントの実現など、外界のデータを使いたい部分はいくらでもある。当然、ひとつのカメラでそれらをカバーするのは難しい。

 

ではいくつなのか? スマホのイメージセンサーでは大きなシェアを持つ、ソニーのR&Dプラットフォーム担当執行副社長・鈴木智行氏は、「将来の見通しとして、スマートフォンには5つ以上のカメラセンサーモジュールが搭載されることになるだろう」と予想を語る。

 

まずは、メインのカメラと自撮り用のインカメラ。これに対してそれぞれ、距離・立体感把握用の赤外線を軸にしたセンサーとしてのカメラが必要になり、さらに、画質向上用にひとつ以上の「サブカメラ」がつく。仮にこれがメインのカメラにだけついてデュアルカメラになるとしても、計算上は「5つ」になる。

 

こうなるのは、カメラとして単純に映像を撮影すればいい、という時代から、空間を立体的に把握し、それを「映像」にするだけでなく、3Dデータや個人の認証に使う時代になりつつある、ということでもある。

 

もちろん、ソニーのようなセンサーメーカーは、センサーがよりたくさん売れるようになればありがたいので、こうした話は「盛り気味」になることは考慮する必要がある。しかし、こと「カメラ」としての可能性を考える場合、スマホのカメラ機能と一般的なデジタルカメラは、どんどん違うものになっていくだろう。

 

第1に、メインのセンサーから得た映像だけで写真を作ることはなくなる。ファーウェイの「HUAWEI P9」は、2つのカメラの映像をソフトウエア的に合成して映像を作るようになっているが、そういうアプローチはあたりまえになるはずだ。例えば「ボケ」の表現はもっと簡単できれいなものになるし、ちょっと画角を変える、といったことも可能になる。赤外線センサーで得られた色と撮影した画像を組み合わせて、逆光の写真の色を補正する事だって出来るだろう。結局、従来のデジカメのアプローチで映像を撮影する限り、レンズが大きく撮像用センサーの面積も大きなカメラにはかなわない。ソフトウエア処理の比率を上げられるスマホでは、それらとはまったく異なるアプローチへと変化させていかねば差別化は難しくなる。別の言い方をするならば、目に見えない・見えづらいデータを使って、目に見える映像のクオリティを上げる、ということである。その開発は簡単なものではなく、カメラ用ソフトウエアにかなりのノウハウが必要になる。「いま」カメラに強いメーカーは有利だが、先に別のアプローチを試すことも悪くない。ファーウェイがデュアルカメラに移行したのも、スペック的な目新しさに加え、スマホならではのカメラの使い方について、ノウハウをいち早く貯めておきたい、という発想があったからではないだろうか。

 

そして、より大きい変化が次に待っている。それがなにかは次回Vol.44-4にて。

 

●Vol.44-4は7月15日(金)配信予定です。

 

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