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2023/9/6 11:00

「Zenfone 10」発売前レビュー! 全方位ハイスペックな小型スマホのフラッグシップ

ASUS JAPANは6日、フラッグシップスマホ「Zenfone 10」を発表。ここでは、発売前にいち早くレビューをお届けします。

↑ASUS JAPANが9月8日に発売する「Zenfone 10」

 

小型のボディに高性能をぎゅっと詰め込んだZenfone 10は、なめらか表示のディスプレイから、動画に強いカメラや、豊かな音を奏でるスピーカー、おサイフケータイ・防水まで全方位でハイスペックなSIMフリースマホです。

 

ラインアップは本体カラー、メモリー/ストレージ違いで主に3モデルを用意。それぞれの価格は以下のとおりです。

 

「Zenfone 10」の価格(税込み)

メモリー・ストレージ/価格/カラー

8GB・128GB/9万9800円/ミッドナイトブラックのみ

8GB・256GB/11万2800円/ミッドナイトブラック、コメットホワイト、スターリーブルー、エクリプスレッド、オーロラグリーン

16GB・512GB/13万4800円/ミッドナイトブラック、スターリーブルー

 

ザラザラした独特の手触り

まずは手に持った印象から見ていきましょう。再生紙で作られた箱から取り出してみると、スマホが手のひらにスッと入り込んできたかのように、自然と手になじむ感覚を覚えました。Zenfone 10の横幅は約68.1mm。iPhone 14と比べると、3mmほど細くなっています。ケースなしで片手持ちすると、手で包み込むような、安定感のある持ち方ができます。

↑大きさは約146.5×68.1×9.4mm、重さは約172g

 

背面はザラザラとした質感で、和紙か、サメ肌のような手触りです。このザラザラ感も滑りを抑えて安定して手に持てる一因となっているようです。

 

カラーバリエーションは宇宙との調和をイメージしたという5色展開で、宇宙にちなんだ色名が付けられています。新色のうち、コメットホワイト、オーロラグリーン、エクリプスレッドのバックカバーは、サステナビリティも向上させています。この3色の背面パネルは、バイオマス素材と剪定枝などの再利用木材が50%配合されており、前作「Zenfone 9」よりも環境に優しいうえに、グリップ感も高めているそうです。

↑宇宙をモチーフとしたという5色展開

 

カメラ上下にさりげなく印刷された▲マークは、宇宙船内部に掲示されているサイン類のように見えて、遊び心を感じます。▲マークは側面の指紋センサーの横にも印刷されていて側面を眺めたときのアクセントになっています。

 

紙のような手触りですが、防水もきっちりと対応しています。さらにおサイフケータイにも対応しており、モバイルSuicaも利用できます。生体認証は右側面に電源ボタン一体型の指紋センサーを備えています。

↑カメラ上下の赤い▲がチャームポイントです

 

目を引く丸めがねのような2眼カメラは、上が広角レンズ、下が超広角レンズ。望遠はありません。横から見ると広角レンズ側の方がレンズ部の膨らみが大きく、カメラの出っ張りが階段状になっていることがわかります。

↑カメラのでっぱりは階段状になっています

 

パッケージには黒色のハードケースとUSBケーブル、急速充電対応の充電器が付属しています。ケースはしっかりと背面を保護できますが、堅めの作りで脱着がしづらい印象も受けました。

↑黒色のケースが付属

 

オプションとして「Zenfone 10 Connex ケース」(5280円)が用意されています。このケースはドットの部分に、カードホルダーとスタンドのパーツを脱着できるという機能を備えており、スタンドを付けたらYouTubeアプリを開くといった、アプリの起動を提案する機能も備えています。こちらもタイトな作りで、iPhoneのMagSafeケースのようにスムーズに脱着することはできません。

 

【別売りのケース装着イメージ】(画像をタップすると閲覧できます)

 

コンパクトながら動画も音楽もゲームも妥協ナシ

小型スマホの利点として、持ちやすいとか、ポケットに入れたときに収まりが良いといった点はもちろんあるのですが、Zenfone 10にはそういった便利さを超えた「楽しさ」があります。凝縮感のある小さな画面で、滑らかにアプリが動いている様子は楽しく、特にWebサイトやSNSをスクロールしたときにヌルヌルと動く感触は、快感です。触覚フィードバック機の感触も上品で、とにかく使っていて心地よく感じます。

 

この心地よさを機能面から説明すると、まずディスプレイが120Hz駆動に対応していて、2400×1080ドットと5.9インチとしては十分な解像度があります。そして、チップセットは最新のSnapdragon 8 Gen 2を搭載し、文句のない処理能力があります。120Hzで描画しても、コマ落ちなどは一切なく、なめらかに表示できます。

 

色の表現も非常に正確です。動画再生では最新のHDR10+規格に対応していて、スマホでは暗くなりがちな最近の洋画を再生しても、陰影が際立ち、見応えがありました。

 

音にもこだわりがあります。Dirac社のオーディオ技術を搭載。ハイレゾ音源や空間オーディオの再生もサポートします。3.5mmイヤホンジャックを備えており有線イヤホンも接続できるうえに、BluetoothではaptX LosslessやLDACなどの高音質コーデックをサポートしています。ハイレゾ音源を再生するためのアプリ「NePLAYER for ASUS」も搭載しています。

 

何曲か聴いてみたところ、特に高音域がクリアに響き、聴いていて疲れない音作りだと感じました。オーディオウィザード機能として音楽、映画、ゲームにそれぞれに合わせた音の設定も用意されていて、オーディオに詳しくない人でも簡単に聴きやすい音に設定できます。

↑音の鳴り方を簡単にチューニングできるオーディオウィザード機能

 

ASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone」譲りのゲーム機能も魅力です。今回ゲームプレイ時のみ、ディスプレイのリフレッシュレートが144Hz駆動にも対応しています。レビューではメモリー16GBのモデルでアクションゲーム「原神」や、シューティングゲーム「PUBG」を遊んでみました。どのシーンでもカクつきがなく、CPUが過熱しすぎることもなく、60FPSで安定して動作しました。画面が小さいからボタンが押しづらいのではないかとも考えていましたが、それは杞憂でした。シューティングゲームのエイム(狙い)も機敏に反応し、“ドン勝”を得ることもできました。機能はもちろん、ゲーミングスマホ譲りの安定性がZenfone 10にも存分に生かされているようです。

↑ROG Phone譲りの多機能ゲームランチャー「Game Genie」を搭載

 

動画に強いカメラを搭載

背面カメラの構成は、広角カメラがソニー製センサーの5000万画素、超広角カメラが1300万画素の2眼構成です。

↑カメラは広角が5000万画素、超広角が1300万画素

 

写りの傾向としては、全体的に明るく撮れるようになっています。被写体検出AIも搭載していますが、メリハリの付け方は控えめで、スマホのカメラの中ではあっさりとした味付けに仕上がります。

 

望遠は5000万画素センサーからの切り出しになるため、不得手気味ですが、4~8倍で拡大して撮ると超解像機能が作用して文字などをくっきりと記録できます。鑑賞向きの写真にはなりませんが、板書などをメモする用途なら十分実用できそうです。

↑カメラアプリのデザインはすっきりめ。機能がよく整理されています

 

今回大きく強化されたのが動画再生時の手ブレ補正です。前機種にも搭載されていた6軸ジンバルに加えて、広角側に「アダプティブEIS」という新たな手ブレ補正機能が追加されており、手ブレしがちなシーンでも解像感の高い動画を撮れるようになりました。HDR10+規格の動画や、8K解像度の動画も記録可能となっています。

 

インカメラは3200万画素で、画素配列RGBWセンサーを搭載。加えて光の取り込み性能が67%向上し、ノイズを50%低減しています。暗いところでの自分撮りに強くなっています。

 

【Zenfone 10で撮影した作例ギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

↑「アダプティブEIS」という新たな手ブレ補正機能を搭載。ブレ軽減と解像感を両立しています

 

プリインアプリの随所に感じる気配り

OSはAndroid 13を搭載。最大2回の大型アップデートと、4年間のセキュリティ更新の保証をうたっています。使用感はほかのAndroidスマートフォンと変わりませんが、ASUS独自の作り込みも多くあります。

 

【Zenfone 10のホーム画面ギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

わかりやすいところでは、ツインアプリ機能を搭載しており、LINEなどのアプリを複製して2つのアカウントで利用できます。また、ジェスチャー操作では、背面をタップしてスクリーンショットを撮ったり、カメラを起動したりできます。

 

右側面の指紋センサーをなぞる操作にもジェスチャーを設定できます。通知パネルの開閉や、Webページの「戻る・進む」といった機能がありますが、筆者は「YouTube 動画の10秒巻き戻し・早送り」が実用的だと感じました。

↑指紋センサーをなぞる操作に、YouTubeの巻き戻し・早送りなどを割り当てられます

 

独自のアプリは、ファイル管理、ギャラリー、時計、天候(天気)などユーティリティー系のアプリを中心に揃えています。ギャラリーアプリで「なぞってモザイク」を付ける機能があったり、電卓アプリで単位換算ツールを用意していたりなど、かゆいところに手が届くような機能を備えています。

↑写真のギャラリーアプリには「なぞってモザイクをかける」機能もあります

 

小型スマホで気になる点といえば電池持ちですが、駆動時間は公称13.4時間となっています。レビューではWi-Fi環境下でゲームや動画再生で2時間ほど使い込んでみましたが、電池の減りは35%程度とゆとりがある状態でした。バッテリー容量は4300mAhで、急速充電は30W対応。今作からQiによるワイヤレス充電にも対応しています。

 

最先端マシンパワーを小型ボディに詰め込んだZenfone 10は、映像、音楽、カメラ、ゲームと全方位に遊べて、納得のフラッグシップモデルでした。遊び心のあるデザインからプリインストールアプリの気の利いた作りになっています。手に収まるサイズ感が好みの小型スマホ派なら、まず検討したい1台です。

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)