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2022/10/25 11:15

プロが教える「Google Pixel 7」の2つの魅力。iPhone 14を含めた検討で注意すべき点とは?

Googleが自社で設計する最新のGoogle Tensor G2チップを搭載した新しいスマートフォン「Google Pixel 7」シリーズを発売しました。今回は、国内で特に人気の高いスマホの最新モデル「iPhone 14」シリーズとの違いについても触れながら、Pixel 7シリーズの特徴を解説したいと思います。

↑Googleの新スマートフォン「Google Pixel 7」(左)と「Google Pixel 7 Pro」(右)

 

上位モデルGoogle Pixel 7 Proはカメラ機能が充実

筆者はふだん、スマホはiPhoneとGoogle Pixelの2台持ちで使っています。Googleが2021年秋に発売したGoogle Pixel 6シリーズも1年間メインのAndroidスマホにしてきました。そのなかで、最新のGoogle Pixel 7シリーズは大きく2つの点でGoogle Pixel 6シリーズよりも魅力的であると感じます。

 

ひとつはカメラと写真まわりのAI技術を活かした新機能がさらに充実したことです。そしてもうひとつは顔認証への対応。それぞれの使い勝手を紹介します。

 

まず、Google Pixel 7シリーズには6.3インチのGoogle Pixel 7と、6.7インチのGoogle Pixel 7 Proがあります。カメラ機能を重視するのであれば、名前にProが付く上位モデルを買うべきでしょう。なぜならProのトリプルレンズカメラは機能が充実しているからです。

↑トリプルレンズカメラを搭載するGoogle Pixel 7 Pro。高精細なズーム撮影、マクロ撮影が楽しめます

 

一例として、Google Pixel 7 Proの望遠カメラには、4800万画素クアッドベイヤー配列のセンサーが搭載されています。光学ズームは最大5倍。光学ズーム撮影による写真・動画の精細感も充実していますが、最大30倍のデジタルズームにも要注目です。ズームの倍率で比べるとiPhone 14 Proシリーズの約2倍。望遠カメラ性能に力を入れていることがうかがえます。

 

また、Google Pixel 7 Proではズーム撮影時に、高画素のセンサーでキャプチャーした画像データを“切り抜き”処理しているうえに、ソフトウェアによる超解像処理も施しています。この切り抜きと超解像処理により、遠くの被写体も高精細な写真に記録できるわけです。

 

さらに、ズーム撮影時には被写体をスムーズにフレーム内に納められるよう、画面の左上に少しズームを引いたガイド画面が表示。インターフェースも気が利いています。

↑この距離から最大30倍の高精細なデジタルズーム撮影が可能

 

↑ズーム撮影時には被写体を捉えやすいよう、画面の左上にガイドが表示されます

 

AIテクノロジーを活かした「ボケ補正」機能が楽しい

Google Pixel 7シリーズだけに搭載される「ボケ補正」もGoogleらしいAIの技術を活かした楽しい新機能です。Android標準の「フォト」アプリに読み込んだ写真データの“ピンボケ”やノイズをソフトウェア処理によって補正します。つまり、ほかのデジカメやスマホで撮影した写真データも読み込めば補正可能なわけです。

 

フォトアプリで補正したい写真を開き、「ツール」から「ボケ補正」を選択します。補正レベルは0〜100まで1ステップごとに強弱の微調整が可能。100まで上げてしまうと被写体周辺のノイズまで目立ってしまう場合があるので、適切なレベルを丁寧に探りながら修正するといいでしょう。

 

筆者も過去に撮影した決定的瞬間を捉えた写真が少しピンボケしていたので、Google Pixel 7で直してみました。鮮鋭度が向上したことがわかるでしょうか。

↑左が補正前、右が補正後の写真。犬の舌や床の模様の精細感がアップしています

 

ボケ補正は、過去に家族や友だちと撮った大切な記念写真、旅行のスナップなど、できる限りピンボケを直したいときに役立ちます。ただ、いくらGoogleのAI技術が優れていたとしても元のピンボケやノイズの多さによっては補正しきれない場合もままあります。

 

Google Pixel 7シリーズを買ったとしても、急いでカメラのシャッターをきる前に必ずピントや露出を合わせるクセを付けるべきでしょう。

 

このほかにも写真によるクリエイティビティを高めてくれる写真に写りこんだ人や物を消す「消しゴムマジック」や、長時間露光撮影が可能な「モーションモード」はGoogle Pixel 6シリーズから受け継がれています。ビデオはHDR撮影や、背景のボケ味を加える「シネマティックぼかし」にも新たに対応しました。

 

顔認証と指紋認証にダブル対応

Google Pixel 7シリーズのもうひとつ魅力的なところは顔認証と指紋認証によるダブルの画面ロック解除に対応したことです。

 

フロントカメラによる顔認証は、Google Pixel 7シリーズがスリープ状態から解除されていれば、フロントカメラに顔を向けるだけで瞬時にロックを解除します。

↑顔認証機能を有効にすると、ロック解除時にフロントカメラを注目するようにガイドが表示されます

 

iPhoneのようにマスクを着けたままでの顔認証には対応しませんが、Google Pixel 6シリーズも搭載するディスプレイ埋め込みタイプの指紋認証センサーを併用できるので問題なし。アレルギー持ちの筆者は、これから冬・春と屋外でマスクを着けて過ごすことも多くあるので、Google Pixel 7シリーズの新しい仕様を歓迎しています。

 

1年前に発売のモデルでも、Google Pixelシリーズ内で買い替えはあり

ひとつ前のモデルにあたる、Google Pixel 6 Proからの買い換えはアリなのでしょうか。

 

先述した通りGoogle Pixel 7 Proのカメラは進化していますが、Google Pixel 6 Proの方もデジタル超解像ズームでいえば20倍対応です。

 

また、夜景モードによる暗い場所での撮影は、Google Pixel 7シリーズの方がシャッターをきってからの処理速度が最大2倍に向上していますが、撮れる写真に圧倒的な出来映えの差はないように感じます。これはGoogle Pixel 6 Proに搭載の初代Google Tensorチップの完成度が十分に高いことの証左でもあります。

 

結論を言えば、Google Pixel 6 Proからの買い換えは無理にしなくても良いと筆者は思います。

↑左がGoogle Pixel 6 Pro、右がGoogle Pixel 7 Pro。サイズやデザインはあまり大きく変わっていません

 

一方、2021年夏に発売されたGoogle Pixel 5a (5G)よりも前の世代のGoogle Pixelシリーズについては、この機会にGoogle Pixel 7シリーズに買い換えることを検討して良いと思います。

 

たとえば、Google Tensorチップが載っていないGoogle Pixelシリーズでも、特徴的な機能としておなじみの「レコーダー」アプリによる音声文字起こしは使えます。またFeature Drop(Google Pixelシリーズ向けのソフトウェアアップデート)による新機能や改善された機能の提供は数か月ごとに実施されるので、古いモデルでも物足りなさは感じないかもしれません。

 

ただ、AIを活用するカメラや音声を含む言語処理の機能は今後もますます進化を続けます。Googleは年内に、Google Pixelシリーズだけが搭載する「レコーダー」アプリに“話者認識”をしながらテキストを文字に起こせる機能を追加することを明らかにしています。

 

現在のレコーダーアプリの機能については、Google TensorチップありなしのGoogle Pixelシリーズの間で使い勝手に大きな違いはないと感じましたが、今後はAI関連の機能が高度化すれば、最新のGoogle Tensor G2チップを搭載するGoogle Pixel 7シリーズの方がより快適に感じられるかもしれません。

↑左がGoogle Pixel 7、右が2020年に発売されたGoogle Pixel 4a(5G)。デザインで見ても、古いモデルの方がやや味気ないので、今こそGoogle Pixel 7シリーズに買い換えるべきかもしれません

 

Phone 14シリーズ含めて購入を検討する際の注意点

アップルの最新スマホであるiPhone 14シリーズを含めて、購入を検討するなら注意点はどこにあるでしょうか。

 

Google Pixel 7とGoogle Pixel 7 Pro、それぞれのライバルがiPhone 14、iPhone 14 Proであると仮定した場合、まずGoogle Pixel 7シリーズの強みは価格がひと回りほど手頃なことです。

 

GoogleストアではGoogle Pixel 7が8万2500円(税込)から、Google Pixel 7 Proが12万4300円(税込)からという価格で販売されています。iPhone 14シリーズは同じ128GBのストレージを選択した場合でも、iPhone 14が11万9800円(税込)から、iPhone 14 Proは14万9800円(税込)からと、それぞれPixelシリーズと比べた場合に価格差は小さくありません。

 

ただ、Google Pixel 7シリーズの弱点は、4つの機種が揃うiPhone 14シリーズに対して、2種類の機種しか揃っていないところにあります。特に、リッチなカメラ機能を搭載した「Google Pixel 7 Proの小さいモデル」があれば欲しかったという声もあると思います。

↑左が6.7インチのGoogle Pixel 7 Pro、右が6.1インチのiPhone 14 Pro。Google Pixel 7シリーズには「小さいプロ」がないことが弱点と言えるかもしれません

 

また、MacユーザーにとってはAirDropによるワイヤレスでの簡単ファイル転送など、iPhoneの方が連携に優れていたり、Apple WatchがAndroidスマホと組み合わせて使えなかったりするなど、考慮したい点があるでしょう。そのあたりは、少し高価でもより便利なAppleデバイスによるエコシステムの活用を優先したくなります。

 

iPhoneからGoogle Pixelへの乗り換えは、各プラットフォーム独自の機能やサービスごと「お引っ越し」ができるかを含めて慎重に検討する必要がありそうです。

 

個性派揃いのAndroidに対するGoogle Pixelシリーズの価値とは

他社のAndroidスマホからGoogle Pixel 7シリーズに買い換える選択は有効なのでしょうか。

 

Androidスマホの場合、メーカーによるコンセプトの違いや、端末ごとに特徴的な機能、対応するサービスが異なっている場合が多くあります。たとえばGoogle Pixelシリーズに比べると、ソニーのXperiaシリーズは動画や音楽をよりハイクオリティに楽しめるスマホです。

 

また、シャープのAQUOS R7は搭載するライカ監修のカメラによって、撮影できる写真にはPixelシリーズとはひと味違う魅力があります。

 

一方、「レコーダー」アプリによる音声の自動文字起こしができることや、Google アシスタントによる音声操作が素早くこなせることなど、Google Pixelシリーズの「強み」も数多くあります。

 

ほかのAndroidスマホからの乗り換えを検討する際には、Google Pixelシリーズの機能やサービスが自分の期待にどれほどマッチするのか、あるいは今愛用しているスマホの機能を手放せるのかなどが熟考のポイントになりそうです。

↑Google Pixelシリーズだけに搭載されている「レコーダー」アプリ。音声の自動文字起こし機能が秀逸で、ビジネスシーンにも活躍する場所が多々あります

 

キャンペーンも利用するとお買い得

Google Pixel 7シリーズはハイレベルな機能と価格のバランスがとても良いスマホです。上質な外観の仕上げと、レベルの高いカメラまわりの機能で、特にProモデルはフラグシップモデルの貫禄が感じられます。

 

国内の大手通信キャリアではKDDIとソフトバンクの2社がGoogle Pixel 7シリーズを取り扱っています。また、筆者が本稿を執筆している10月18日時点、グーグルストアではGoogle Pixel 7シリーズを購入する際、対象となるスマホを下取りに出すと最大5万円がキャッシュバックされるキャンペーンを2022年11月17日午後23時59分まで実施しています。こうしたお得なキャンペーンなどを利用して、体験してみるとよくわかるGoogle Pixelシリーズの魅力に多くの方が触れてほしいです。

 

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