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2021/2/15 18:00

世界のミュージシャンも愛用! PCやiPhoneでも使えるBlueの高音質USBマイク「Yeti X」をレビュー

レディー・ガガ、スティング、エルトン・ジョンにデヴィッド・ボウイなど名だたる世界のミュージシャンもレコーディングに愛用したことがあるというアメリカのマイクロフォン専業ブランドBlue Microphonesから、ノートPCによるオンライン会議などにも活用できるUSBマイクのフラグシップモデル「Yeti X(イエティ・エックス)」が発売されます。PCだけでなく、iPhone/iPadの通話音声品質を手軽に強化できるUSBマイクの実力をレポートしたいと思います。

↑Blue Microphonesの高音質USBマイクのフラグシップモデル「Yeti X」

 

新型コロナウィルス感染症の影響が長引くなか、自宅にいながらオンライン会議に参加できる環境を整えてきた方も多いと思います。ビデオの有無にかかわらず、通話音声が聞き取りづらいと長時間に渡るオンライン会議は窮屈に感じられるもの。マイクをよりグレードの高いものに変えて、音声の品質向上を図るだけでオンライン通話の負担は大幅に軽減されます。通話相手に与える印象も良くなることうけあいですよ。

 

PCやスマホ、タブレットに外付けできるマイクにも様々なものがあります。アメリカで1995年にミュージシャンとレコーディングエンジニアが設立したBlue Microphonesは、クリエイターが手がける高音質なマイクとして瞬く間に名を馳せてきました。2018年にロジテック・インターナショナルのグループ傘下に加わってから、同社の製品はますますPCやモバイル端末との親和性を高めています。筆者が愛用するUSBマイクの「Yeti」も、PCアプリによる設定操作に対応していたり、iPhoneやiPadにつないで利用可能です。

 

フラグシップモデルの「Yeti X」が日本上陸

新製品のYeti Xはコンデンサー方式を採用するUSBマイクです。価格はオープンですが、想定される売価は2万4860円前後。対応するシステム要件はWindows 7/8.1/10、macOSは10.10以降で、PCのUSB端子は1.1/2.0/3.0に接続できます。

 

コンデンサー方式の特徴はアーティストがライブパフォーマンスなどに使用するダイナミック方式のマイクに比べて感度が高く、繊細な音を記録できるところにあるといわれます。反面、振動や気候の変化に弱いところもあるため、どちらかといえばレコーディングスタジオに据え置いて使われることの方が多いようです。

↑USBケーブルを接続するためのmicroUSB端子と3.5mmヘッドホン出力を搭載

 

Yeti Xは本体に搭載する4つのコンデンサー方式のマイクカプセルにより、使用用途に合わせた4つのピックアップパターンを切り換えながら高品位な録音ができるマイクです。Yetiは3つのカプセルを搭載していましたが、カプセルが1つ増えたことによってまるで静寂の空気感も伝えられるほどサウンドの透明度が増しています。

↑背面にピックアップパターンをスイッチするためのボタンを搭載しています

 

Yeti Xが対応する4つのピックアップパターンを紹介します。

・単一指向性モード:マイク正面の話者の声を集中的にピックアップ
・ステレオモード:歌や楽器の演奏に最適な音楽録音用
・無指向性モード:マイクの周囲全方向からピックアップ
・双指向性モード:マイクの前後にいる話者の声をピックアップ

↑PCアプリケーションの「Logicool G Hub」からピックアップパターンの変更も可能

 

話者が1人で参加するオンライン会議等の場合は「単一指向性モード」がおすすめ。話し手側に家族やオフィスの同僚など複数人がいるビデオ通話であれば「無指向性モード」を選んでもよいかもしれません。双指向性モードは対面インタビューなどに最適です。

 

音質やLED色のカスタマイズが楽しい!

筆者はMacユーザーなので、今回はYeti XをApple M1チップを搭載する最新のMacBook Airに接続して試しています。OSのバージョンも最新のmacOS 11.2.1です。

↑Apple M1チップを搭載するMacBook Air、macOS 11.2にYeti Xを接続

 

Yeti Xのマイク本体への電源供給はMacに接続したUSBケーブルで行うため、別途電源アダプター等の接続は不要。USBケーブルをつないだらMacの場合は「システム環境設定」に入り、続いて「サウンド」の設定からYeti Xを入力デバイスに選びます。音声出力デバイスもYeti Xに設定すると、マイクの底面に搭載されている3.5mmヘッドホン端子にヘッドホン・イヤホンを接続して、自分の声がミックスされた会話の音声が聴けます。

 

Yeti Xのマイク/ヘッドホン端子の音量、4つのピックアップパターンは本体のボタンですべての操作がまかなえます。これに加えてPCに「Logicool G Hub」アプリケーション(Mac/Windows対応)をインストールすると、マイクの音質や各スイッチにあるインジケーターLEDの発光色などを細かくカスタマイゼーションして楽しめます。

↑Yeti Xのカスタマイゼーションが楽しめる「Logicool G Hub」アプリケーション

 

アプリケーションには自分の声をサンプルとして録音して、どのように相手に聞こえるかプレビューしながら音質を微調整できる機能があります。例えばファン音やロードノイズなど持続的に響く環境音を除去するための「ノイズリダクション」、“ささやき声”を集音しやすくする「ディエッサー」などの値を調整すると、マイクを設置する環境に使う場面に合わせた最適化が簡単にできます。

↑マイクの音質を好みに合わせて細かくチューニングできます

 

アプリケーションにはBlue Microphonesが開発した「Blue VO!CE」機能があります。これを有効にすると複数のプリセットが用意されているフィルターをかけて好みの音質を選べるほか、それぞれのフィルターをベースにユーザーカスタムの設定を保存して、新しいプリセットとして繰り返し使用可能。マイクの音に広がりを付けたり、あえてAMラジオっぽい聞こえ方にしてくれるフィルターなどもあり、色々と試すだけでも楽しめます。また、Yeti Xのユーザーが作成したフィルターをアプリケーション経由で共有できる機能もあります。

 

本体フロント側のメーターリング、リア側のピックアップパターンの選択ボタンのインジケーターLEDは、「ライト」の設定からカラーチャートを見て細かく選ぶことができます。筆者も小一時間ほど設定にはまってしまいました。

↑インジケーターLEDの発光パターンの設定も可能

 

iPhone/iPadでも使える

Yeti XはiPhone/iPadにも接続ができるUSBマイクです。iPad Proには元からスタジオ品質の録音ができる高音質マイクが内蔵されていたりもしますが、例えばエントリーモデルの無印iPadやiPhone SEのマイク音声のグレードアップを手軽に試したい時や、先に紹介した「ピックアップパターン」を活用して複数人数の声を拾って相手に届けたい場面でYeti Xが活躍します。

↑iPhoneはアダプターを介してUSBケーブルにつなぐだけ

 

例えばiPhone 12に接続して使う場合は、Yeti Xとの間にUSBケーブルのほか、アップル純正の変換アダプタを介してつなぎます。Lightning端子を搭載するiPhoneやiPad、iPad miniの場合は「Lightning – USBカメラアダプター」、第四世代のiPad Airや最新のiPad Proなら「USB-C – USBアダプター」が対応しています。サードパーティの変換アダプタにも使えるものがありそうですが、筆者が持っているもので試したところ正しく動作しない製品がありました。万全を期すのであればアップル純正品がおすすめです。

 

iPhone/iPadにアダプタを介してYeti Xをつなぐ場合、Macと違ってシステム環境設定をいじる必要もありません。3.5mmヘッドホン端子からのモニタリングもできそうですが、アプリによっては通話相手の音声がiPhoneの内蔵マイクのみから聞こえてくるものがあったので、PCに比べるとiPhone/iPad対応は「裏技」的なものなのかもしれません。モバイル向けのG HUBアプリケーションもいまのところないので、細かなマイク設定もできません。メーカーの公式対応が待ち遠しい限りです。

 

エントリーモデルの「Snowball」も発売

今回Blue MicrophonesからはUSBマイクの新しいエントリーモデル「Snowball」が同時に発売されます。こちらの製品も価格はオープンですが、想定される売価は9900円前後とかなりお手頃です。

↑USBマイクのエントリーモデル「Snowball」

 

搭載されるコンデンサー方式のマイクカプセルが2個、ピックアップパターンが単一指向性モード/無指向性モードの2択に限られ、ヘッドホンモニター出力はありません。G HUBアプリケーションにも非対応。iPhone/iPadとの接続はできました。Yeti Xに比べるとサウンドの解像度やダイナミックレンジは少し落ちる感じはやはりあるものの、人の声は立体的で力強く実用性に富んでいます。

 

上位のYeti Xはオンライン会議や楽器の演奏、ナレーションの収録から、YouTubeやゲーム実況のライブストリーミングの音声をグレードアップしたい方に幅広くおすすめできる安定のフラグシップモデルです。取り急ぎPCによるオンライン会議の音質向上を手頃な価格の高音質USBマイクで試してみたいという方は、Snowballから入ってみるのもアリでしょう。

 

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