デジタル
2020/8/26 7:00

【西田宗千佳連載】「新型コロナ」でテレビが好調、その舞台裏とは

Vol.94-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、テレビ市場。コロナ禍のなかで販売好調を記録しているテレビ─その背景に存在する理由はなにか?

 

新型コロナウイルスの影響下では、売れる家電と売れない家電がはっきりと分かれた。そこで、「売れる家電」として強さを見せているのが「テレビ」だ。
JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業会)が毎月公表している「民生用電子機器国内出荷統計」のうち、テレビの出荷台数推移を見ると、今年の7月までの販売数量は、すでに去年の年末商戦に迫る勢いを見せている。テレビは例年、年末商戦期に圧倒的に売れる。昔は夏のボーナスと年末のボーナスで2回のピークがあったのだが、いまはそれがひとつになっている。その「毎年のピーク」に匹敵する勢いが4月から6月にかけて、生じていたようなのだ。

 

なぜそうなったのか? 理由としては、いわゆる「巣ごもり需要」の拡大がある。この時期はテレビの視聴率もアップ。ビデオリサーチが6月に発表した調査によれば、特に「10代男女、20代から40代の男性」のテレビ視聴量が、前年比で30%から50%も増加していた。これらの世代は普段は家にいない時間が多い。だから、「家にいなければならない」状況になったことで、そのぶん視聴率が上がったのだ。となると、「せっかくだから良いテレビを」という話も出てくる。

東芝 レグザ 55Z740X/実売価格20万円

 

ここにはもちろん、別の要因も絡んでいる。テレビは一般的に、10年くらいで買い替えられる。IT機器などよりサイクルが長く、ブラウン管より壊れにくい液晶が主流の時代になってからは、さらに長期化傾向にある。とはいえ、10年も経てば機能は古くなってくるし、汚れもする。日本の場合、多くの人がテレビを「2011年」の地デジ移行のタイミングで買い替えた。あれから約10年が経ち、新機種を求める人が増えることが予想されていた時期だったのだ。

 

本来テレビメーカーはそこで「オリンピック」がひとつの契機になると考えていた。オリンピックを見たくてテレビを買い替える人は少ないかもしれないが、「買い替え時期にテレビの話題が増える」ことで買い替えが促進されるのではないかと期待したわけだ。結局、今年のオリンピックはなくなったが、そこへ代わりに「巣ごもり」という大きな需要の波が来たといえる。

 

さらにこの流れを後押したのが「定額給付金」だ。本来、新型コロナウイルスの影響で厳しくなった生活を支えるための給付ではあるが、すべての家庭が苦しくなったわけではない。1人10万円、家族ぶんをまとめるとかなりの額が入ってくるので、「これを機に長く使う家財道具を買い替えよう」という動きも生まれた。家電のなかで、特にこの追い風を受けたのが「電子レンジ・オーブン」と「テレビ」だ。先ほども述べたように、テレビは社会的に買い替え需要が増大するタイミングが来ていたこともあり、「定額給付金を使えば、いまどきの良いテレビが買える」と判断をした人が多いようだ。

 

前出のJEITAの統計では、特に「4Kテレビ」の販売比率増加の顕著さが目立った。4Kテレビが多いということは、それだけ高価でサイズの大きい、リビング向けのテレビの買い替えが進んだ証でもある。手ごろな価格になってきた55V型・65 V型のテレビが売れたのだ。

 

では、どのような製品が特に売れているのか? 今年のオススメはどのジャンルか? それらはウェブ版で解説していく。

 

 

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