デジタル
2022/3/31 18:45

ロボット番犬、自分にしか聴こえないスピーカーなど“未来感”満載の展示会に行ってきた

国税庁の調査によれば、2021年4〜9月期に創業された会社は6万6000件以上。前年同期比で34.6%の増加となったこの数字は、コロナ禍という激動の時代の裏で多くのスタートアップ企業が誕生している事実を示しています。今回は、真新しいモノ・コトを創り出すべく奮闘するスタートアップ企業が集まった展示会「JAPAN INNOVATION DAY 2022」を取材。多彩な出展物・サービスのなかから、筆者が心惹かれたものをピックアップ、独断と偏見によるランキングにして紹介します。

 

【3位】まるでホライゾンの機械獣! データセンターの案内や監視を担当する人&犬型ロボット

今回の展示会に出店していた企業のなかで、唯一「大手」といえる存在がNTTコミュニケーションズです。同社は、データセンターで人の案内や監視をするロボットを展示しました。

↑人型ロボットは、棚から物をとるなどの動作が可能なアームを装備しています。操作者の腕の動きと同期して、腕を動かす、物を掴む、などの動作をします

 

人型ロボットの顔の部分にはスマートフォンが入っています。このスマートフォンで顔認証をすると、ロボットのロックを解除できる仕組みです。

↑背中にカメラを背負った犬型ロボットの顔には、4つの”目”があり、外見のインパクトが強烈。キビキビした動きとあわせて、いま話題のゲーム「ホライゾン」シリーズに登場する機械獣を連想させます

 

一方、監視を担当するのが犬型のロボットです。背中にはカメラを背負っており、鮮明な映像をリアルタイム、低遅延で操作者に送っています。リモコンのレバーを少し傾けただけでもかなり素早く動くので、操作にはコツが要りますが、プログラミングをすれば自動で決められたルートを巡って監視をすることも可能。外見・動作に独特の威圧感があり、吠えることはなくとも、番犬としての役割を十分にこなしてくれそうです。

 

【2位】どうしようもない不満を小銭に変える「不満買取センター」

生活をしているうえでたまっていくあらゆる不満を買い取るアプリ「不満買取センター」。テレビなどでも取り上げられたこのアプリに生活上の不満を書き込むと、その声に価格がつき、買い取ってもらえます。

↑不満買取センターに投稿できる不満のジャンルに制限はありませんが、内容によって買取価格が異なり、具体的なものほど高値がつきやすいそうです。不満1つあたりの価格は最大10円で、1日の投稿上限は10回となっています

 

不満買取センターを運営するAIベンチャー企業・インサイドテックでは、買い取った不満をもとに企業が商品開発などに活かせるビッグデータを生成、販売するサービスを行なっています。もしかすると、あなたの不満の声から新たな製品が誕生するかもしれません。

↑インサイドテックの企業向けサービスideAI。膨大なテキストデータをAIが解析し、”アイデアの種”として使いやすい形にして、企業へ提供します

 

日々生活をしていて、どこにぶつけても解決しない不満を抱くことは多々あります。そんなとき、不満買取センターに投稿して小銭をもらいつつ、自分の不満を解決してくれるような製品が生まれることに期待するというのは、建設的な選択肢となりそうです。

 

【1位】これは魔法!? 一方向にだけ音を送るスピーカー

展示会場で出会ったモノのうち、筆者が最も欲しくなったのがこれ。AFURが手がけるParso(パーソ)は、特定の一方向にのみ音を送る”指向性スピーカー”です。

↑肩からかけて使用している様子。スピーカーの上部が向いている方向にだけ音が出るので、使用者にのみ音が聞こえています。音漏れはほぼなく、この状態で横に立っても無音でした。なお、展示会場内は周囲から雑音が飛び交う環境でしたが、スピーカーを向けてさえいれば十分聞こえるだけの音量がありました

 

魔法のような仕組みの秘密は、スピーカー内部に仕込まれた超音波素子。この素子は、直進性の強い40kHzの超音波を出しています。AFURでは、この超音波に人の耳にも聞こえる音を乗せる技術を開発したことで、一方向にだけ音を送る指向性スピーカーを実現しました。

↑スピーカー上部の網目の下に見えるのが超音波素子。この素子が上下2層になっています

 

本品の何よりの魅力は、耳が完全フリーになること。メーカーでは、首からかけての利用のほか、自転車のハンドルに取り付けてサイクリングしながら音を楽しむ、音のプライバシーを確保しながらオンラインミーティングをする、といったシーンでの利用を想定しています。量産が可能になる5月ごろから、クラウドファンディングを通して発売される予定です。

※写真に写っている製品はプロトタイプのため、製品版とはサイズが異なります

 

この記事で紹介した3つ以外にも、何もない空中に3D画像を表示させる装置や、面接での話し方をAIが解析・採点してくれる就活生向けアプリなど、先進的な製品・サービスが展示された「JAPAN INNOVATION DAY 2022」。未来に革新をもたらす存在がここから生まれるしれない、という期待を胸に抱かせてくれる、そんな展示会でした。