デジタル
2020/11/29 11:45

動画クリエイター・ジェットダイスケが語る、動画制作の正しい心構え

ジェットダイスケさんはシーンの黎明期から製品レビューの配信者として活躍し、今日では圧倒的な視聴者数を誇る。そんな氏に、いまや普通名詞となった編集手法「ジェットカット」の誕生秘話や、制作の流儀について聞いた。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

Profile

ジェットダイスケ

ウェブ制作の業務を通じて1996年から動画編集に取り組む“日本で最初の動画レビュアー”。現在は写真に傾倒し、撮影機材やデジタルガジェットを中心にレビュー配信を行う。

 

信頼性を損なうとメディアとしては運営継続できない

YouTube誕生の前から動画編集に熱中

──ジェットダイスケさんが動画編集を始めたのはいつごろですか?

 

ジェットダイスケ 80年代終盤、ノンリニア編集(※1)が普及するずっと前に、リニア編集をやりはじめました。90年代に、Macを使ったノンリニア編集に移行しています。

 

──では、現在はどんな機材やソフトを使用されているのでしょう?

 

ジェットダイスケ 編集には、仕事場所に縛られたくないので15インチのMacBook Proを使ってます。出張先のホテルでも短い尺なら4K編集もできますから。それで、編集ソフトは「Premiere Pro CC」ですね。Premiereとは二十数年の付き合いで、基本のルック&フィールを変えずに脈々と続いているところは、道具として安心できます。

 

──なるほど。では紹介する製品は、どんな基準で選んでいますか?

 

ジェットダイスケ あくまでも個人の興味を優先してますね。もちろん、巷で話題の製品と自分の興味が重なることは多々ありますが。自分は、耳目を集めること自体にはあまり関心がないんです。単に「ウケそう」というだけで動画を作っていると、継続するモチベーションが保てないと思います。

 

「ジェットカット」は当時のネット事情が生んだ

──ジェットカット(※2)ってどのように生まれたんでしょうか?

 

ジェットダイスケ あれは、まだネット動画が一般的でなかったころ、スキマ時間で視聴してもらえるように、尺をできるだけ短くする目的で始めたんです。ネットが遅かったので、転送容量を減らせるメリットもありました。実はああいったカット手法は、当時はあまり好ましくないとされたんです。でも、ブラッシュアップしながら続けていると次第に他メディアでも多用されだして……。現在ではAIが無音の間を詰める(※3)技術まで登場しています。最近ではハリウッドの現場でも用語として出てきたらしくて、もはや映像技法や文化のひとつとして定着したというふうに捉えています。

 

小難しい知識やロジックより『共感度』の高さに目を向けよう

動画を作成するときに気をつけていること

──いつも動画のタイトルはどのように付けているんでしょうか?

 

ジェットダイスケ それはやはり、中身が想像しやすいことが大切です。あと、内容との乖離がなるべくないように心がけています。この方法では、注目を引くことだけに注力したタイトルにかなわないかもしれません。しかし信頼性を損なうと、メディアとしての運営継続が困難になってしまうと思います。

 

──確かに。ほかに動画作成時に配慮していることはありますか?

 

ジェットダイスケ 動画編集は、文章を吟味して編集することと同等だと考えていますね。基本的に加筆のない、収録内容からの引き算です。派手なエフェクトや過度のテロップなどを入れることもあるかも知れませんが、それは結局はオマケです。

 

──では、「バズる動画」を生むために必要なことはなんでしょうか?

 

ジェットダイスケ 正直なところ、自分には「バズという目的」がないので、考えたことはないんですよね。ただ、バズっているコンテンツは「共感度」が高い傾向があります。小難しい知識やロジックよりも、もっと単純明快にプリミティブな部分で「いいね」したくなるもの=万人が共通して持っている感覚に目を向けてみると良いと思いますよ。

 

 

※1:ノンリニア編集

映像を、テープからテープへとダビングしながら制作する「リニア編集」と異なり、PC上などでカット・コピー・ペーストを駆使して行う制作方法のこと。映像のデジタル化によって可能になった。

 

※2:ジェットカット

言葉や動作の合間など、動画の意図的に不要な部分を最大限にカットする編集手法。必要な情報をより短時間で伝えることができ、動画のテンポも良くなる。

 

※3:AIが無音の間を詰める

動画編集ソフトの機能の1つ。「○秒以上の無音」のように指定すると、該当する無音シーンを自動的にカットしてくれる。いわば「自動ジェットカット」機能。