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2021/7/13 20:00

マウスの最安ゲーミングノートPC「G-Tune P5-H」で、PCゲームはどこまで楽しめるのか

 

ここ数年、PCゲーム市場の拡大やeスポーツの盛り上がりによって、国内でもゲーミングPCの認知度が高まっています。一般的なゲーム機に比べて遊べるゲームタイトルの幅が広い、環境によってはゲーム機以上になめらかな映像や精細な画質で遊べるといったメリットがあるわけですが、購入にあたってちょっとしたハードルもあります。それは、「どんなゲーミングPCを買えばいいかわかりにくい」という問題です。

 

ゲーム専用のハードウェアと異なり、ゲーミングPCは搭載するCPUやGPUなどのパーツによって性能が大きく変わってきます。選んだPCのスペックや画質設定によってはゲームを快適に遊べるかどうかが変わってくるため、そもそもPCを選ぶために、ある程度の知識が求められてくるわけです。さらに価格もピンキリなので、どれぐらいの価格・性能のPCを買うべきなのか、悩んでしまう人も多いと思います。

 

では実際のところ、安価なゲーミングPCでは満足にゲームを楽しめないのでしょうか? そんな疑問に答えるため、この記事では「メーカーの一番安価なゲーミングPCでPCゲームはどれぐらいプレイできるか」を検証してみようと思います。用意したのは、マウスコンピューターのゲーミングブランド「G-Tune」のノートPCラインアップで現行最安モデル「G-Tune P5-H」です。

 

最安モデルながら総合性能はそれなりに高い

↑G-Tune P5-H。直販価格は15万9280円(税込)

 

まずはG-Tune P5-Hについて簡単に確認していきましょう。マウスコンピューターのゲーミングブランドであるG-Tuneは、デスクトップPCタイプも含め、実に豊富なラインアップを誇ります。その中でG-Tune P5-Hは、従来モデル「G-Tune P5」に若干のスペックアップを加えたモデルで、現行のゲーミングノートPCラインアップでは最も安価な製品という位置付けです。直販価格は15万9280円(税込)。一般的なノートPCと比べれば安くはないですが、PCゲーム向けとしては安価と言えます。

 

↑ゲーミングPCの要とも言えるGPUは「GeForce GTX 1650 Ti」を搭載。エントリー向けで、フルHD(1920×1080ドット)解像度のゲーム描画をターゲットにしています

 

最安モデルとは言え、ゲーミングPCだけあって総合性能はそれなりに高めです。CPUはインテルの6コア/12スレッドモデル「Core i7-10750H」。最新世代よりも1世代古いモデルですが、エントリーやミドルクラスのゲーミングPCで採用例が多い高性能CPUです。グラフィックスの処理を司るGPUは、NVIDIAの「GeForce GTX 1650 Ti」を採用。こちらは純然たるエントリー向けのモデルですが、近年はノートPC向けGPU全体の性能向上が著しく、フルHD解像度でのゲーム描画であれば決して悪い選択肢ではありません。

 

そのほか、メモリー容量は16GB、ストレージは512GB SSDと、この価格帯のゲーミングノートPCとしては一般的なスペックを採用しています。ディスプレイは15.6型のフルHDパネルのほか、本体重量は2.01kgと、同クラスの製品の中では比較的軽量ですが、大きいので持ち運びにはそれほど向きません。総じて、自室やリビングに据え置きでゲームをプレイするための、ごくスタンダードなゲーミングノートPCといった印象です。

 

検証1:描画負荷の軽いゲームでは文句のない性能を発揮

では、G-Tune P5-Hの性能をいくつかのベンチマークで計測してみましょう。こういった計測において重要視されるのが、ゲームの「フレームレート」と呼ばれる指標です。ざっくり言えば、1秒間に描画されるゲーム画面のコマ数のことで、単位は「fps(frame per second)」で表します。PCゲームの場合、ゲームの描画にかかる負荷状況とPCの性能によってこのフレームレートが変動するため、fpsが高い=なめらかな画面描画でさまざまなゲームをプレイできる高性能なPC、というわけです。一般的なPC向けディスプレイは1秒間に60回の画面更新を行うため、おおむね60fps(1秒間に60コマ)前後のフレームレートが出ていれば、見た目にカクつき感のない快適な描画ができているとされます。

 

今回は、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」、「Apex Legends」、「Horizon Zero Dawn」、「Cyberpunk 2077」といった人気のタイトルでパフォーマンスを確認してみました。まずは、比較的ゲーム自体の描画負荷が軽い「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の専用ベンチマークソフトの結果を見てみましょう。

 

↑「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」。フルHD・最高品質の設定でも「非常に快適」の判定を獲得しています

 

このベンチマークソフトでは総合スコアと快適さの指標が表示されますが、スコアは見事10,000を超え、最高判定の「非常に快適」を獲得できています。「レポート出力」からは実際のフレームレートも確認できるのですが、平均フレームレートは72fpsで、しっかりと60fps超えを果たせていることも確認できました。本作のようなオンラインゲームをとりあえず遊びたいのであれば、G-Tune P5-Hは文句のない性能を持っていると言えそうです。

 

ちなみに先述の通り、PCゲームの場合はPCの性能によってゲームのパフォーマンスが左右されるため、このように「実際にどの程度快適にゲームを遊べるか」を計測してくれるベンチマークソフトや、ゲーム自体にベンチマークモードが搭載されることも珍しくありません。

 

検証2:人気の「Apex Legends」は最高画質設定でもプレイ可能

↑「Apex Legends」のフルHD・最高画質でのフレームレート

 

続いて、人気のシューター系オンラインタイトルである「Apex Legends」の結果も見てみましょう。こちらはベンチマークソフトやベンチマークモードが存在しないため、オプションから解像度をフルHDに、さらに画質設定がもっとも高くなるよう設定し、ゲーム内の一定コースを移動する際の60秒間のフレームレートを計測ソフト「FrameView」で計測しています。

 

結果は平均フレームレートが76.2fps、最小フレームレートが62.0fps。シューター系のゲームとしては、プレイ可能と言っていい値です。友だちとの付き合いでプレイするくらい、もしくはフレームレートを気にせず一人で幅広いジャンルのゲームをプレイするくらいなど、いずれもフレームレートにそこまでこだわりがないのであればまったく問題なくプレイできるでしょう。

 

検証3:描画負荷が高めなタイトルは60fpsを切るものの、プレイ自体はまったく問題なし

↑「Horizon Zero Dawn」、フルHD・画質「デフォルト」でのベンチマーク結果

 

↑「Horizon Zero Dawn」、フルHD・画質「最高画質」でのベンチマーク結果

 

続いて「Horizon Zero Dawn」は、ゲーム内ベンチマークモードでフレームレートを計測しました。画質設定はゲーム開始時点の設定である「デフォルト」と、よりリッチな「最高画質」の2パターンを試しています。結果は「デフォルト」設定時が平均56fps、「最高画質」設定時が平均40fpsと、どちらも目安となる60fpsには届いていません。本作はオープンワールドを舞台にした、比較的描画負荷の高いタイトルであるため、先の2タイトルと比べればフレームレートはどうしても落ちてしまいます。

 

とはいえ、負荷が高まる場面で処理落ちによる若干のカクつきが見られるものの、基本的にはなめらかで自然な描画ができており、プレイ自体にはまったく問題がありません。「デフォルト」画質では60fpsに近い数字を出せていることもあり、画質設定を好みで調整すれば、ほとんど快適にプレイ可能な水準でしょう。PlayStation 4屈指の名作タイトルをPCでもプレイしてみたい、というニーズは満たせるはずです。

 

検証4:描画負荷の高いタイトルは高画質で楽しむのは難しい

↑「Cyberpunk 2077」の画質設定「中」と「低」でのフレームレート

 

最後に、現時点で屈指のヘビー級タイトルである「Cyberpunk 2077」の結果を見てみます。本作もベンチマークモードはないので、ゲーム内の一定コースを移動する際の60秒間のフレームレートを計測ソフト・FrameViewで計測しました。

 

見ての通り、画質「中」設定では平均フレームレートは33fps前後、最低プリセットである「低」設定でも平均44fpsと、「Horizon Zero Dawn」よりもさらにフレームレートが低下しています。さらに上の画質設定としては「高」や「ウルトラ」が用意されているものの、平均フレームレートが30fpsを切ってしまうため、現実的な選択肢ではないでしょう。

 

「中」や「低」画質ではPC版らしい画質面でのメリットは享受しにくいうえに、場面によってカクつきが気になるところもありますが、プレイ自体は可能です。少なくとも、ゲームを進行できないほど負荷が重くなるところはないでしょう。画質にこだわらないのであれば、十分な選択肢と言えます。

 

結論:画質にこだわらなければ最安モデルの選択は十分アリ

いくつかのタイトルでパフォーマンスを見てきましたが、G-Tune P5-Hでも結構快適にゲームをプレイできます。もちろん、性能に余裕があるに越したことはないのですが、上を見ればきりがないのも事実。より高性能なゲーミングPCであれば、144fps超えの極めてなめらかな画面描画、WQHD(2560×1440ドット)や4K(3840×2160ドット)といった高解像度で映像美を堪能することなども可能になってくるものの、当然価格も上がります。

 

そういったビジュアルの強化に強いこだわりがないのであれば、エントリーゲーミングPCでもPCゲームは楽しめると言っていいでしょう。

 

繰り返しになりますが、近年はゲーミングノートPC全体が目覚ましい性能向上を見せているため、予算次第ではエントリークラスの製品でPCゲームデビューするのも悪い選択肢ではありません。予算の限られる学生ゲーマー、ある程度しっかりした性能のPCが必要で、ついでにゲームも遊びたいといった社会人ゲーマーは、こういった比較的安価なゲーミングノートPCの購入を検討してみるのもいいかもしれません。

 

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