デジタル
スマートフォン
2020/8/13 21:55

触ってみたら…廉価版という認識を改めました! 十分に安い「Google Pixel 4a」の必要十二分な「性能」

Googleが8月20日に最新スマートフォン「Google Pixel 4a」を発売します。発売中の「Google Pixel 4」の廉価版です。と聞くと、機能を削って安くした、さほど特徴がない端末をイメージしてしまうかもしれませんが、違うんです。機能や性能は本家とそんなに変わらず、されど安い。そんな、超お買い得のモデルなんです。

 

前モデルにあたる「Google Pixel 3a」も、本家を上回るほどの注目を集め、Googleいわく「近年で最も売れた製品の一つ」となったそうです。Pixel 4aも人気を集めること必至でしょう。

 

価格はPixel 4の半額以下。その理由はどこに?

まずは、Pixel 4とPixel 4aの違いをチェックしておきましょう。

 

Pixel 4Pixel 4a
プロセッサSnapdragon 855Snapdragon 730G
メモリ6GB6GB
ストレージ64GB/128GB128GB
ディスプレイ5.7インチ(2280×1080)5.81インチ(2340×1080)
背面カメラ16メガピクセル(F2.4)
+12.2メガピクセル(F1.7)
12.2メガピクセル(F1.7)
前面カメラ8メガピクセル(F2.0)8メガピクセル(F2.0)
バッテリー2800mAh3140mAh
ワイヤレス充電×
生体認証顔認証指紋認証
FeliCa
eSIM
Motion Sense×

 

ディスプレイはPixel 4aのほうが若干大きいが、ほぼ同サイズ。プロセッサと外側カメラのスペックを抑えたことに加えて、ワイヤレス充電とジェスチャー機能「Motion Sense」を省いたことが、コストダウンにつながっていると言えるでしょう。

 

↑Pixel 4(右)よりもPixel 4aのほうが若干小さいが、画面は広い。価格はPixel 4が8万9980円(税込)〜で、Pixel 4aは半額以下の4万2900円(税込)

 

Pixel 4aを手にした印象は、とにかく軽いということ。Pixel 4の重さは162gですが、Pixel 4aはさらに軽い143g。ちなみに、4.7インチ画面のiPhone SE(第2世代)は148gなので、Pixel 4aの軽さは頭ひとつ抜きん出ている印象です。

 

↑Pixel 4aのサイズは144×69.4×8.2mm。片手で楽に持てて、画面のほとんどの場所に指が届く

 

Pixel 4は独立したイヤホンジャックを搭載せず、USBポートにイヤホンを挿せる仕様でした。しかし、Pixel 4aは上部にイヤホンジャック、下部にUSBポートを搭載しています。古い仕様ですが、充電しながらイヤホンも使えることは利点と捉えることもできます。

 

↑右側面に電源ボタンと音量ボタンを搭載

 

↑上部にイヤホンジャックを搭載

 

↑底部にUSB Type-Cポートを備える

 

↑左側面にSIMスロットを搭載。SIMは1枚しか挿せないが、eSIM(組み込み型SIM)を追加できる

 

背面パネルはポリカーボネート製。要するにプラスチック製で、お値段なりという印象。しかし、サラサラした手触りで、指紋が付きにくいにことは利点。カラバリが1色しかないのが、残念ですが、純正のファブリックケースが3色用意されているので、それで自分らしさをアピールするといいでしょう。

 

↑背面にはシングルカメラと指紋センサーを搭載。色はJust Blackのみ

 

↑別売のファブリックケースは5280円(税込)で、Basically Black(写真)、Static Gray、Blue Confettiの3色展開

 

シングルカメラだけど、画質は大丈夫?

Pixelシリーズは、カメラの性能でも高い評価を得ています。デュアルカメラを搭載したPixel 4は、画質の劣化が少ない超解像ズームや、星空も撮れる夜景モードなどが評価されています。

 

↑Pixel 4(左)はデュアルカメラだったが、Pixel 4a(右)はシングルカメラだ

 

Pixel 4aのアウトカメラは、最近ではレアなシングルカメラ。多くの機種が搭載している超広角カメラはありませんし、深度測定用のカメラも備えていません。ですが、Googleによると「Pixel 4とほぼ同等の性能を搭載している」とのこと。そこで、Pixel 4とPixel 4aで、同じ被写体・シチュエーションを撮り比べてみました。

 

↑Pixel 4で街の景色を撮影

 

↑Pixel 4aで撮影。色味に微妙に差が出たが、気になるほどの違いはない

 

↑Pixel 4の「夜景モード」で撮影

 

↑Pixel 4aでも、同じように明るい夜景を撮影できた

 

↑Pixel 4で料理を撮影

 

↑Pixel 4aでも、見栄えよく撮影できた

 

Pixel 4とPixel 4aの撮影画質に大きな差はなく、Pixel 4aはシングルカメラながら非常にキレイな画質で撮影できることを確認できました。写真全体の明るさと、コントラストを別々に調整できる「デュアル露出補正」も引き続き搭載されています。

↑撮影時に画面の右側に表示されるスライダーで明るさとコントラストを調整可能

 

背景をぼかせる「ポートレートモード」は、人物撮影でなくても使えます。Pixel 4aはシングルレンズなので、デジタル処理によってボケが作られますが、ピントを合わせた被写体が際立つように、かなり強目のボケが作られます。ポートレートモードで撮ると、背景をぼかした写真と、ぼかさない写真のどちらも保存されます。これはPixelならではの利点です。

 

↑「ポートレートモード」で撮ると、背景ボケある・なしの2枚の画像が保存される

 

超解像ズームは、Pixel 4は最大8倍で撮影できたが、Pixel 4aは最大7倍まで。倍率を高くすると、それなりに画質は荒くなるが、スマホの画面で見るには気にならない程度には補正されるようだ。

 

↑ズームを使わずに犬のオブジェを撮影

 

↑7倍ズームで撮影。オブジェの質感がはっきりわかる画質で撮影できた

 

8メガピクセルのインカメラは視野角84°と広めで、4倍までのデジタルズームも使うことができます。インカメラでも背景をぼかすことができる優秀な性能。“美顔補正” といった機能はなく、デフォルトで撮った時には、ありのままに写ってショックを受けましたが、メニューを開くと「顔写真加工」という機能があり、「スムーズ」に設定すると、肌のキメを多少整えてくれます。

 

↑自撮りの際は「顔写真加工」を「ナチュラル」または「スムーズ」に設定するのがおすすめ

 

特別な機能がないことがアドバンテージ

先にも述べましたが、Pixel 4aは、Pixel 4の目玉機能である「Motion Sense」に対応していません。「Soliレーダー」という高精度のセンサーによって、画面に触れずに音声をミュートしたり、再生楽曲をスキップさせたりできる機能ですが、なくても困らない機能とも言えます。Pixel 4aは、むしろ目立った独自機能がなく、潔いほどシンプルなことが特徴と言えるでしょう。

 

Google純正モデルなので、Googleアプリケーションとの相性が良いことも利点。進化を続ける「Googleアシスタント」は最新のバージョンが使えて、プリインストールされた「レコーダー」アプリでは、英語の自動書き起こしを利用できます。

 

↑英語の音声を録音する際に、同時にテキスト化して記録することが可能。再生時には再生位置が表示される。将来的には日本語にも対応する予定だ

 

CPUは、Snapdragon 730Gで、ミドルハイ向けのチップです。筆者がよく使うベンチマークアプリがPixel 4aにはインストールできなかったので、他のモデルと数値で比較することはできませんでしたが、より高性能なチップを搭載するPixel 4と比べても、使用感に大きな差は感じません。Snapdragon 730Gは、ゲームなどにも適したチップと聞いているので、ヘヴィユーザーでも心配しなくてよさそうです。

 

バッテリー容量はPixel 4よりも多い3140mAh。最近のスマホの中では、さほど多いとは言えない容量ですが、「自動調整バッテリー」機能によって、効率よく電池を使えることが特徴。筆者が実際に使った印象では、1日は持つが、長時間動画を見たり、ゲームをしたりするなら、モバイルバッテリーを持ち歩くべきかも……と感じました。

 

↑電池周りの機能は、Android標準のものだけ。Androidに最適化されている端末なので、「自動調整バッテリー」が有効に機能することを期待できる

 

日本向けモデルの仕様として、FeliCaを搭載していることも特筆すべきポイントでしょう。多くの人が使っている「おサイフケータイ」に加えて、登録が簡単な「Google Pay」も使えます。SIMフリーで、なおかつFeliCaも使いたい人には有力な選択肢となるでしょう。

 

↑おサイフケータイは「モバイルPASMO」にも対応。「Suica」や「nanaco」は、おサイフケータイでもGoogle Payでも使えるが、利用できる機能に差があるので注意が必要

 

これといった欠点は見当たらず、ほとんど褒めっぱなしのレビューになってしまいましたが、実際、非常に出来の良い端末です。Pixel 4の半額以下ですから、コスパも良いです。ですが、今年のSIMフリー市場は、「OPPO Reno3 A」やシャオミの「Redmi Note 9S」など、高性能で安いモデルが多いんですよね。持ちやすさを重視する人には「iPhone SE」もあります。購入を決める前に迷うことは避けられないでしょう。

 

【フォトギャラリーを見る】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSでは表示できません。