デジタル
2020/7/30 16:45

これが未来の美術館の姿か!? 8K×バーチャルを組み合わせた体験プログラムが東京国立博物館で開催

博物館で飾られているような希少な古美術品は、ガラスケースの向こうから鑑賞するのが通常です。でもそれを、手に取って眺めることができたら……という夢をかなえる展示方法が、8Kディスプレイ技術で実現しました。

 

シャープと文化財活用センター、東京国立博物館(トーハク)は、8K映像技術を用いて、“文化財を手に取っているかのように体験できる仕組み”を開発しました。東京国立博物館・東洋館にて期間限定の展示「8Kで文化財『ふれる・まわせる名茶碗』」としてお披露目されます。

↑東京国立博物館で開催される「8Kで文化財『ふれる・まわせる名茶碗』」

 

この展示は、トーハクに収蔵されている有名な茶碗(文化財)を高精細な3Dデータとして再現し、8Kの高解像度なディスプレイで鑑賞できるというもの。コントローラーが「茶碗型」になっているのがポイントで、形状や重さが実物そっくりに再現されています。

↑8Kディスプレイに高精細な3D画像が表示されます

 

8Kや3Dモデルといった技術を使っていますが、実際の茶碗を扱うように、誰でも自然に操作できるようになっています。茶碗型コントローラーを手に取って動かすと、画面内のリアルな模型が連動して動きます。近づけると画面内の茶碗が大きく表示され、ひっくり返すと画面内の茶碗も裏返る。まるで茶器を鑑定している商人のように、上下左右から眺めまわすことができるというわけです。

↑茶碗型コントローラー

 

展示作品はいまから約500年前、戦国武将で茶人でもある織田有楽斎が愛用したとされる「大井戸茶碗 有楽井戸」。茶器の作りの違いを比べながら鑑賞するために、別の名作「志野茶碗 銘 振袖」と「青磁茶碗 銘馬蝗絆」もデジタルデータ化されています。

 

茶碗の鑑賞ポイントが分からない……という人も安心。茶碗型コントローラーを回しながら表示されるマークに合わせていくと、トーハクの研究員による解説が画面に表示されます。

↑解説が表示されるので、見どころがわかりやすい

 

大型高精細な8Kディスプレイのなかで手にした茶碗がクルクル回る様子は楽しく、拡大すると実物を裸眼で見るよりも精緻に表示できるので、ついつい細部に渡ってじっくりと鑑賞してしまいます。なかなか見ることができない茶碗の裏側までくっきりと眺められるのは、この展示の醍醐味といえるでしょう。

 

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