デジタル
2015/7/8 8:00

「ヘビーローテーション」が生むストリーミング時代の音楽

Vol.32-3

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ストリーミング・ミュージックで音楽市場がどう変わるか? 変化の方向性は2つある。

 

ひとつ目は「聴き方の変化による市場の影響」だ。

 

ストリーミング・ミュージックの最大の特徴は、音楽を買うのではなく、利用料を支払っている限りは聴き放題になる、ということだ。結果、いままで聴いたことがない曲を聴いてもらって、利用者に音楽の発見をしてもらえる……というのが、サービス側の考えである。

 

これを収益面から見ると、また別の側面が見えてくる。

 

楽曲を「買って」いたときには、音楽レーベル側の収益は販売によって生まれていた。売れているときはいいが、売れなくなると販売管理と流通のコストばかりがかかる。だから、売れる曲=流通する曲になり、店舗がどれだけ在庫を持っているかがビジネスの価値となる。1曲売った段階でそこそこの収益を得られないといけないため、曲の価格はそうそう安くならない。

 

ストリーミング・ミュージックについては、レーベル側への収益は「再生回数」によって決まる。その料金は決して高くない。アーティストとサービス運営側の力関係によっても変わってくるのだが、1回再生された際にレーベルに支払われる料金は、アメリカの場合0.2ドルから0.4ドル、約20円から50円と、ディスク販売に比べれば安い。しかし、買い切りのCDやダウンロードと異なり、再生されればされるほど収入が得られる。

 

音楽が、映像や書籍やゲームと異なる部分は、誰もが「同じものを何度も味わう」ところにある。お気に入りの曲ともなれば、何十回と再生することもある。そうなると、その1曲から得られる収入も「購入した」場合よりずっと多くなる。

 

しかも、皆が同じようにストリーミング・ミュージックを使う時代が来れば、その曲を人に伝えて「聴いてもらう」ことも増える。そうした仕組みをうまく使い、いままで以上の「ヘビーローテーション」を生み出すことができれば、ストリーミング・ミュージックはより大きな収益を生む存在になるだろう。すなわち、「シェアされやすい」「リピートされやすい」曲こそ、ストリーミング・ミュージック時代に最適な楽曲になる可能性が高いのだ。「着うた」最盛期には、着うたに向いた曲が多く作られ、そこからヒットが生まれた。ストリーミング・ミュージック時代には、着うた時代と同様な「特別な曲」が出てくることだろう。

 

一方、ストリーミング・ミュージックの普及に伴う構造変化は、良いことばかりを生み出すわけではない。では、どんなマイナス面があり、その解決にはなにが必要なのだろうか? その辺は次回のVol.32-4にて。

 

Vol.32-4は7月15日(水)更新予定です。

 

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