デジタル
2016/10/13 13:15

【西田宗千佳連載】解像度から「色」へ移る高画質化トレンド

「週刊GetNavi」Vol.47-3

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前回のVol.47-2にて、テレビの差別化要因として、「4Kであること」はもはや差別化ではなく当然のもの、と書いた。また、8Kを差別化策として主軸に置くテレビメーカーがないことも挙げた。

 

その理由は、「解像度の差が理解されるには、条件が必要」であるからだ。我々は映像を「ドットの集まり」として見ているのではない。目に入ってくる光として見ている。解像度とは、目に入ってくる光がどのくらい細かく解像できるか、ということである。テレビの解像度が高くても、テレビを離れたところから見てはわからない。特に4K以上の解像度では、視聴距離と解像感の関係が重要になる。テレビから50cmの距離で見るなら、40型・4Kのテレビと2Kのテレビの差は分かる。だが、1mだともう怪しくなってくる。55型のテレビでも、2m離れると厳しく、1.5mくらいが、解像感を楽しめる最適な距離と言われている。

 

では、8Kでは? もっと近づいてテレビを見るのはナンセンスになっていくし、離れて見るならより巨大なテレビが必要になる。巨大なテレビを置くには巨大な空間が必要で、それは「テレビにかけられるコスト」以上に余裕を必要とする。

 

家庭におけるテレビのサイズに限界がある以上、解像度の追求は難しい。4Kですら「差がわからない」という人が少なくない現状だ。

 

ではどうするか?

 

繰り返しになるが、我々は映像の「ドット」を見ているわけではない。解像度はひとつの指針ではあるが、同時に「色」も重要である。明るさや色合いの違いは、若干遠い位置からでもはっきりわかる。そこで差別化していくことは、解像度以上の変化を、視聴者に感じさせることができる。映像において「HDR対応」が注目されるのは、入力される映像の明るさの幅を変えることで、きらめく夏の日差しや暗がりの中にある微細な色などを再現することが可能になるからだ。HDRが4K以上に効果的、という声は、映像業界のみならずゲーム業界からも広く聞かれるようになってきた。

 

ここで重要になるのが「バックライト」と「それに合わせた映像の表示技術」だ。液晶を使ったテレビの場合、液晶とカラーフィルターを通ってきた、ディスプレイパネルの後ろにあるライトの光を見ていることになる。その際にスポイルされる光量と、色に発生する「濁り」が、映像が本来もっている色を再現するうえでは問題になっていた。そこで、液晶の透過率を上げ、バックライトをコントロールし、「元の映像の色に近い色」を出せるよう、液晶パネルの技術開発は進んできた。サムスンや中国系のメーカーは、液晶パネルの前面やバックライトの一部に「量子ドット」と呼ばれる効果を持つフィルムを貼り、バックライトから出る「白い色」をより自然なものにすることで、発色を改善し、テレビのクオリティを変えようとしている。

 

一方で、量子ドット技術を卒業し、さらに徹底した改善を加えてきたのが、ソニーが「BRAVIA Z9D」(写真)で採用してきた技術である。ソニーがどのようなアプローチで高画質化を果たしたかは、次回Vol47-4で解説したい。

 

●Vol.47-4は10月17日(月)ごろ公開予定です。

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