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2016/10/31 7:00

【西田宗千佳連載】ホームアシスタントは「クラウド頼み」で低価格が特徴

「週刊GetNavi」Vol.48-2

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↑シャープ「ホームアシスタント」

 

海外、特に英語圏を中心に、音声コミュニケーションを軸にした機器の競争が始まっている。みなさんもご存知の通り、この競争はスマートフォンで始まった。Android向けにGoogleが音声入力の機能を強化すると、Appleは「Siri」という音声エージェントをiPhoneに搭載し、「声で操作」することがスマートフォンにとって当たり前のものになっている。Siriはもともと、検索エンジンとアプリを音声でつなぐ技術を作っていた独立企業だったが、2010年にAppleが買収し、現在に至る。いまはSiriといえばApple製品の代名詞のようになっているが、Appleによる買収の前には、Android版も提供していた。変われば変わるものだ。

 

Amazonも音声認識機能として「Alexa」という技術を持っている。日本語では音声検索くらいにしか使われていないが、Siriと同じようにエージェントとして働き、自然な言葉の音声で命令すると、それに従って情報を集めてきたり、音楽をかけたりする。

 

こうした技術は、スマートフォンから「家庭」にターゲットを移している。そのための機器が、Googleの「Google Home」であり、Amazonがアメリカで販売している「Amazon Echo」だ。Appleの場合、「Apple TV」で声を使いほかの家電機器を操作することはできるものの、テレビで映像を見たりゲームをしたりする機器、という位置づけであり、ほかとはちょっと趣が異なる。

 

家庭向けで音声を使った操作が注目されるのは、リモコンを使う家電のアンチテーゼでもある。「ふと思いついたことを、家電機器の前に行くことなく、その場で命令してやってもらう」のが狙いだ。

 

Google HomeとAmazon Echoの場合、スマートフォンと連携するスピーカーとしても働く。しかも安い。Echoは上位モデルでも179.99ドルで、エントリーモデルの「dot」は49.99ドルと安い。Google Homeも129ドルだ。スピーカーにちょっと追加する程度の価格で、家電コントロールや情報集めの拠点となる機器が用意できるならいいのでは……という発想もある。

 

これらの機器を安価に作れる理由は、付加価値のほとんどがクラウド側にあり、ハードウエアとしては「集音性に優れたマイクを持つネット対応スピーカー」程度のものでしかないからだ。

 

シャープが2017年に販売を予定している「ホームアシスタント」も、かなり安価な値付けを狙っている……と言われる。こちらも、動く部分をなくし、シンプルなハードウエアにして価格を下げようとしている。

 

では、こうした機器ではどれだけのことができるのか?

 

そこは次回のVol.48-3で解説する。

 

※Vol.48-3は11月7日(月)更新予定です。

 

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